ケンタッキーダービー中継を堪能するための3つのハナシ/大澤幹朗の競馬中継ココだけのハナシ

ケンタッキーダービーが、いよいよ日本時間の8日(日)の朝に迫ってきました。今年は日本からUAEダービーを制したクラウンプライドが出走し、3年ぶりに海外馬券発売も行われます。そこで今回は、日曜日の朝、TV中継を通して、現地の空気を感じながらケンタッキーダービーを堪能してもらうためのハナシを3つ紹介させていただきます。

1つめは「ケンタッキーの我が家(My Old Kentucky Home)」のハナシ。1852年にスティーブン・フォスターが作詞・作曲し、かつてはケンタッキーフライドチキンのCMソングとしてもお馴染みでした。ダービー当日は、本馬場入場時に地元ルイビル大学のマーチングバンドの演奏にあわせ、この曲を観客全員で斉唱します。

実際の歌詞の内容は、奴隷制度が残る時代の農園での不作による黒人一家悲劇を描いたものですが、「The sun shines bright in the old Kentucky home,(懐かしいケンタッキーの我が家に太陽が輝く)」で始まり、「We will sing one song for the old Kentucky home For the old Kentucky home, far away(我々は歌う、ケンタッキーの我が家のために、ケンタッキーの我が家よ、はるかに)」で結ぶ歌詞が、世界最大の生産地ケンタッキーで生まれた競走馬たちが、故郷で晴れの舞台に立つシチュエーションにオーバーラップして心が震えます。

2つめは「ミントジュレップ(Mint Julep)」のハナシ。ケンタッキー州を中心に生産されているバーボンウイスキーをベースとしたケンタッキーダービーのオフィシャルドリンクで、当日はグラス片手にレースを観戦するのがスタイルになっています。

「日曜日は休みだし！」という方は、バーボン、ガムシロップ、炭酸水、ミント、氷を準備して、チャーチルダウンズ競馬場と同じ気分を味わってみてはいかがでしょうか。ちなみにケンタッキーダービーは、バーボンウイスキーのウッドフォードリザーブがメインスポンサーになっており、ミントジュレップに使われるバーボンとして最も人気が高いようです。

3つめは「ラン・フォー・ザ・ローゼス(Run for the roses)」のハナシ。ケンタッキーダービーでは優勝馬にバラのレイ(ブランケット)が掛けられることから、この通称が名付けられました。

祖母がエアグルーヴのキングカメハメハ産駒で、1勝馬ながら重賞2着3回の実績を持ち、藤沢和雄厩舎から蛯名正義厩舎に移籍した現役馬ランフォザローゼスの馬名の由来です。1970～80年代に絶大な人気を博したダン・フォーゲルバーグの曲に「Run for the roses / バラに向かって走れ」という、競走馬の誕生からケンタッキーダービーに至る道のりを歌った名曲があるので、ぜひ聴いてみてください。染みます。

3年ぶりに入場制限無しで行われるケンタッキーダービー。当日午前7時からのグリーンチャンネルの中継では私が進行を務めさせていただきます。“The most exciting two minutes in sports(あらゆるスポーツの中で最もエキサイティングな2分間)”と呼ばれるアメリカ競馬最高峰のビッグイベントを馬券はもちろん、現地の雰囲気も、思いっきり楽しみたいですね！