毎週日曜日更新の当連載『フロントライン』は、現代競馬のキーマンとも言えるノーザンファーム天栄の場長・木實谷雄太氏に、競馬に関するさまざまなお話を伺うロングインタビューコラムです。聞き手:亀谷敬正。
▼今回の主なトークテーマ
・マイルCS振り返り、ノーザンファーム天栄勢凡走の要因
・ワンツーフィニッシュの東スポ杯2歳S、ジャパンC振り返り
・ターコイズS出走馬、今週末デビュー予定の2歳馬情報
マイルCS振り返り、ノーザンファーム天栄勢凡走の要因
――今回は注目レースの振り返りからお願いします。マイルCSはアスコリピチェーノが7着、チェルヴィニアが10着、レーベンスティールが12着でした。アスコリピチェーノは好位追走から伸びきれなかった印象です。
木實谷:直線の入り口、内回りと合流するところでちょっとモタれてしまったようです。外の方が伸びる馬場で、いちばん苦しいところに入ってしまいましたね。直線もおそらく一瞬前に出たと思うのですが、そこで一気に脚を使ってしまいました。枠と進路次第ではもうちょっとやれたのかなとは思います。
――チェルヴィニアはマイナス8キロと馬体は絞れていました。
木實谷:馬体的には、まあまずまずだったでしょうか。去年のジャパンCもそうなのですが、跳びが大きいので上がりが速すぎると対応できないところがありますね。今回も上位の馬たちは32秒台で上がってきているので、この馬には向かなかったかなと思います。とはいえ、状態面は前回を使って一歩前進はあったと思います。
――マイルは若干短いでしょうか?
木實谷:そうですね。ただ、展開も含めてですね。今回のような最後だけの競馬になってしまうと、この馬の持続力が活かせないので、マイルだと展開次第のところはありますね。
――レーベンスティールも直線は伸びきれませんでした。
木實谷:これはなかなか見ている方には伝わりづらいところなのですが、懸念していた通り、レース前の消耗がこれまでになく激しくなってしまいました。前日輸送で去年の新潟大賞典の時よりもテンションが上がってしまい、そもそも競馬に臨める精神状態ではなかったですね。
――レース前の段階で厳しかったのですね。
木實谷:ええ。パドックでもどんどん前の馬に乗りかかっていくぐらい、勢いよく歩いてしまい、大変だったみたいです。GIでパドックを歩く時間も長かったですから、余計に影響してしまいました。
――前日の福島記念ですが、クリスマスパレードは6着でした。若干行きたがっていたでしょうか。
木實谷:そのような感じに見えましたね。前走後にちょっと調子が悪くなって休んだ影響が出たように見えました。ここを使って良くなってくると思いますよ。
ワンツーフィニッシュの東スポ杯2歳S、ジャパンC振り返り
――マイルCS翌日の東スポ杯2歳Sはパントルナイーフが1着、ゾロアストロが2着。見事なワンツーでした。
