競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「スプリンターズSが行われる中山芝」について。長年に渡り“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
今週末は中山競馬場でスプリンターズステークスが行われますね。いよいよ秋のGI戦線がスタート。そこで、今回はその舞台である中山芝コースを取り上げます。
先週、中山芝レースは12鞍行われ、逃げ4勝、先行6勝、中団2勝。内側から6mの所に移動柵を設置したCコースに替わって、内目を通る先行系が活躍していました。先週に限らず、今の中山芝は先行馬の勝利が目立ち、開幕週から3週目まで、後方馬の勝利はありません。
また、オールカマーでコースレコードに0.1秒差の2分10秒2がマークされるなど、速い時計が出る状態となっています。
これらの要因として、今開催前にコースの内側を中心に約24000㎡の芝張替を実施し、状態が良いことが一番の要因として挙げられます。
しかし、このほかに中山芝コースにおける近年の“エアレーション作業”が変化してきていることも関係しているのではないかと、感じています。
エアレーション作業とは芝の張り替え前などに、バーチドレンと呼ばれる機械で芝に穴を開けて路盤をほぐし、通気性や排水性を向上させ、芝がより生育する環境を整えるのが主な内容。JRAの各競馬場ではこの作業をかなり以前から取り入れてきました。
2009年からはシャタリングマシンという、馬場をより深くほぐす事ができる機械を導入。また2013年頃からは、各競馬場で競馬が開幕する約1か月~数か月前に芝コースにバーチドレンやシャタリングマシンを入れて、より馬場をほぐす作業を取り入れるようになりました。この作業も相まって、近年の馬場は適度なクッション性を保つようになってきています。
中山競馬場では2014年頃から開幕前のエアレーション作業を開始。エアレーション作業を行った時期が開幕に近いほど、馬場が軟らかいため、この時期が近ければ開幕週でも差し馬が活躍する機会が増える状況がありえるわけです。そのため馬券を買う競馬ファンにとっては、この開幕前のエアレーション作業の有無や時期は重要なポイントなのです。
中山では2014年頃からエアレーション作業の実績を積み重ねてきて、効果や影響が把握できるようになってきたことから、少しずつ作業内容を見直してきました。