今月19日、大井競馬場に左回りコースが新たに設置されることになりました。開場から70年、右回りコースで競馬が行われてきた大井競馬場が、ダート競馬の本場・アメリカと同じ左回りコースが加わることで、堂々たる世界標準の舞台となるだけでなく、日本では37年ぶりに左右両回りの競馬場が誕生することになります。
かつて府中の東京競馬場には右回りコースも存在し左右両回りで競馬が行われていました。当時のレース映像を観ると、ハロン棒が赤青2色あり、左回り残り200mのハロン棒の脇に右回りのゴール板があるのが確認出来ます。しかしながら1984年を最後に廃止。同じく左右両回りで競馬が行われていたフランスのメゾンラフィット競馬場も2019年に閉場となっており、現在において左右両回りの競馬場は世界唯一です。
「左右両回り」だけでなく、大井競馬はこれまでにも、数多くの革新的な取り組みで競馬の歴史を切り拓いてきました。
大井競馬が開場したのは1950年。JRAが発足する4年前です。開場時には、日本で初めてゴール写真判定装置を設置。1953年には従来のバイヤー式発馬機に替わりゲート式発馬機を他に先駆け導入。同じ年には競輪などにも範をとり、「白・黒・赤・青・黄色…」という枠別の帽色を日本で初めて採用しました。また、1955年には日本で初めてパトロールフィルム制度(現在のパトロールビデオ)を採用しています。
1970年代には、地方競馬で初めて中央競馬騎手の招待競走を行ったり、外国女性騎手の招待騎手競走を日本競馬界で初めて行うなど、様々な企画レースを実施。今では当たり前になったナイター競馬「トゥインクルレース」を日本で初めて実施したのは35年も前の1986年。1995年にはアメリカのサンタアニタ競馬場と友好交流提携。馬券ファンの視線を3着の馬にも向けさせた「ワイド馬券」を初めて導入したのも大井競馬。1999年でした。
その後も、2001年、第1回JBCの舞台となった他、韓国競馬との国際競走を実施したりと、常に競馬の新しいカタチを切り拓いてきた大井競馬。新たに設置される左回りコースに関しては、当面、1650mコースを新設し、各開催日の最終レースに行う方針ということです。
1000mコースや、将来的には左回り2000mのレースも実施し、重賞レースのいくつかは左回りになるかもしれないとのこと。もちろん、安全面など十分に考慮し、段階を踏んでということでしょうが、競馬ファンにとっては、ワクワク感しかありませんよね。大井競馬の革新的な取り組みから、今後も目が離せません!
2021/11/04 (木)
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。