亀谷敬正自身が先週のレースや予想などを振り返る「先週の亀レビュー」。競馬の構造理解や次週以降のヒントなどが満載です。ぜひご一読ください!
▼先週のトピックス
・年明けから続く「質の高いレース選び」
・戦歴が激変する馬を血統で狙う
・騎手がうまく乗る「確率」と「運」
年明けから続く「質の高いレース選び」
年間データを集計すると、単勝1.9倍以内の断然の人気が馬券圏外の確率は20%。当たり前ですが、80%のレースでは馬券になります。推定1~3人気の馬が複数頭馬券圏外になる確率は50%。この数値は面白いことに毎年ほぼ同じです。
この事実を踏まえたうえで、先週の「亀SP」推奨レースを振り返ってみましょう。推奨レースは7レース。このうち、単勝1.9倍以内の人気馬が馬券圏外、もしくは推定1~3人気の馬が複数頭馬券圏外になったレースは7レース中5レースでした。確率以上に「荒れる」と予想したレースを選べた「レース選び」は、まずまずだったと思います。
終わってみれば、最低の予想だったのは13日(土)の京都7R。推定1、3人気が1、2着。3~5着は推定人気よりも走った馬で、全て上位評価にしていた馬ですが、3連単までしか馬券を売ってないので無意味です。
次に悪いレース選びは同日の京都11R・淀短距離S。推定1、2人気が1、3着。本命のメイショウソラフネが推定11人気で2着。推定15人気のサトノラムセスが4着。推定人気よりも大幅に走れる馬を上位評価にはできたものの、推定人気上位馬の消しを誤っているので、京都7Rほどではないにせよ、質の低い推奨だったと思います。
ただし、淀短距離Sに関しては、仮に上位人気が揃って消せないと判断していても、メイショウソラフネを本命に推奨した可能性は十分にあります(同じレースと気分はないので絶対とはいえませんが)。
メイショウソラフネの推定11人気はあまりにも低評価。少なく見積もっても25%以上の可能性で馬券になれると判断できました。「相手の人気と実力がどうであれ期待値が取れる」ので、この馬の単複だけでも推奨する価値があるからです。
このように、馬券ゲームには「相手の人気(主に人気馬)と好走率を考えた相対期待値」と、「その馬自身の人気と好走率を考えた絶対期待値」の概念があると考えます。「結局2つは同じことじゃないか」という言い分はもっともですし、そこは百も承知なのですが、それでも「亀AI」を作って期待値を解析すると、「別々に扱った方がいいんじゃないか」という概念で、統計を取ったりもしています。
実際、我々の統計手法だと「相手の人気(主に人気馬)と好走率を考えた相対期待値」と、「その馬自身の人気と好走率を考えた絶対期待値」では、各馬の予測好走率が違うのです。「結局2つは同じこと」という言い分が正しいのであれば、同じ予測数値がでないとダメです。しかし、現状の統計手法だと数値が違うのですから、「概念が違う」とするしかないのです。
と、日々の統計作業の過程をここで長々と書くこと、完成途上の分析過程を記すことは、実験中のロケットを爆破させる過程を見せているような恥ずかしさがあります。そもそも、「競馬にパターンは存在しない」という宗派の人もいるでしょうから、あんまり長く書いてもしょうがないですね(苦笑)。
なお、メイショウソラフネは当日は6人気でしたが、ここでは推定人気(11人気)であえて振り返っています。実際の人気より推定人気で振り返った方が、将来の予測精度が上がるためです。これも20年以上続けていることですし、詳細をここで書くと、話が長くなりすぎて、今週の回顧ができなくなるので、興味のある方は「亀谷競馬サロン」に直接聞きにいらしてください。
戦歴が激変する馬を血統で狙う
レース選びもまずまずで、本命馬も馬券圏内に走ってくれたのが13日(土)京都8Rのツークフォーゲル、14日(日)京都7Rのヒロノオオゾラ、小倉10Rのダークエクリプス。
ツークフォーゲルとヒロノオオゾラに関しては、淀短距離Sのメイショウソラフネ同様、「単体で期待値が取れる馬」でした。馬券の80%近くは近走の戦歴が影響する訳ですが、ツークフォーゲルとヒロノオオゾラは「近走の馬柱とは別次元の馬」になっている可能性が高かったからです。
「適性を抜きにした」上で、馬が能力を発揮できる可能性を分かりやすく表現してみましょう。ツークフォーゲルとヒロノオオゾラの近3走で発揮できた能力が30だったと抽象化します。今回のツークフォーゲルとヒロノオオゾラは100近い能力を発揮できる可能性が高いと判断できたわけです。これは推奨文にも書いてありますので、興味のある方は参考にしてみてください。
そして、ツークフォーゲル、ヒロノオオゾラに関しては、「血統」を用いることで「適性」が近走よりも向いている可能性が高いこと、さらに「潜在能力」もまだまだ上昇が見込めることも予想できました。
血統の傾向を知っていれば、戦歴の傾向から上昇が見込めるパターンの中でも、「適性」と「潜在能力」によるさらなる上積みを見込むことができるのです。まさに「血統は馬柱の分析にコクを与えるツール」なのです。
騎手がうまく乗る「確率」と「運」
14日(日)小倉10Rはレース前の解説で、
『推定上位1~3人気のケイアイセナ、ソレイユヴィータ、ウィズユアドリームは、今までの力を出し切っても揃って上位に走る可能性は低い。今日の馬場とコースならば、鞍上が馬の力を出し切ればダークエクリプス、トゥルーヴィル、フィデルは推定人気上位馬よりも力は上。1~3着独占も十分にある。ただし、この3頭の鞍上が揃って力を発揮する確率がそこまで高くもない。鞍上の腕問わず、力を出しやすいのはダークエクリプスなので、これが本命』
と解説しました。ある意味予想通り(涙)、トゥルーヴィル、フィデルが力を出せず、ケイアイセナが3着に走れてしまったわけですが、これに関しては悪い意味で予想の範疇。
「もっと3連系の馬券を分厚く当てれたよな~」とか、「ヒロノオオゾラにハナ差勝ってほしかったよな」というのは、「運」の部分もあると思います。強いていえば、大谷選手を見習い、近隣の方に挨拶をしたり、落ちているゴミを拾ったり、Drコパさん推奨のパワーフードを食べて、より一層の「運」を呼び込めるような努力をしようと精進します。
それにしても○○(自主規制)であっても、カタカナ騎手ならなんでもかんでも乗せるのはどうしてなんだろう?と皆さんも疑問に思いますよね? そこで、某事情通に話を聞きました。理由を聞いてある意味納得しました。詳しくは書けませんが、「ここだけなら損とわかっていても、そこは付き合いで飲み込む」ことが、将来の「運」を呼び込むということです。