競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「今秋からオーストラリア・アルバニー産の砂が入った中山ダート」について。長年に渡り“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
当コラムでも何度かご紹介してきた通り、JRAでは今年の年明けからダートコースで使用するクッション砂の産地や割合、特徴をホームページで公表しています。
▼JRAホームページ/馬場情報
ダートコースのクッション砂について
そもそも、JRAでは1990年以降、青森県産の砂を長い間、各競馬場で使用してきました。しかし2020年頃から、青森県の良質な砂が採れにくくなってきました。そこで近年は、これまで使用してきた青森県産の砂をベースに、それぞれの競馬場に必要な要素を補える産地の砂を混ぜるようになっています。
最近、阪神競馬場や中京競馬場のダートが以前と比べると白くなってきたと感じる方がいると思いますが、近年阪神競馬場では青森県産をベースに、地方競馬場で導入されているオーストラリア・アルバニー産の珪砂を、中京競馬場では愛知県産の珪砂を混ぜて使用しています。
珪砂は色が白いです。最近、阪神競馬場や中京競馬場では段々この珪砂の比率が増えてきているため、「なんか白いよね」という感じになってきているという訳です。
例えば、先ほど例に出した阪神競馬場のダートは青森県産が55%、オーストラリア・アルバニー産が40%、宮崎県産が5%。中京競馬場のダートは7月22日配信の当コラム(今開催から愛知県産珪砂の量が増えた中京ダート)で最新事情をお伝えした通り、青森県産が45%、愛知県産が50%、新潟県産が5%となっており、今年夏開催から愛知県産珪砂が青森県産を上回った状態でレースが行われています。
最近は青森県産の砂をベースに、それぞれの競馬場に必要な要素を補える産地の砂を混ぜるようになっていると前述しましたが、今年の春開催まで青森県産100%だった競馬場がJRA全10場の中で1つだけありました。それは中山競馬場です。しかし、「今年の春まで」と書いたのは今年の秋開催から青森県産以外の産地の砂が初めて補充されたからです。
中山競馬場では今年の春開催後、例年通りコース上にある砂をすべて集めてきて、洗浄しました。その後、きれいになった砂は再利用。細かくなった砂を取り除いたため、足りなくなった分、新たに砂を足しました。その砂が「オーストラリア・アルバニー産」でした。というわけで、最新の割合は青森県産が90%、オーストラリア・アルバニー産が10%となっています。
では、オーストラリア・アルバニー産の砂が入って、タイム面はどうなるのか。
