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競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ
2025/04/10 (木)

勝者と敗者のドバイワールドカップデー/競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ

競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。

今回のテーマは先週土曜日に開催された「ドバイワールドカップデーの振り返り」です。



先週の「ドバイワールドカップデー」。深夜の中継をご覧いただいた皆様、ありがとうございました。

日本調教馬はUAEダービー、ドバイターフ、ドバイシーマクラシックと3つのレースで勝利。一方でドバイワールドカップのフォーエバーヤングをはじめ大本命が次々と敗れる波乱の夜でもありました。

2年ぶりに日本馬が出走したダート1600mのG2ゴドルフィンマイルは、米国の4歳馬レイジングトレントが圧勝。G1マリブS(D1400)に続き勝利に導いたのはL・デットーリ騎手。先日「自己破産」というジョッキングな報道がありましたが、元気そうな「フライングディスマウント」を見ることができました。

C・デムーロが騎乗したカズペトシーンが3着に健闘。ペプチドナイルは直線で失速し11着に終わりました。

芝直線1200mのG1アルクオーツスプリント。3頭が出走した日本馬の中では逃げた8歳馬ウインカーネリアンがゴール寸前まで先頭をキープしていましたが、最後の最後でW・ビュイックが騎乗した英国の5歳牝馬ビリーヴィングがこれを捕らえ勝利。ウインカーネリアンは惜しくも2着でした。

ダノンマッキンリー4着、ピューロマジックは5着。一方、香港短距離界の上位馬ハウディープイズユアラブは故障を発生して競走中止。予後不良と診断され安楽死となる悲しい出来事もありました。

「ロードトゥケンタッキーダービー・欧州&中東シリーズ」の最終戦で、勝てばケンタッキーダービー出走が可能になるD1900mのG2UAEダービーは、直線でラチ沿いを抜け出したアドマイヤデイトナが英国のハートオブオナーとの接戦を制して勝利。日本調教馬はこのレース4連覇となりました。

直線まで先団に加わっていたドンインザムードは3着、シンフォーエバーは出遅れが響いて4着。2016年の優勝馬ラニと同じ松永幹夫&武豊タッグで挑んだドラゴンは6着。一方、米国調教馬で下馬評が高かったフラッドゾーンは見せ場なく7着に終わりました。

レース後、アドマイヤデイトナ陣営はケンタッキーダービーへの参戦を表明。先に優先出走権を手にしたルクソールカフェとあわせて5/3のチャーチルダウンズが楽しみです。

馬券発売レース1番目、ダート1200mのG1ドバイゴールデンシャヒーンは、日本での単勝9番人気だった地元UAEの3歳馬ダークサフロンが逃げ切る波乱の決着でした。2着には米国の実績馬ナカトミが入り、人気を分け合った去年の勝ち馬タズは3着。

一方、去年のBCスプリント優勝馬で、前走のリヤドダートスプリントでも圧巻の強さを見せていた米国のストレートノーチェイサーは馬群に沈み8着に終わりました。

日本馬最先着は戸崎圭太騎手が騎乗したクロジシジョーの4着。矢作厩舎の3歳馬アメリカンステージは6着、フランキー・デットーリが騎乗したリメイクは10着。3連単は23万5,570円の高配当でした。

日本が歓喜に沸いたのが芝1800mのG1ドバイターフ。

日本の馬券発売でも圧倒的1番人気に支持されていた香港の英雄ロマンチックウォリアーが直線で先に抜け出したところを、じわりじわりと追い上げてきたソウルラッシュが最後に鼻面を合わせてゴールしました。長い写真判定となり、3年前のパンサラッサ&ロードノースのように「また同着か!?」と思った矢先、「ソウルラッシュ勝利」の発表が!

