毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・イクイノックス、東スポ杯からの直行を決めた理由
・皐月賞へ向けての調整過程、初の右回りについて
・ジオグリフ、懸念されるノドの状態について
イクイノックス、東スポ杯からの直行を決めた理由
――今回は皐月賞についてお伺いします。まずはイクイノックスについてです。昨年11月の東スポ杯以来、中20週での参戦となります。
木實谷:レース間隔は中20週になりますが、この間隔はオークスから秋華賞、ダービーから天皇賞・秋と同じくらいの間隔になります。
――そう言われると確かにイメージが変わりますね。近年はオークスから秋華賞のローテで結果を出している馬が多いですし、ダービーから天皇賞・秋といえば、昨年エフフォーリアが勝利しています。この時期にレースを使わないことについてはどうお考えでしょうか?
木實谷:レースを使うこと、レースによる刺激によって強くなる部分もあるので一概には言えませんが、馬がまだ成長期であること、成長させられる時間が作れるということはあると思います。
イクイノックスの場合、東スポ杯を使って皐月賞の前に共同通信杯を使う選択肢も当然ありました。ただ、東スポ杯の後の消耗を見たら、共同通信杯を使わない方がこの馬の器をより大きくできると感じた、というのが今回のローテーションを選択した大きな理由ですね。共同通信杯は使おうと思えば使えたとは思いますが。
――使えたけど、皐月賞までに回復させる期間が短くなってしまうということでしょうか。
木實谷:やってみないと分からない面もありますが、共同通信杯を使うと、次のレースに向けて回復させるのが精一杯だったかなと思います。皐月賞に出走する実質上の権利(賞金)を持っていたというのもありますが、この馬の器をより大きくすることを考えると、今回のローテーションが合っているのではないかと、調教師と相談して決まった次第です。
皐月賞へ向けての調整過程、初の右回りについて
――イクイノックスの調子自体はいかがでしょうか?