亀谷敬正自身が先週のレースや予想などを振り返る「先週の亀レビュー」。競馬の構造理解や次週以降のヒントなどが満載です。ぜひご一読ください!
▼今回のトピックス
・1月の中山芝重賞はロベルトだけでも大勝!
・ハズレてもアプローチはAJCC同様の初富士S
1月の中山芝重賞はロベルトだけでも大勝!
AJCCは本命ダノンデサイルが勝ち、対抗のマテンロウレオが2着、3番手評価のコスモキュランダが3着。レース前に解説した通りの結果となりました。
▲AJCCゴール直後のリアルサロンスペース
▲『競馬放送局』で公開した予想。当日はリアルサロンスペースでもモニターに表示されています。
AJCCも父ロベルト系と母父ロベルト系の1着、2着。年末年始の中山芝重賞は徹底的にロベルトを狙うことだけでも大勝。
「1頭の種牡馬の狙い方を覚えるだけでも馬券は勝てる」を実証したシーズンでした。
また、このレースのもう1つの重要なポイントは、
「レーベンスティールをどれだけ自信を持って消せるか」
前日予想でも評価は落としておいたのですが、それまでの馬場も見て、当日のパドックを迎えた時には「レーベンスティールはかなり危ないんじゃないか」とリアルサロンでも解説しました。その理由を解説します。
まず、前走の天皇賞・秋ではレーベンスティールを本命にしたのですが、その理由は「主流スピードを問われるレースに本来強いのが本質だから」。
結果的に天皇賞・秋はハズレたのですが、間違っていなかった部分は主に以下の2点です。
(1)天皇賞・秋がメイチ勝負だったこと
(2)主流スピードが問われないレースほどパフォーマンスを落としているので、主流スピードが問われるレースの方が強い
この判断を変えなかったからこそ、AJCCでは評価を下げられました。そして、天皇賞・秋の10倍返しで大きく勝つことができたのです。
ボクの独自取材、分析では、レーベンスティール陣営も本来は主流スピードが発揮できる天皇賞・秋こそがベスト舞台だと思っていたはず。結果的にうまく力を引き出せなかったのですが、天皇賞・秋で勝負に出た以上、AJCCでは反動が出る可能性も想定していました。
さらに、今回はメイチ勝負の後のレースで、舞台設定も最悪。主流スピードを長所にする馬が才能を削がれやすい馬場だったからです。
レーベンスティールは中山芝2200m重賞を2勝しており、この実績が今回人気を集めた大きな要因ですが、セントライト記念の上がりは33.9秒。オールカマーも34,1秒。いずれも日本の主流スピードを発揮できる馬場、レースの流れでした。
しかし、今回のAJCCは1~3着まですべて上がりタイムが36秒台。主流スピードを発揮するのは到底無理な馬場。
天皇賞・秋の舞台設定であれば、コンディションとレースの進め方によってはレーベンスティールが馬券圏内になれた可能性もあった、と今でも思います。競馬はやり直しがきかないので、そこは証明できません。
その一方で、「100回やり直しても力を出せない」事象は「やり直せたら勝てるかも」よりも見つけやすいです。今後の競馬予想への精度も高められるため、研究成果が出やすく、馬券の武器になりやすいのです。
プロ野球で活躍された野村克也さんの名言「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」は、競馬にも当てはまります。
なお、前日予想の段階ではレーベンスティールを消す自信が当日ほど持てなかったので、それほど勝負できないレースだと思っていたのですが、レース直前では消える自信が前日以上に強くなったので、勝負レースになりました。
天皇賞・秋の何倍もになる馬券を買ったのも、レーベンスティールが天皇賞・秋で馬券になることよりも、AJCCで馬券圏外になることに自信を持てたからです。
レースへの自信度は「狙った馬への自信」よりも「逆張りする人気馬が馬券圏外になる自信度」によって決まることも多いのです。AJCCに関しては前日にレーベンスティールを消せる自信度が低かったことは反省しています。
ハズレてもアプローチはAJCC同様の初富士S
土曜の中山メイン・初富士Sも予想はハズレてしまいましたが、これも100回やり直せば、結果は変わるでしょう。上位に走った馬は騎手の「気分」と「運」によって変わるからです。
ただし「まず消える」と事前にお伝えした1人気のラスカンブレスは100回やり直しても、馬券になれる可能性は10回以下(個人的には0だと思います)。
このレースで予想技術的に大事なことは、「ラスカンブレスがまず消える」と予想できること。上位馬の着順は「気分」と「運」で変わりますが、ラスカンブレスを消す予測手法は「技術」であり、再現性が高いからです。
馬券ゲームに限らず、多くのマネーゲームは「気分」と「運」で価格は決まるとボクは信じています。ただし「運」と「気分」が向いた時(価格が上昇する時)にマネーが増えるタイミングを逃さない。退場(資金をショート)せずに待っていられる状況を常に維持することが「技術」なのだと信じています。