亀谷敬正自身が先週のレースや予想などを振り返る「先週の亀レビュー」。競馬の構造理解や次週以降のヒントなどが満載です。ぜひご一読ください!
▼先週のトピックス
・米国血統の逆張りと巻き返しを活用して大儲け
・危険な人気馬の逆張りは投資に近い
・一般ファンには理解不能なAI分析手法
・血統を合わせるとコクが出る戦歴のパターン分析
米国血統の逆張りと巻き返しを活用して大儲け
競走馬には「常に安定して能力を発揮するタイプ」もいれば、「発揮する能力の振り幅が大きいタイプ」もいます。
バリバリの米国血統は後者の「発揮する能力の振り幅が大きいタイプ」が多いです。日本の砂競馬が、常に米国血統が走りやすい馬場ではないこと、米国血統はマイペースで追走できないとすぐに競馬を諦めてしまう馬が多いこと、が大きな要因です。
2月4日(日)も「振り幅の大きい米国血統」の逆張りと巻き返し狙いで、超大幅プラス収支を決めることができました。
まずは、逆張りで儲けたのが小倉10R。逆張り(消して儲ける)に指名したのは1ガンウルフ。前走の走破タイムは今回の勝ち時計よりも速いタイムでしたが、その時計よりも5秒近くパフォーマンスを落とす最下位に敗れました。
レース前には『ガンウルフはほぼ来ない。馬券妙味はサンライズグルーヴ、ディサイドだが、どちらを本命にするかは好みでもいいレべル。個人的には今日の馬場ならどんな展開でも堅実に差してくるディサイドの方にします』と解説。
結果は対抗のサンライズグルーヴが勝ち、本命ディサイドが3着でしたが、この1、3着は「運」の領域と割り切っています。サンライズグルーヴのような馬を常に選ぶようにパターン設定したからといって、数か月スパンでの収益金はさほど変わらないと考えます。
▲当日は大阪で出張リアルサロンを開催。小倉10Rゴールの瞬間はこんな感じでした。
危険な人気馬の逆張りは投資に近い
それよりも期待値獲得に重要なのは、ガンウルフがほぼ馬券になれないことを予想できること。極端な話、ガンウルフ以外の馬全てで馬連BOXを買っても、ガンウルフが3着以下になった地点で回収率120%が確定。同様に3連複BOXも130%が確定します。
このレースの場合、レースを100回やり直しても100回ともガンウルフは馬群に沈んだでしょうから、逆張りとしてはかなり手堅い賭け。もはや投資のレベルでした。
もちろん、ガンウルフが100回とも来なかったといえるのは、レースを見た後だから言える部分もある訳で、中長期的に期待値の高い馬券を買い続けるのであれば、ガンウルフのような馬を選べる予測パターンの精度は70%ぐらいにまではいけると考えます。
ガンウルフは父も母父も米国型のアメリカ産馬。特にガンランナー産駒は日本の砂にはマッチしない局面も多いです。前走は1つのクラスにもかかわらず、今回の勝ち時計よりも1秒速く走ることができました。当時の路盤は米国指向が強い特殊馬場だった訳です。
今回の馬場では、スピードを出し切れず、それによってリズムを崩して途中で競馬をやめて大惨敗する可能性が高いと判断することができました。
一般ファンには理解不能なAI分析手法
続く勝負レースに選んだのが京都10R。このレースの最初のポイントはテンパターン(テンP)。推定1、2、4、5人気の馬が全てテンパターン50以内に該当しませんでした。この地点で推定1、2、4、5人気馬が複数馬券圏内に走る可能性はかなり下がると予想できます。
▲令月Sのスマート出馬表/評価順位画面
推定1、2、4、5人気で馬連が決まらない逆張り馬券の合成オッズは110%。推定1、2、4、5人気が複数3連複の馬券圏内に走らない3連複合成オッズは160%。
なお、このレースはレース前に『馬券妙味は3ヴァガボンドと10サトノテンペスト』と解説しました。
おそらく100回レースをやり直しても90回以上は、この2頭のどちらかが馬券圏内に走り、推定1、2、4、5人気が複数馬券圏内に走ることはなかったでしょう。そういう意味では、レースと馬を選定するアプローチは良かったと自画自賛しております。
なお、このように「100回レースをやった場合…」という振り返りを書くと、多くの一般競馬ファンは「そんな分析は無意味だ」とか、「競馬にパターンなんてない」と言ってくるわけですが(苦笑)、この考え方が競馬をAIに活用するのにもとても重要なのです。
こう書くと、今度は一般競馬ファンは「競馬の分析にAIなんか使ってどうするんだ」と言ってくるわけですが(苦笑)。
血統を合わせるとコクが出る戦歴のパターン分析
レース選択のアプローチはここまで書いた通りですが、ヴァガボンドを本命にしたのは、先に書いた「振り幅の大きい米国血統」だから。
同馬の過去5走を振り返っても、自分のリズムで逃げれたときは3着以内。そうでない時は2桁着順の惨敗を繰り返しています。先に話題に挙げたバリバリの米国型のガンウルフと同じパターンの馬といえるでしょう。
今回は人気馬のほとんどがテンパターン50以内にも該当せず。テンパターン15はヴァガボンドのみ。「マイペースで走れば一般する米国血統」の典型的な狙いどころです。
このように、血統と戦歴のパターンはリンクしますし、戦歴のパターン化に血統は極めて重要なスパイスとなるわけです。