毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・天皇賞・春勝利のヘデントール、凱旋門賞への可能性
・ユニコーンSで2着のクレーキング、注目の次走
・ファンダム&カラマティアノスで挑む日本ダービー
・スティンガーグラスなど目黒記念最新情報
天皇賞・春勝利のヘデントール、凱旋門賞への可能性
――今回はまず天皇賞・春の振り返りからお願いします。ヘデントールの勝利、おめでとうございます。
木實谷:ありがとうございます。トップスタートで出てポジションも取れましたし、上手く立ち回ってもらいました。最後の直線も力を振り絞って、強い競馬を見せてくれたと思います。
――今年は宝塚記念の日程が前倒しされているので、ヘデントールは秋までお休みでしょうか?
木實谷:レースの回復具合を見てからの判断になると思います。凱旋門賞にも登録していますので、いくつかの選択肢の中から、この馬にとってベストなレースを選んでいければと思います。
――現時点で、凱旋門賞出走の可能性はあるのでしょうか?
木實谷:登録したということは、可能性はあるということですね。今年の凱旋門賞にはノーザンファーム関係の馬が6頭登録しているので、どの馬にチャンスが大きいのかという点も踏まえて、出走馬を選ぶことになると思います。
――先日、フランス競馬を統括するフランスギャロから、凱旋門賞に出走する日本馬2頭に対し、輸送費用の補助を行うことが発表されました。昨年の凱旋門賞から今年の宝塚記念までのレースを対象に、レーティングをベースに2頭が選出されるとのことですが、この2頭に選ばれなくても遠征する可能性はありますか?
木實谷:もちろんです。これまでも招待レースではない中で出走していましたので。チャンスがあればチャレンジしたいと思っています。
――ヘデントールはここ3走が3000m超のレースで、デビューから常に2000m以上の距離を使われています。今後も長距離路線になりそうですか? それとも2000m前後のレースも視野に入っているのでしょうか?
木實谷:現状の適性は中長距離だと思います。もう少しトモがしっかりしてくれば、もっと短い距離にも対応できると思いますよ。2000mぐらいでも大丈夫だと思います。
天皇賞・春は周りに速い馬がいなかったので良い位置が取れましたが、2000mになるとマイルを使っているような馬も出てきますので、そうなると位置取りがポイントになりますよね。その意味でも、トモも含めて、もうちょっと成長が必要かと思います。
――まだ4歳ですからね。まだまだ成長の余地がありますよね。
木實谷:そうですね。今でも直線で手前を何度も替えたりしているくらいですから。しっかりしてくれば、もっと強くなると思います。成長を待ってあげたいですね。
――そうなると、秋は凱旋門賞かジャパンCが最大目標になりそうですね。
木實谷:凱旋門賞に行かないなら、ジャパンCというのは当然視野に入ってくると思います。調教師も東京が合いそうとおっしゃっているので。とはいえ、次走はあくまでも状態次第ですね。
ユニコーンSで2着のクレーキング、注目の次走
――天皇賞・春の前日は、京王杯SCでレッドモンレーヴが4着、ユニコーンSでクレーキングが2着という結果でした。それぞれ振り返りをお願いします。
木實谷:京王杯SCのレッドモンレーヴは、4着ではありましたが、自身の脚は使っていると思います。ユニコーンSのクレーキングはスタートが全てでしたね。出遅れにしても、そこに至るまでの過程と言いますか、もう少し落ち着いてレースに臨めていればという印象ですね。
――クレーキングはレース前から高ぶっていたのでしょうか?
木實谷:もともとゲートに課題があった馬で、駐立が悪く、伸びあがるようなスタートになってしまいました。芝スタート、ダートスタートは関係ない出遅れでしたね。
――次走は東京ダービーでしょうか?
木實谷:まだ戻ってきて乗り出したところなので、状態を見極めてからになりますが、東京ダービーに出走できるようであればチャレンジしたいと思っています。ただ、現時点では1頭回避馬が出ないと出走できないようなので、その状況も見極めつつという感じですね。
――繰り上がり待ちとなると、厩舎に戻すタイミングも難しそうですね。
木實谷:そうですね。レースが6月11日で、補欠の繰り上がり締め切りが6月5日。1日と8日に追い切りが必要ですから、出走が決まる前の段階で厩舎に戻すことになります。もし出走できなければ、目標をレパードSや他のレースに切り替えて再調整することになりますね。
ファンダム&カラマティアノスで挑む日本ダービー
――ここからは今週末の大一番・日本ダービーについて伺います。残念ながら青葉賞を勝ったエネルジコは回避となりましたが、現在3戦3勝のファンダムと、共同通信杯2着馬のカラマティアノスが出走を予定しています。まずはファンダムですが、毎日杯後の状態はいかがでしょうか?