26日、阪神競馬場では宝塚記念が行われます。このコラムが更新される頃には既に枠順が発表されているかと思いますが、今年は20頭が登録し、フルゲート18頭が揃いました。
JRA上半期の総決算とも言うべき“関西版有馬記念”の宝塚記念ですが、6月末という開催時期が、馬場が荒れやすい梅雨の真っ只中であり、しかも気温が上がる初夏ということもあって、馬の負担を避けてか、なかなか頭数が揃わないことで知られています。
18頭フルゲートで行われたのは過去62年の歴史で2007年と2020年の僅か2回しかありません。このうち、クロノジェネシスが制した一昨年の宝塚記念は記憶に新しいと思いますので、今回は2007年、15年前に行われた「フルゲートの宝塚記念」を振り返ります。
歴史上、初めて18頭フルゲートが揃った第48回宝塚記念。ファン投票1位は前年のクラシック2冠馬で、前走の天皇賞・春も制したメイショウサムソン。同じく4歳馬で、3月のドバイデューティーフリー(現ドバイターフ)に勝利したアドマイヤムーン。シンガポール航空国際カップの優勝馬シャドウゲイトとコスモバルク。前走の安田記念で4つ目のGIタイトルを獲得したダイワメジャー。前年の2冠牝馬カワカミプリンセス。そして、この年、牝馬として64年ぶりに日本ダービーを制したウオッカ。GI、JpnIの勝ち馬は実に7頭。
他にも、ポップロック(前年メルボルンカップと有馬記念で2着)、ダービーでウオッカの2着だったアサクサキングス、中山記念勝ちのローエングリンなど、18頭中17頭が重賞ウイナーという、今振り返っても「超」の付く豪華メンバーでした。
6月24日。当日の阪神競馬場は朝から雨で芝は稍重のコンディション。レースは、ローエングリンが引っ張り馬群は縦長。カワカミプリンセス、シャドウゲイト、ダイワメジャーらが前方で追走し、中団でウオッカ、メイショウサムソンの新旧ダービー馬。それをマークする形でアドマイヤムーンが続き、ポップロックらは後方で脚を溜める展開。
かなり時計のかかる馬場だったにもかかわらず1000m通過が57秒5というハイペースとなり、3コーナーで先団の各馬は軒並み失速。4コーナーでは内を通ったウオッカ、カワカミプリンセスの牝馬2頭が先頭に立ちかけるも、直線ではコースの真ん中から外を伸びてきた石橋守騎手のメイショウサムソンと、岩田康誠騎手のアドマイヤムーンの4歳馬2頭が抜け出し一騎打ちに。最後はアドマイヤムーンが1/2馬身差制して、初の国内GIタイトルを手にしました。2着メイショウサムソンから2馬身差の3着には、後方から外を通ってジワジワ伸びてきたポップロックが入り、1番人気のウオッカは8着。3連単は15,570円でした。
強い4歳馬(エフフォーリア、タイトルホルダー)が揃い、牝馬クラシックの勝ち馬(デアリングタクト)もいて、ドバイでビッグタイトルを手にした馬(パンサラッサ、ステイフーリッシュ)や、GIにはあと一歩手が届かない実力馬(ディープボンド)も名を連ねるなど、今年のメンバーと重なるところもある気がします。「フルゲートの宝塚記念」、15年前を上回るような熱戦を期待しましょう。
2022/06/23 (木)
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。