毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・福島新馬戦の振り返り、天栄勢の課題
・アーモンドアイの仔プロメサアルムンドがデビュー
福島新馬戦の振り返り、天栄勢の課題
――今回は福島開催の新馬戦から振り返ります。まず、6/29(日)の芝1800mでは、ジオグリフの全弟ロスパレドネスが1番人気に応えてデビュー戦を飾りました。
木實谷:調教の内容からすると、こちらの感触以上に走れたと思います。パドックでもイレ込みがキツかったのですが、改めて能力が高いなと思いました。
――1800mデビューでしたが、今後も中距離路線でしょうか?
木實谷:今後の変化次第ではありますが、基本的にはそうなるかなと思っています。
――このレース、2番人気のパッセージピークは最下位13着に敗れてしまいましたが、何かありましたか?
木實谷:当日は暑さと高い湿度で厳しい条件だったのですが、こちらは熱中症でした。既に北海道に移動しており、しっかり休ませて回復に努めていきます。
――翌週、7/6(日)の芝2000mはタイダルロックが1番人気に応えてデビュー勝ちです。
木實谷:もともと調教でも動いていたので、期待通りだったと思います。14秒台のラップが2つ続くようなかなり遅いペースではありましたが、この馬の能力の一端は見せてくれたかなと思います。直線もまだ余力があるように見えましたし、まだ奥がありそうだなと感じました。
――あのスローペースでも折り合い面は心配なかったですね。
木實谷:そうですね。でもまだ新馬ですから、これからどうなるかだと思います。調教の感じからは、比較的折り合いはつきやすい方だと感じていますけどね。
――今年は福島開催に入って、新馬戦の出走馬が少ないですよね。
木實谷:以前お話しした通り、北海道から天栄に来ている馬の数が少ないので、その影響が出ていますね。
――とはいえ、順調に勝ち上がっています。
木實谷:勝ってはいるのですが、もう少し出走馬を増やしていきたいところです。これも以前お話ししましたが、新馬に複数頭出して負けたとしても、折り返しで未勝利戦に出走できるわけですし、この時期は出走頭数も少なく、レースも組み立てやすいので、出来る限り出走馬の予定を立てていきたいと思っています。
例えば、福島で使っていれば、新潟開催の半ばから後半ぐらいには走れますからね。ところが、福島開催や新潟の前半で負けた馬がいないと、新潟後半の未勝利がスカスカになってしまいます。
なので、ひとつの新馬に3~4頭走って、負けた馬がそういうところにスタンバイして勝ち上がっていくっていうのが理想的なのですが、今年は今のところ、そのような理想的な状況に至っていないというのが正直なところです。
アーモンドアイの仔プロメサアルムンドがデビュー
――ここからは今週末の出走馬について伺います。クイーンSにはクリスマスパレードが出走を予定しています。前走のヴィクトリアマイルは、レース前の当欄でも語っていただいたように、後ろからの競馬になりましたが、今回は1800mへの距離延長になります。