毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・七夕賞振り返り、明暗分かれた2頭
・春の実績馬がダートに転戦! 今週末の重賞最新情報
・今週末デビュー予定の注目2歳馬情報
七夕賞振り返り、明暗分かれた2頭
――先日の七夕賞は、1番人気のドゥラドーレスが惜しくも2着でした。大外枠が響きましたか?
木實谷:大外枠ということもあって終始外を回らされましたが、その中ではスムーズに競馬をしてくれて、戸崎騎手も上手く乗ってくれたと思います。勝ち馬も頑張っていましたからね、仕方ありませんね。本音は勝って欲しかったですが、賞金は加算できましたので、及第点としておきます。
――この時期に賞金加算となれば、秋は王道路線ですか?
木實谷:まだ牧場に戻ってきたばかりですので、予定を決めつけず、回復具合を見ながら進めていきたいと思います。屈腱炎を患った馬ですから、まずは脚元の状態を確認することが第一ですね。
――レース前の当欄で背水の陣と仰っていたパラレルヴィジョンは9着に終わりました。結果次第では、障害を含めて条件を変えるしかないとのことでしたが。
木實谷:戻ってきた様子を見ても、馬が一生懸命走ってくれていないというか、ちょっと意識が走る方に向いていないという感じでして。馬自体はまったく傷んでいませんし、環境を変えたほうが良いだろうということで、地方競馬に転厩します。これから移籍して、9月末のレースを予定しています。
今、障害に変更しても同じ状況が続くだろうなと思いまして、思い切って環境を変えることにしました。
――この変化がきっかけになると良いですね。
木實谷:だいぶピリッとすると思いますよ。背腰に疲れが溜まりやすいのと、若い頃に骨折しているので、そこは注意してもらいつつ、まずは動きやすい身体づくりをしてもらえればと。その上で、ダートを走れる筋肉量を増やす、締まった身体にするということができれば、復活はあると思っています。
――地方だと、ある程度歳を重ねても復活するケースがありますよね。
木實谷:そうですね。ちょっと表現が難しいのですが、野球選手も歳を重ねると体がゴツくなってきますよね。ダートならその身体で走れるというのがあるかもしれません。芝馬はイチローみたいにずっとしなやかでないとダメだと思うので、ダートで何とかもうひと花咲かせて欲しいと願っています。
春の実績馬がダートに転戦! 今週末の重賞最新情報
――ここからは今週末の重賞レース出走馬について伺います。ダート重賞に興味深いラインナップとなっていますので、詳しく教えてください。まず、土曜日のエルムSにはトロヴァトーレが出走を予定しています。今回は初のダート戦になります。