タイム差は0.01秒。ソウルラッシュに騎乗したC・デムーロ騎手は去年ナミュールで僅かに届かなかった悔しさを晴らし、日本調教馬は初めて芝のレースでロマンチックウォリアーに勝利しました。

果敢に逃げたメイショウタバルが5着、同期・同門の牝馬2頭ブレイディヴェーグは7着、リバティアイランドは8着と振るいませんでした。

そして、レース後の馬上インタビューで名シーンが生まれた芝2400mのG1ドバイシーマクラシック。

去年の優勝馬レベルスロマンスや、フランスの騙馬カランダガンといった欧州のトップホースを相手に快勝したのは去年のダービー馬ダノンデサイル。若きダービートレーナー安田翔伍師が左回りへの適性を見込んで遠征を決めたという思惑が見事に実を結びました。

レース直後は表情が硬いようにも見えたダノンデサイルの鞍上・戸崎圭太騎手。コースから戻っての馬上インタビューでは興奮を抑えきれず、「素晴らしい馬ですね」との声掛けに「ベリーベリーホース!」と返答。戸崎騎手の人柄が表れた映像は深夜に観戦していた日本の競馬ファンを一瞬で笑顔に変えました。

キングジョージ、インターナショナルS、凱旋門賞、ブリーダーズカップ(ターフ?クラシック?)・・・。海外のビッグタイトルを手にしたダービー馬の今後が本当に楽しみになりました。

レベルスロマンスとの接戦を制し2着カランダガンに次ぐ3着に食い込んだのがドゥレッツァ。勝利こそ菊花賞以来ありませんが、この路線における日本馬最上位級の能力があることを証明しました。一方、紅一点のチェルヴィニアは6着、ネオムターフCを勝ってサウジから転戦したシンエンペラーは精彩を欠き7着でした。

フォーエバーヤングが圧倒的な支持を集めたメインカードのG1ドバイワールドカップ(ダート2000m)。一本被りとなった背景には米国の一線級が出てこなかったこともありましたが、結果は米国勢のワン・ツー。フォーエバーヤングは本来の行きっぷりが見られず、最後は地力を見せ伸びてはきたものの、勝ち馬から2.03秒差の3着に終わりました。

矢作調教師のレース直後のインタビューがメディアやファンの間で波紋を広げています。一体、何があったのか。いつか真実が明らかになるのかはわかりませんが、当事者同士が話し合いを進めているということですし、外野があれこれと憶測で語るのは慎みたいものです。

今回も遠征していた別の競走馬の関係者から聞いた話ですが、海外遠征では表に出ない様々なトラブルが数え切れないほどあるのだそうです。各陣営は「アウェーの洗礼」があるのは当然のこととして挑んでいます。だからこそ、それらを跳ね返して勝利することに価値があるのです。

この日がラストランだったウシュバテソーロは6着。菅原明良騎手によると本来の闘志が見られなかったとのことでした。芝で、ダートで、地方で、海外で・・・。実に39戦を走った個性派の賞金王は、ほんの少しゆっくり休んで、次は種牡馬として、きっと個性的で破天荒な強い仔を出してくれるでしょう。お疲れ様でした。

一方、チームテソーロの後輩ウィルソンテソーロは7着。東京ダービー馬ラムジェットは9着でした。

1度は直線で抜け出したものの最後に勝ち馬ヒットショーに交わされた2着ミクストの鞍上フランキー。戻ってきてからのメディアに対する第一声は「2着だって賞金は高いんだよ(約3億7,684万円)」だったそうです。

日本調教馬は3勝と去年以上の結果を出した一方で、期待された矢作厩舎の“3本の矢”が不発に終わるなど、今年のドバイワールドカップデーは明暗が分かれました。

ストレートノーチェイサーも、ロマンチックウォリアーも、シンエンペラーも、フォーエバーヤングも勝てなかったことで、サウジとドバイを連勝することの難しさがクローズアップされています。また、ラマダン行事の関係で例年よりも1週遅い4月頭の開催になったこともあってか、ドバイは日中の気温が40度を超える高温だったということで、1週間前になって当初の発走時刻を1時間後ろに遅らせるという出来事もありました。

暑さ、転戦の疲労、人的トラブル・・・。様々な要因も、勝者と敗者を分けた夜でした。

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大澤幹朗 近影

大澤幹朗

1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。

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