競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「新潟芝」について。長年に渡り“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
今週から東京競馬と京都競馬に加えて、秋の新潟開催が開幕。3場開催となりますね。今週末には秋華賞があり、秋のG1戦線もいよいよ本番という感じですが、今回は先日、馬場担当者に取材ができた新潟の芝を取りあげようと思います。
その取材情報の前に、新潟芝の基本事項を押さえておきましょう。新潟はJRAの競馬場の中で唯一、年間を通して野芝100%でレースを行っています。春開催時は野芝が生育途上のため、草丈が短めで部分的に不揃いな箇所が見られますが、夏開催時は夏の日差しを受けて野芝がびっしり生え揃い、絶好の状態。そのため、夏開催が最も速い時計が出ます。
そして、夏開催から約1か月半あいた秋開催の時は、まだ野芝が比較的元気な状態なので速めの時計が出るものの、段々休眠に近づいていく時期というのもあり、夏開催に比べれば時計の出方が鈍ります。
そして、新潟芝の大事なポイントが、“すべての開催前にエアレーション作業を実施している”ということ。JRAでは近年、“馬場をより軟らかくしていこう”という方針を掲げ、競馬が開幕する約1~2か月前に、バーチドレンやシャタリングマシンと呼ばれる機械で路盤をほぐし、軟らかくする作業を行っています。
実は、この開幕前のエアレーション作業をJRAの競馬場で初めて取り入れたのが新潟であり、2013年の夏開催前から実施しています。なぜ、すべての開催前にエアレーション作業を実施できるかというと、新潟は野芝が休眠に入る時期に開催がないためです(野芝は地域差があるものの、一般的に11月頃から休眠に入るとされています)。
では、今年の秋開催に向けてはどんな馬場作業が行われたのでしょうか。