▼先週のトピックス
・今年のチャンピオンズCも砂種牡馬の出番なし
・妙見山Sは3頭しか出ていなかったディープ系が1-3着を独占
▼今年のチャンピオンズCも砂種牡馬の出番なし
今年のチャンピオンズCもレース前に注目配合として取り上げたキングマンボ系×サンデー系のドゥラエレーデが9人気で3着。12人気で2着のウィルソンテソーロも父が芝血統のキタサンブラック。これもレース前に「当レースの穴パターン」として取り上げた、前走でNARのG1を人気で負けた馬。
勝ったレモンポップはレース前に「逃げれば、自分の距離適性の競馬にできるので怖い」と解説したのですが、嫌な予想(笑)が当たってしまいました。そして、今年も1-3着馬の父、母父はアメリカ生産の種牡馬か、日本の芝G1勝ち馬。「日本の砂G1」勝ち馬を父か母父に持つ馬は1頭もいません。
先週の当コラムでも書きましたように、これが現実。日本の砂競馬は「種牡馬能力、繁殖能力選別にはまったく適さない」舞台なのです。レースレベルも一般のファンが思っている以上に低いです。
この仮説は能力指数を作るときなどにも、重要な意味を持ちます。たとえば、古くから使われているようなスピード指数は、時計のかかる砂競馬に「馬場補正」をわざわざ加えて能力を測ろうとしていますが、これは真の能力をわざわざ測れなくしているのです。遅くしか走れない馬場に強い馬が、速い馬場で速く走る保証はどこにもないのですから。
時計のかかる馬場に強い馬とは、スピード馬の多くが能力を出せない馬場に、たまたま適性がある馬。であり、速い馬場では速く走れないのであれば、根本的な能力は低いわけです。
このように、砂のG1競馬は、想像以上にレベルが低く、繁殖能力選定の場として機能していないからこそ今年の砂G1も、父も母父も砂G1実績がある馬は1頭も馬券になれませんでした。
こうして能力の仕組みを考え、検証、議論することは、馬券ゲームを楽しむ一般ファンにとっても重要だと思いますが、生産者、オーナーの方々は、当然もっと真剣に考えるべきでしょう。
「亀谷競馬サロン」には、生産者、オーナーの方もたくさん在籍されていますので、正しく繁殖能力を把握して、なるべく弱い種馬をつけ続けることのないよう、予算内でベストが目指せる配合を追求、議論してゆく所存です。
▼妙見山Sは3頭しか出ていなかったディープ系が1-3着を独占
今年の砂競馬のリーディング種牡馬は1位ヘニーヒューズ。2位ドレフォン。3位シニスターミニスター。いずれもアメリカ生産馬であり、現役時代もアメリカで走った馬。日本に輸入してみたところ、偶々、日本の砂適性も高かった種牡馬が上位を占めています。なお、日本の砂リーディング10位以内で日本の砂G1で実績を残した馬はホッコータルマエ1頭のみ。
馬券ゲームで期待値の高い馬を買うには「能力の仕組み」と期待値の高い馬を生み出しやすい「種牡馬の仕組み」を知っておくことも重要です。
やはり、日本の砂競馬は、繁殖レベル選定の場としてのレベルが低すぎる砂競馬で実績を出した馬よりも、レベルが高い日本の芝やアメリカのダートで実績を残した馬の中で、それなりに砂適性の高い馬の方が、好走率、勝ち上がり率は総じて高いということでしょう。
また、父ディープ系も単勝20倍以内の馬は単勝回収率が85%。複勝回収率は83%。水準値よりも上。もちろん砂G1で走っていたような種牡馬やアメリカで走っていた馬よりは砂適性自体は低い馬が多いのですが、根本的な能力を高い馬を出しやすいため、総合的には標準期待値以上に走っているのです。
先週12月2日(土)の阪神10R 妙見山S(ダ1200m)は、推奨レース(亀SP)に指定。本命(亀SP)のナムラフランクが複勝750円で3着。同馬の父はディープ系のミッキーアイル。1、2着もディープ系。3頭しか出ていなかったディープ系が1-3着を独占で3連複は12,960円の万馬券でした。
このようなレースが増えているのも、JRAの砂競馬は、芝馬の能力が削がれにくい馬場も増えたことと、日本の砂競馬よりも芝競馬の方が圧倒的にレベルが上だから。芝種牡馬の仔の方が砂種牡馬の仔よりも根本的な能力が高い馬が多いことが大きく影響していると考えられます。
なお、今年のJRAのダートで「亀AI」の評価がA、B、C。かつ父ディープ系の馬は単勝回収率116%。複勝回収率103%。該当馬のワイドボックスは的中率14%。回収率284%となっています。
2023/12/06 (水)