毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・阪神JF、朝日杯FS振り返り、来春の逆襲に向けて
・衝撃のレコード勝ちデンクマールなど12月注目の2歳戦回顧
・中山金杯&フェアリーS出走馬最新情報
・2024年の総括、3歳世代と古馬で明暗が
※今回が2024年最後の更新です。次回の更新は1/13(月・祝)になります。
阪神JF、朝日杯FS振り返り、来春の逆襲に向けて
――先日はサロンの忘年会にご出席いただき、誠にありがとうございました。
木實谷:こちらこそありがとうございました。サロンメンバーの皆様は熱心な方が多くて、楽しかったです。メンバーさん同士、最初はお知り合いじゃなかったわけですよね。それが亀谷競馬サロンという場で熱く語り合える関係になれるというのは素晴らしいと思います。私もイチ競馬ファンなので、羨ましく思います。
▼レポート記事
・サロン忘年会2024を開催いたしました
――来年も、ノーザンファーム天栄の皆さんと交流できることを楽しみにしています。さて今回は2歳GIの振り返りからお願いします。阪神JFはテリオスララが3着、ブラウンラチェットが16着という結果でした。
木實谷:テリオスララは厳しい展開だったと思いますが、よく頑張ってくれました。欲を言えば(賞金加算ができる)2着が欲しかったですが、頑張って走ってくれたと思います。陣営の話ではフラワーCから桜花賞に向かうということです。
――ブラウンラチェットは馬体重が大きく減ってしまいましたね。
木實谷:輸送自体では馬体は減っていなかったのですが、レース前からいつもと様子が違ったようなんですよ。前走は折り合い良く走ったのですが、今回は斜め前に馬がいたというはありますが、終始力んでリズムが良くなかったですね。最後もハミが抜けてしまったようで。何が原因でここまで走れなかったのか、現状では分かりかねていますが、少なくともこの馬の実力ではないことは確かです。
――最終追い切り後の時点で馬体重が減っていましたよね。
木實谷:アルテミスSの後、結構疲れていたので、その疲れが残っていたのかもしれません。少なくとも本調子ではなかったなと思います。送り出す時点では身体は減っていなかったですが、精神的なところも含めて輸送が原因なのか、それとも他に原因があったのか、これから厩舎の方とお話しして、春はどうするのかを考えていきたいと思います。
――この馬の場合、賞金自体は問題ないので、ジックリ調整して桜花賞に直行でしょうか?
木實谷:心身の回復具合を見てからになりますが、基本的にはそうなる可能性が高いとは思います。この馬は1800mから使い出したように、オークスも良いと思っているので、この馬がベストな状態で桜花賞なり、オークスに臨めるような選択をしたいと思います。
――続いて翌週の朝日杯FSですが、アルレッキーノが10着に敗れました。先行するかと思ったのですが。
木實谷:馬は直前に見ても肌艶も良かったですし、体調面は良さそうでした。ただ、最終追い切りの際でも馬場入りをゴネたり、ちょっと調教が上手くいっていないですね。精神面を含めて、もうちょっと調整の段階から工夫が必要かなと思いました。
少なくとも、勝った時の時計もそうですし、サウジアラビアRCでも負けたとはいえ勝ち馬とそんなに差のないところにいたわけですから、今回の結果がこの馬の能力ではないと思っています。今はその能力を発揮できない状況になってしまっているので、修正していきたいと思います。
――1週戻って、香港ヴァーズについても伺います。ステレンボッシュは3着でしたが、乗り方次第ではチャンスがありましたよね。
木實谷:ジョッキーと調教師の打ち合わせの内容を聞いた限りでは、外枠を引けたので、普通に出たら押し上げて5~6番手につけようという話だったみたいです。それがすぐ馬の後ろに入っちゃったので、どう伝わっていたのかちょっと分からないですね。結局ずっと後ろにいて、全部の馬を差し切ったあとに差されてしまったので、脚の使いどころひとつだったとは思いますけどね。
ただ、初の海外競馬で自身の走りができたのは良かったと思います。
衝撃のレコード勝ちデンクマールなど12月注目の2歳戦回顧
――続いては12月開催で勝ち上がった印象的な馬について馬がいます。12/1(日)の中山芝2000mではスモーキーゴッドが逃げ切って初戦勝ちでした。