今週も先週に続き、今年この世を去った名馬たちを偲びます。
▼レガシーワールド 8月18日 32歳没 老衰のため
戸山為夫厩舎からデビュー。同厩の同期にはミホノブルボンがいましたが、こちらはモガミ産駒特有の気性難で3歳(現2歳)時に去勢されクラシックには出走できず。しかしセントライト記念で、ミホノブルボンの3冠を阻止した後の菊花賞馬ライスシャワーに競り勝つなど才能が開花。戸山調教師亡き後、森秀行厩舎に引き継がれ、5歳(現4歳)の秋にジャパンカップを制覇。騙馬が故、血統表にその名は残りませんでしたが、「平成の暴れん坊」の記憶はいつまでも残ることでしょう。
▼ドゥラメンテ 8月31日 9歳没 急性大腸炎のため
父・キングカメハメハ、母・アドマイヤグルーヴ、祖母・エアグルーヴ、曾祖母・ダイナカールという日本競馬の結晶とも言うべき良血馬で、2015年、皐月賞・ダービーの2冠を達成。ミルコ・デムーロ騎手にとっては、3月のネオユニヴァースにつづき、その背を知る2冠馬との別れが相次ぎました。僅か5世代を残してのあまりに早すぎる死でしたが、初年度産駒のタイトルホルダーが、秋、父が出走出来なかった菊花賞を制しました。
▼ウメノファイバー 9月12日 25歳没 老衰のため
トゥザヴィクトリー、プリモディーネ、レッドチリペッパーらがいた世代のオークス馬。当時の鞍上、蛯名正義調教師が騎手引退式の際、2万1000回あまりの騎乗したレースの中で「自分のなかで一番うまく乗れたなと思うレース」として、ウメノファイバーのオークスを挙げていました。1998年と99年は、ウメノファイバーとエアジハードという2頭のサクラユタカオー産駒が輝きを放ち、その直後にサクラユタカオーの繫殖能力が失われたのが、とても印象に残っています。
▼アグネスデジタル 12月8日 24歳没 放牧中の事故のため
3歳時に京都のマイルチャンピオンシップ、翌年は盛岡のマイルチャンピオンシップ南部杯を制した日本競馬史上ただ1頭の「芝・ダート二刀流のマイルチャンピオン」。
2001年のマイルチャンピオンシップ南部杯で、私は当時、地元・岩手放送の競馬中継でリポーターを務めていて、四位洋文騎手(現調教師)に優勝騎手インタビューをしたのが思い出です。外国産馬の出走枠を巡って、クロフネのその後の運命を変えた秋の天皇賞の出走と低人気を覆す優勝。暮れには日本馬初の香港カップ制覇。明けて今度はフェブラリーステークスも勝って4戦連続G1勝利。その後もドバイや香港、さらに地方競馬の交流重賞も転戦し、6歳時には安田記念を優勝。芝・ダート、国内外を問わない平成を代表する名マイラー。白井寿昭調教師の究極の仕上げにより研ぎ澄まされた黄金色の馬体が印象的で、個人的にも大好きな馬でした。
2021/12/23 (木)
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。