競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「福島芝」について。長年に渡り“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
先週から始まった秋の福島開催。福島では秋の開催前に芝を張り替えていますから、見た目の状態も良さそうでしたね。
野芝は初夏から8月にかけて旺盛に育つため、たいてい、どこの競馬場でも大規模な芝の張替は夏に行います。ただ、福島では夏開催が7月後半まであるため、張替ができるのは夏開催の後。しかも、9月に入ると涼しくなって芝が生育しにくくなるので、福島が張替作業に充てられる期間はとても短いです。そのため、福島では競馬場内の養成地などで1~2年生育させた芝を約5cm程度の厚さで張っていく、“厚張り”という手法を用いています。厚く張ることで養生期間の短さを補っているんですね。
また、このように開催時期と生育条件が噛み合わないことを補うため、福島では丈夫で傷みにくい特徴を持つ“エクイターフ”という芝を積極的に導入。現在では直線部や1~2コーナーなど、ほぼコース全面がエクイターフ。その占有率はこの芝を使用する競馬場の中では福島が1位となっています。
今年は夏開催後、コース内側を中心に約10000平方メートルの芝張替が行われました(昨年の同時期は8700平方メートル)。今回の張替で使用された芝もすべてエクイターフです。
その福島競馬場では先週、芝で12レースが実施されました。脚質別成績は逃げ4勝、先行4勝、中団3勝、マクリ1勝。張替直後の開催で内側の状態が良く、勝ち馬は内目を通る先行系が優勢。ただし、2着や3着には差し系も来ていました。