競馬キャスター、ならびに単行本「馬場のすべて教えます2」の著者としてもお馴染みの小島友実さんによる連載『コジトモの馬場よもやま話』。
今回のテーマは「愛知県産の砂が増えた中京ダート」について。長年に渡り“馬場”を取材してきた第一人者からの馬場情報は必見です!
時が過ぎるのは本当に早いもので、もう師走競馬ですね。今週末は中京競馬場でダートGI・チャンピオンズカップが行われます。その舞台である中京ダート、実は今年夏から使用しているクッション砂に変化があったのをご存知でしょうか。
JRAでは長年、青森県産の砂を使用してきており、洗浄によって足りなくなった分も青森県産で補ってきました。しかし、当コラムでも何度か紹介している通り、2020年頃からはこの青森県産の良質な砂が採れにくくなっています。
最近、テレビや新聞のニュースで、「世界的に砂が不足している」と報道される事があるので、このような状況をご存知の方もいるのではないでしょうか。
このため近年、JRAでは長年使ってきたベースである青森県産の砂に、それぞれの競馬場に必要な要素を補える産地の砂も使用し始めています。
中京のダートコースでは2021年9月の開催から青森県産の砂をベースに、愛知県瀬戸市産の“珪砂”を混ぜるようになりました。
珪砂はガラス製品や陶器の原料としても使用されている砂。異物が混合しておらず、衝撃に強いため粉砕しにくいという特徴があります。そのため、近年はダートで使用する砂に適しているとして、園田競馬場、姫路競馬場、門別競馬場、船橋競馬場、大井競馬場がオーストラリア・アルバニー産の珪砂を使用しています。
また、名古屋競馬場や笠松競馬場、金沢競馬場で使用されている砂は中京競馬場と同じ愛知県瀬戸市産の珪砂です。
珪砂はその見た目から、“白い砂”と評されることが多いです。なお、地方競馬場ではこれらの珪砂が単体で使用されています。
中京競馬場では2021年当時は青森県産が約90%で、愛知県産が約10%でしたが、2023年には愛知県産が37%に増加。2024年はまだ青森県産が占める量の方が少し多かったのですが、今年の夏開催では青森県産が約45%、愛知県産が約50%、新潟県産が約5%になり、12月開催もこの割合での施行になります。
ということで今夏の中京開催からは愛知県産が青森県産を上回りましたので、昔の中京ダートと比べると色が白くなっています。
最近は各競馬場で青森県産以外の砂の割合が増えていますが、青森県産以外の砂が青森県産を上回るのは中京競馬場が初となります。そこで気になるのが時計ですよね。
