競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「福島芝コース」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
今週から福島、小倉開催が始まって、夏競馬が本格的に始まりますね。今回は日曜日に重賞(ラジオNIKKEI賞)が組まれている福島芝コースについてお伝えします。
当コラムでは何度か福島芝コースを取り上げていますが、簡単におさらいします。
基本的に福島競馬が開催されるシーズンは、芝からすると結構しんどい時期にあたります。と言うのも、野芝は初夏から8月にかけて旺盛に育つため、春の福島開催時は生長途上。夏開催は梅雨時期と重なるため、雨の影響を受けると傷みが進んでしまいます。そして秋開催が始まる11月頃は野芝が休眠に入るので、福島は開催時期と生育条件がかみ合っていないのです。
それを解消するため、積極的に導入されてきたのがエクイターフという傷みにくい特徴を持つ野芝です。JRAでは2006年から徐々に、野芝を使用する競馬場へエクイターフを導入してきました。最初に福島に入ったのは2008年の秋開催。前述したように福島芝は傷みやすいため、当初から積極的に導入され、段々量が増やされていきました。
現在、直線部や1~2コーナーなど、ほぼコース全面がエクイターフ。その占有率はこの芝を使用する競馬場の中では福島が1位となっています。
エクイターフ導入の効果は大きく、近年の福島芝は昔ほど荒れなくなり、タイムも高速化。特に、開催前半の2週間くらいは先行系や内枠が優勢。今週末に行われるラジオNIKKEI賞も内枠が有利。過去10年、1枠は(3・2・2・8)、3枠は(2・1・1・11)で、単勝、複勝回収値はともに100を超えています。
そして、4コーナーで5番手以内が(7・9・4・41)で、先行系~中団馬が活躍しています。ただし、今年は少し気になることがあるので、それは後半に書きます。
なお、いくらエクイターフを入れたとはいえ、元々、生育環境に不利な面を抱えている競馬場。雨の影響を受けると、どうしても内側が悪化してしまいます。こうなると、差し馬や外枠馬が台頭しやすくなるので注意。特に、この傾向は梅雨の影響を受ける7月開催に現れることがあります。
こうなると、騎手が傷んだ内側を開けるケースが増えて、マクリや外差しを決められる馬、道悪適性のある血統馬が成績を残します。七夕賞は道悪になると、真ん中~外目の枠が来やすくなるので注意が必要です。
では今年、開幕週の馬場はどうなりそうでしょうか。