京都競馬場でリバティアイランドが史上7頭目の牝馬三冠を達成した秋華賞を観戦してきました。
京都で秋華賞が行われたのも、三冠牝馬の誕生も「3年ぶり」でしたが、“三冠馬が誕生する舞台”京都のファンにとって、この日の秋華賞は「4年ぶり」という思いが強かったようです。というのも、デアリングタクトが無敗で牝馬三冠を達成した秋華賞当日、改修前の京都競馬場には、あわせて890人の観客しかいなかったからです。
2020年、新型コロナウイルスの影響で無観客開催が続いていた中、この日は限定で入場が再開されました。約15倍の抽選を突破した競馬ファン778人と馬主関係者は声を出さずレースを静かに見守りました。デアリングタクトの快挙達成の瞬間、スタンドから拍手だけが湧き起こり、馬たちの蹄音に重なって競馬場に響きました。その場にいたグリーンチャンネルの中継スタッフは、何とも言えない感情で胸が締めつけられ、涙が出てきたといいます。
あれから3年。リバティアイランドの牝馬三冠達成がかかった日曜日の京都競馬場には45,601人の観衆が詰めかけました。淀駅に向かう京阪電車は平日の通勤ラッシュかと思うほどの混雑。京都競馬場は熱気に包まれていました。
▲360度満員のパドック
▲満員のスタンド
淀の舞台に本来の熱気が戻ってきたのは、確かに「4年ぶり」だったのです。
それにしても、リバティアイランドの牝馬三冠達成の瞬間を体感できたのは本当に幸せでした。
パドックで見たリバティアイランドは、476kgやプラス10kgという数字からはまったくわからない、実に均整のとれた馬体でした。また、他の17頭と同い年とは思えないほどの落ち着きで、周回する姿から風格が漂って見えたのは、気のせいではなかったと思います。
▲パドックでのリバティアイランドと、言葉を交わす中内田師と川田騎手
オークス同様にスタンド前からの発走でしたが、異様な熱気の中で大歓声が起こっても落ち着きは変わらず。極限の集中力で騎乗していたであろう川田騎手が絶好位につけたリバティアイランドが、4コーナー手前から鞍上のゴーサインとともに自ら動き、瞬く間に前を交わしたシーンは、体の中の細胞が湧きたつような思いでした。
▲直線で抜け出すリバティアイランド
レースが終われば、黒い瞳が印象的なかわいらしい牝馬です。夏を越してグラマーになった体は、柔らかさを伴った上質の筋肉を身に纏ったものなのだと解釈しました。本番に向けて自ら心と体を整え、期待に応えてみせたリバティアイランド。次なるステージでの走りが、今から楽しみです。
▲レース後のリバティアイランド
さて、今度は菊花賞です。コントレイルによる無敗での三冠達成を競馬場で約1,000人が“無声”で観戦して以来、3年ぶりの京都競馬場での菊花賞。大観衆が見つめる淀の3000mは4年ぶり。二冠馬を除き、皐月賞馬とダービー馬が揃う菊花賞は、皐月賞馬エアシャカールとダービー馬アグネスフライトが揃った2000年の菊花賞以来23年ぶりだそうです。今週も競馬ファンの熱視線が“センテニアルパーク”に注がれます!
2023/10/19 (木)
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。