毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・クイーンS・テルツェット、関屋記念・スカイグルーヴの振り返り
・ダノンザタイガー、ドゥラドーレスの今後について
・イクイノックス、ジオグリフの近況
・札幌2歳Sに出走予定のブラストウェーブについて
クイーンS・テルツェット、関屋記念・スカイグルーヴの振り返り
――今回は注目馬の振り返りを中心にお願いします。まずはテルツェットがクイーンSを連覇しました。おめでとうございます。
木實谷:ありがとうございます。ところどころ順調さを欠いた部分があったのでちょっと心配だったのですが、空港牧場でもしっかり乗れていたので、そのアドバンテージが活きたかなと思います。レースもインコースで上手く立ち回れましたし、展開も向きました。ちなみに2着のサトノセシルも空港牧場の同じ厩舎で調整していた馬でした。
――そうだったのですね。さらにおめでとうございます! その一方で、関屋記念のスカイグルーヴは4着でした。
木實谷:3着は欲しかったですけど、最後はダノンザキッドに伸び負けてしまいましたね。
――馬場が影響した面もあるのでしょうか。
木實谷:かなり馬場が悪かったと言っているジョッキーもいましたし、ザダルもかなり脚を取られたと言っていました。ただ、レース自体の上がりは33.0秒と速いタイムが出ていました。時計が出ているのに馬場が悪いというのは難しいところですよね。
――そのザダルは8着でした。
木實谷:ジョッキーの話だと、前回もそうだったのですが、直線で右手前に替えられなくて、ずっと左手前で走っていたようです。それでもうひと伸びが足りなかったということで。ただ、伸びてないとは言っても上がり33.1秒ですからね。自身の伸びが足りなかったのか、伸びてはいるけど前が止まらなかったのか、判断が難しいですね。
ダノンザタイガー、ドゥラドーレスの今後について
――そして、新馬戦で惜しくも2着に敗れてしまったダノンザタイガーですが、新潟芝1800m(8/13)の未勝利戦で順当に勝ち上がりました。
木實谷:ホッとしました。ただ、追い出してからの加速や、フラつき加減を見ると、馬がブレずに走れるようもう少ししっかりと乗り込んで、下半身を強化していく必要を感じますね。
――惜しくもクラシック出走を逃してしまった3歳馬ドゥラドーレスも、札幌の藻岩山特別で3勝目を挙げました。
木實谷:ヒヤヒヤしましたが、上手く我慢して乗ってくれました。狭いところを抜けてきましたし、ジョッキーに話を聞いてもまだ余裕があったみたいですので、まだ先も期待できる馬だと思います。
――断然人気で敗れた前走と藻岩山特別では、ノーザンファーム天栄での調整方法など、何か変えたことはあるのでしょうか。