毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・ダービーに向けたジオグリフ&イクイノックスの状態
・2頭で考える完成度と成長度、疲労と可動域
・デビューを遅らせたい晩成タイプのキャリア形成
ダービーに向けたジオグリフ&イクイノックスの状態
――今回はダービー出走馬を中心に伺います。皐月賞を制したジオグリフ、2着のイクイノックスは在厩調整ですか、それともノーザンファーム天栄に戻ったのでしょうか。
木實谷:2頭とも皐月賞後の4月20日に帰ってきました。個体差はありますが、どちらも想定通りの回復具合を見せており、毎日杯からとなるコマンドラインも含めて、どの馬もダービーに向けて順調に調整できていると感じています。
――まずは皐月賞馬ジオグリフの状態について教えていただけますか。
木實谷:皐月賞を使ってさらに良くなっている印象です。ノドに不安があることは様々な媒体で話題に挙がっていますが、冬場は季節的な影響もあったのか、馬体の張りや毛艶がいまひとつでした。
それが、気温の上昇や湿度が上がってきたことで、ぐんぐんと良化してきて、この馬としてはこれまでで1番の状態で送り出すことができそうです。
――イクイノックスの方はいかがでしょうか。こちらは皐月賞が今年初戦でしたが。
木實谷:疲れ具合としてはこちらの想定通りといった印象で、間隔を空けて使わせていただいた分、蓄積疲労もなく、入場後翌週には騎乗運動を開始して、予定通りのメニューで調整できています。
仮に共同通信杯を使っていたら、皐月賞の疲労+蓄積疲労で回復に手間取り、ダービーに向けての調整も難しかったと思います。
2頭で考える完成度と成長度、疲労と可動域
――ジオグリフは共同通信杯、皐月賞を使ってさらに良くなり、イクイノックスは共同通信杯を使わなかったことで良くなった。この2頭の違いというのは成長度なのか、体質なのか、またそれとは違う要因でしょうか。