毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・ドリームコアなど期待馬が1番人気に応える快勝
・ハイレベルなダート新馬戦をペルセアが制す
・新馬戦好調の天栄勢、一方で心配も
・小倉記念&今週末デビューの2歳馬情報
ドリームコアなど期待馬が1番人気に応える快勝
――今回は東京開催後半の新馬戦振り返りからお願いします。6/14(土)の芝1600mはドリームコアが逃げる形での勝利になりました。
木實谷:欲を言えば、控える競馬で勝てれば良かったのですが、まずは勝てて良かったです。先頭に立ってからずっと耳を立てて走っていたように、先々に向けて課題は感じました。調教では逃げなくていい訓練をしてきましたので、これからそのような競馬ができるように、さらに鍛えていきたいと思います。
――お母さんのノームコアは1600~2000mで活躍しましたが、この仔は距離的にいかがでしょうか?
木實谷:距離は延びても大丈夫だと思います。ノームコアはピッチ走法でしたが、ドリームコアはお母さんよりも跳びがキレイですね。この世代でも屈指の牝馬だと思っていますので、今後大きいところを狙うためにも、無事にいって欲しいですね。
――同日の芝1400mでもサンアントワーヌが1番人気に応えてデビュー勝ちを飾りました。
木實谷:直線で勢いがつくまではちょっとモタモタしましたが、勢いがついてからは一気に突き放したように、強い内容だったと思います。
――父はドレフォンですが、母父のハービンジャーが出ているような印象を受けました。
木實谷:お母さんの血が出ていると思います。お母さんに似て跳びも綺麗ですし。
――1400mデビューでしたが、近親は中距離馬が多い一族です。距離的にはいかがでしょうか?
木實谷:跳びも大きい馬ですし、元々は1600m以上で良いなと思っていた馬なので、今回は能力で勝ってくれたというところですね。次は距離を延ばしたいなと思っています。
――翌週6/21(土)の芝1800mも1番人気のモノポリオがデビュー勝ちを飾りました。
木實谷:調教の段階からすごく動いていたので、まずは順当勝ちといったところですね。この血統は引っかかるというか、テンションが上がりやすいので、実戦に行ってからを心配していたのですが、良い意味で遊びがあるというか、余裕があったのは良かったと思っています。
ハイレベルなダート新馬戦をペルセアが制す
――同日のダ1400mは3番人気のペルセアが圧倒的人気のアルカディアカフェを制してデビュー勝ちを飾りました。このレースはハイレベルな新馬戦だったと思いますが。
木實谷:そうですね。このレースはパドックを見ていても結構なメンバーが揃っていましたね。2着のアルカディアカフェも強い馬だと思うのですが、ペルセアが好スタートから逃げ切ってくれました。力を出し切ってくれましたので、この後は間隔をあけてリセットしてあげてから、次に向かいたいと思います。
――このレースを勝っても賞金750万円しかもらえないのか、というぐらいのハイレベルレースだったと思います(笑)。ペルセアはサンアントワーヌと同じドレフォン産駒ですが、距離的には短めでしょうか?
木實谷:そうですね。こちらはピッチ走法で、しかも掻き込みが強いタイプですからね。
――翌日6/22(日)の芝1600mでは1番人気に推されたダーリングハーストが3着に敗れました。
木實谷:調教の感じからすると及第点といったところですね。最後もなだれ込む形だと心配になりますが、しっかり伸びてきましたので、この点は良かったと思います。距離も短いかなと思いつつ、先々を見据えてマイルを使ってみたところがありますので、着順は3着でしたが、悪くない競馬だったと思います。
――同日の芝1400mでも1番人気に推されたエコールナヴァールが2着に敗れました。
木實谷:2着に負けはしましたが、この馬は調教で常に遅れていたので、実戦で変わってくれてホッとしました。メドはついたと思います。
――1400mから使い出した理由には何かあったのでしょうか?
木實谷:調教でも最後にヨーイドンとした時に、あまりシュッと動けなかったこともあり、1400mであればある程度ペースが流れるのではないかということで、この距離から使っています。お母さんのジューヌエコールも短い距離で走っていましたからね。
――最後に、宝塚記念当日の阪神芝180mでデビュー勝ちしたサレジオについて伺います。デビュー前の当欄では、「環境の変化でビービー鳴いたりするところがあるので、色々経験させながら育てていきたい」とのことでした。