競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「レコード連発の函館芝コース」について。長年にわたり“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
函館開催は早くも今週が最終週。6週間の開催はあっという間ですよね。その函館競馬場の芝コースでは先週、開幕週に続いてレコードタイムが続出し、話題になっていましたね。
まず、土曜日の新馬戦でマルガが1800mを2歳コースレコードで勝利。日曜日は北海ハンデキャップ(1800m)でミッキージュエリーが従来のコースレコードを0.1秒更新する1分45秒6を記録。そのわずか2レース後の巴賞でケイアイセナが1分44秒8を記録。コースレコードを0.8秒塗り替えたので、驚いた方も多かったと思います。
なぜ先週は時計が速くなったのでしょうか。
先週は芝がBコース替わりだったのに加えて、函館競馬場では7月6日(日曜日)以降降水量が計測されておらず、芝コースのクッション値は開催4週目よりも高くなりました(平均クッション値は4週目が7.0。5週目は7.55。クッション値は数値が高いほど締まっている)。
そして含水率は4週目よりも低くなりました(平均含水率は4週目が16.2%。5週目は14.55%。含水率は低いほど乾燥している)。つまり、馬場が乾いていたことが高速化につながったと思われます。
巴賞を制した藤岡佑介騎手はレース後、報道陣からの取材に対し芝コースについて、「硬くないですよ。クッション値が3場で一番軟らかいですしね。このところ雨も降らなくて乾くから、馬場がいい。いい馬場で能力のある馬が走れば時計は出ます」とコメントしていました。
藤岡佑介騎手は2020年から日本騎手クラブ関西支部の馬場保全委員長を務めており、馬場への造詣が深いです。
2024年に上梓した「馬場のすべて教えます2」に、川田将雅騎手、藤岡佑介騎手、坂井瑠星騎手と、JRAの馬場造園課の職員を交えて行った馬場座談会を掲載させていただきました。この座談会で藤岡佑介騎手はレース当日に検量室に貼り出される含水率やクッション値を「チェックしています。数値を見て、実際に乗った体感とのずれがあるかを確認します」と話していました。
そんな藤岡騎手が今の函館芝コースを「硬くないですよ」とおっしゃっているのですから、本当にそうなのだと思います。時計が速くなったのはやはり、芝コースが乾いており、状態が良いことが影響しているのだと思います。
では、最終週の芝コースはどういう傾向になりそうでしょうか。