中央競馬は今週末から秋競馬がスタート。日曜日、中山競馬場では第67回京成杯オータムハンデキャップ(G3)が行われます。日本中央競馬会の設立から3年後に創設された歴史ある競走で、秋のハンデ重賞として長く親しまれているレースですが、この重賞、私のようなアラフィフ以上の競馬ファンにとっては、競走名が少し紛らわしかったという歴史があります。
「オータムハンデキャップ」の競走名で1956年に創設された当初、レースは東京競馬場の芝1600mで行われていました(第2回は中山競馬場)。その後、1959年に「京王杯オータムハンデキャップ」に競走名が変更され、何度か距離や開催場の変更を経ながら、1980年からは中山競馬場での開催が定着しました。
東京の私鉄に馴染みがない方に補足しますと、「京王杯」を寄贈する京王電鉄は、その名のとおり東京と八王子を結ぶ鉄道で、東京競馬場へのアクセスに欠かせない電車と言っても過言ではありません。ところが「京王杯オータムハンデキャップ」の開催場が東京競馬場ではなく、京王線沿線から遠く離れた中山競馬場となってしまったわけです。中山での「京王杯」は1997年まで続きましたが、競馬や首都圏の鉄道網を覚えたての時期だった当時の私は、少々ややこしさを感じた覚えがあります。
逆の歴史をたどったのが、秋の2歳重賞「京王杯2歳ステークス」です。このレースは1965年の創設から「京成杯3歳ステークス」の競走名で中山競馬場を舞台に行われていたのですが、1980年以降は東京競馬場で行われるようになりました。東京と成田を結ぶ京成電鉄の東中山駅は、元々「中山競馬場前駅」という駅名だったとおり中山競馬場へのアクセスに欠かせませんが、京成線は東京競馬場近辺には行きません。
東京・池袋駅における、東口に西武鉄道、西口に東武鉄道という現象にも似た(?)、中山で「京王杯」、府中で「京成杯」が行われるという状態は、1998年に「京王杯オータムハンデキャップ」が「京成杯オータムハンデキャップ」に、「京成杯3歳ステークス」が「京王杯3歳(2歳)ステークス」に改称されることで「正常化」しましたが、しばらく「京王杯」と「京成杯」を言い間違えてしまう状況が続いたのは私だけではないはずです(笑)。
少しずつ秋らしさも感じられるようになる中、やはり競馬場での競馬観戦はいいものです。遠方から東京競馬場や中山競馬場にお越しの方、私鉄を利用する際は、東京競馬場なら京王、中山競馬場なら京成ですので、お間違えなく!
2022/09/08 (木)
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。