毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・中山牝馬S&金鯱賞回顧、ドゥレッツァの今後
・ニュージーランドT&阪神牝馬S出走馬情報
・桜花賞、アスコリピチェーノ&ステレンボッシュの状態
・アルテミスS以来となるチェルヴィニア、送り出す側の本音
中山牝馬S&金鯱賞回顧、ドゥレッツァの今後
――中山牝馬Sは引退レースのククナが2着。惜しかったですね。
木實谷:スタートを普通に出て、もう1列、2列前にいればという内容でした。これで重賞での2着が4回と、勝たせてあげられず悔しい気持ちですが、馬は最後まで頑張ってくれましたし、本当に感謝ですね。
――ククナは繁殖に上がって、今年の種付けは間に合うのですか?
木實谷:まだレースが終わって間もないので、状態を確認してからになりますが、無事にいけば北海道に戻って4月の種付けに備えることになります。
――4月に種付けですと、毎年生まれ月が遅くなってしまいませんか?
木實谷:どこかで空胎を挟めばいいですし、そこは繁殖部門の方がうまくやってくれますので。今は、いい仔を産んでくれることを願うのみです。
――翌日の金鯱賞は菊花賞以来のドゥレッツァが2着でした。
木實谷:折り合いも良かったですし、最後は勝ち馬に離されましたが、ドゥレッツァ自身も伸びていましたからね。この中間の過程を考えると、上出来と言ってしまうと怒られますけど、次に繋がる内容だったと思います。ちょっと病み上がりで心配していたので、そこを考えれば納得のいくレース内容だったと思います。
――次は天皇賞・春ですか?
木實谷:今回使った反動が出ずに無事に向かうことができるようなら、第1目標はそうなりますね。菊花賞の後はけっこう反動が出ましたので、しっかり状態を見極めたいと思います。
ニュージーランドT&阪神牝馬S出走馬情報
――ここからは今週末の重賞出走馬について伺います。まずニュージーランドTにはボンドガール(桜花賞の抽選待ち)とエコロブルームが出走を予定しています。
木實谷:ボンドガールは12月上旬に外傷して、乗り出したのが1月末ですから、約2か月は何もできていません。通常ですと、それを取り戻すには最低2か月半から3か月ほど必要ですから、本来は3月末から4月初旬に入厩するとちょうどいい感じになります。それが4/6のニュージーランドTか、翌日の桜花賞に出走ですから、どこまで態勢が整っているかというのがキーポイントですね。
実戦に行ってどこまで動けるかなというのはありますが、2月に乗り出してからはすこぶる順調ですし、能力が高いのも分かっていますので、こなしてくれる可能性も十分にあるのではと考えています。
――エコロブルームはシンザン記念2着から状態はいかがでしょうか。
木實谷:前走後も順調ですね。シンザン記念前は球節あたりに少し不安があったのですが、今回はそういったこともなく、すこぶる順調に来ています。
――阪神牝馬Sにはウンブライルが出走を予定しています。
木實谷:前走が膝の手術明けでしたが、膝の状態は前走を使っても変わりなく、不安も出なかったです。一度使って上向いてきたところです。
――前走はプラス22キロの馬体重でしたが、手術明けの影響でしょうか?
木實谷:ちょっと余裕はあったと思います。病み上がりだから仕方ないですけどね。
――状態が上向いているのであれば、絞れればチャンスありそうですね。
木實谷:そうなればいいですけど、この馬は当日の気分じゃないですかね(笑)。ただ、阪神JFの時の散々だった経験を活かして、今回は栗東滞在で臨むことにしました。ここで変わり身を見せて欲しいですね。
桜花賞、アスコリピチェーノ&ステレンボッシュの状態
――そして桜花賞には、アスコリピチェーノ、ステレンボッシュ、チェルヴィニア、テウメッサの4頭が出走を予定しています。テウメッサは前走から間が空いておらず、抽選待ちのボンドガールは先ほど伺いましたので、間隔があいている3頭の状態について教えてください。