競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「なぜ今の中京芝コースの時計が速いのか」について。長年に渡り“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
まだまだ暑い日が続きますが、夏競馬は終盤。中京と新潟競馬は今週が最終週になります。今週は中京競馬場の芝コースにスポットを当てます。
先週の中京芝レースは12鞍行われ、逃げ3勝、先行6勝、中団3勝。先週はBコース替わりということもあって、逃げ、先行馬が活躍。まだ内目の2~3分くらいを伸びて勝つ馬が多かったですよね。差すにしても3~4分くらいから伸びており、近年の中京芝の傾向通り、先行系が優勢で外伸びにはなっていませんでした。
そして、先週日曜日に1600mで行われた2歳未勝利戦の勝ち時計1分33秒4は、2歳コースレコードに0.3秒差。そのほかのレースでも速い時計がマークされていました。
先週はBコース替わりだったとはいえ、トータルでは開催5週目だったということを考えると、なぜ今の中京芝コースの時計が速いのか、不思議に思う方もいると思います。
その背景には2つの理由があると考えています。まず今年は雨が少なく、芝が締まっていることが挙げられます。
昨年夏の中京開催、8月10日から9月8日までの開催日10日間の平均クッション値は9.24でした。一方、今年夏の中京開催、7月26日から8月24日までの開催日10日間の平均クッション値は10.23。8月3日(日曜日)以降はずっと10を超えています。クッション値は10を超えると“やや硬め”に分類されます。
昨年夏の中京開催時には平日を含めると200ミリを超える雨量が計測されていましたが、今年は7月26日から8月24日まで26.5ミリしか計測されていません。やはり、雨が少なく芝コースが締まっており、結果として傷みが少なくなりますから、それが好時計につながっているのでしょう。
そして、もう1つの理由が鳥取産野芝の量が増えていることです。8月5日配信の当コラム(中京芝コースは鳥取産野芝の量が増加)で、今夏の中京芝コースがどのような馬場作業を経て開幕したのかをお伝えしました。
その際、春の2回開催終了後、コース全周の内側を中心に約25000㎡の芝張替を実施(コース全周内側が20900㎡、コース外側が4100㎡)とご紹介しましたよね。