競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは日本でも馬券販売が行われる8/17(日)のジャックルマロワ賞、8/20(水)のインターナショナルS出走馬情報です。
17日に仏国・ドーヴィル競馬場で行われるジャックルマロワ賞(G1)と、20日に英国・ヨーク競馬場で行われるインターナショナルステークス(G1)は海外馬券発売が行われます。
◇ジャックルマロワ賞(8/17 ドーヴィル競馬場 芝・直線1600m)
日本での馬券発売は3年ぶりとなるフランス真夏のマイル王決定戦ジャックルマロワ賞。今年は、前走のヴィクトリアマイルで2つ目のGIタイトルを手にしたアスコリピチェーノ(牝4/C・ルメール/美浦・黒岩陽一)と、ルーラーシップ産駒のOP馬ゴートゥファースト(牡5/岩田望来/栗東・新谷功一)の日本馬2頭が参戦します。
大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」の前売りオッズ1番人気に評価されているのは、ロザリオン(牡4/英国 R・ハノン/父・ブルーポイント)。オッズは2.5倍です。
2歳時にジャンリュックラガルデール賞(仏・G1)、3歳時には愛2000ギニー(愛・G1)、セントジェームズパレスS(英・G1)を制した後、気道の感染症で長期休養。復帰戦となった5/17のロッキンジS(英・G1)は3着、続く6/17のクイーンアンS(英・G1)はハナ差2着、前走7/30のサセックスS(英・G1)はクビ差の2着でした。通算成績は10戦して[5.3.2.0]。この路線での安定感は随一です。
2番人気は、ザライオンインウィンター(牡3/愛国 A・オブライエン/父・シーザスターズ)。オッズは4.5倍です。
2歳時から3歳クラシックの最有力候補と目されていたザライオンインウィンターですが、一頓挫があって英2000ギニーを回避すると、ダービートライアルのダンテS(英・G2)6着、英ダービーは14着と惨敗。前走は距離を大幅に短縮して今回と同じドーヴィルの芝1400m戦ジャンプラ賞(G1・仏)に出走し僅差の3着と好走。力を示しています。
A・オブライエン厩舎ですが、登録のあった今年の仏ダービー(ジョッケクルブ賞)優勝馬カミーユピサロは前走での負傷が原因で引退となったことが報じられたほか、同じく登録があった今年の仏2000ギニー(プールデッセプーラン)優勝馬アンリマティスも13日に登録を取り消しています。
3番人気は日本のアスコリピチェーノで5.5倍。続く4番人気は、ゴドルフィンのノータブルスピーチ(牡4/英国 C・アップルビー/父・ドバウィ)でオッズは8.0倍です。
3歳時の去年は、英2000ギニー(G1・英)とサセックスS(G1・英)のG1を2勝したほか、1番人気に支持されたBCマイル(G1・米)は3着でした。4歳になった今年はロッキンジS(G1・英)4着、2走前のクイーンアンS(G1・英)も4着、前走はジュライC(G1・英)でデビュー以来初めての1200m戦に挑みましたが5着に終わっています。
なお、ゴドルフィンのC・アップルビー厩舎からは、今年の英2000ギニー優勝馬ルーリングコートが出走する可能性もありましたが、登録馬のリストから名前が消えています。
オッズ15.0倍の5番人気は、ダンシングジェミナイ(牡4/英国 R・ティール/父・キャメロット)です。
G1勝ちはないものの、3歳時に仏2000ギニーで2着の実績があるほか、2走前のロッキンジSも休み明けだったロザリオンに先着しての2着でした。今回は8着に終わった前走クイーンアンSから2ヵ月の間隔をあけ、立て直しての一戦になります。
オッズ17.0倍の6番人気には3頭が並んでいます。このうち2頭は、今年からジャックルマロワ賞のレーススポンサーとなったアガ・カーン・スタッドの自家製産馬です。
G1オペラ賞の勝ち馬リダシーナを母に持つリダリ(牡3/仏国 M・デルザングル/父・チャーチル)は、仏2000ギニーの前哨戦G3フォンテーヌブロー賞を勝っています。
同じくアガ・カーン・スタッドのザビアリ(牡4/仏国 F・グラファール/父・ウートンバセット)は、前走のG3ベルトランデュブルイユ賞まで目下3連勝中です。
一方、A・オブライエン厩舎のもう1頭ディエゴヴェラスケス(牡4/父・フランケル)は、松島正昭さんが共同所有したブルームの半弟。昨秋のBCマイルは体調不良でレース当日に取り消し。復帰戦となったクイーンアンSは9着でしたが、7/20の前走ミンストレルS(G2・愛国)で芝7ハロン戦を優勝。今回はマイルに戻してのレースとなります。
このほか、2023年のモーリスドゲスト賞(G1・仏)の勝ち馬で、今年初めは中東に遠征してダートのG2ゴドルフィンマイルが2着だったキングゴールド(牡8/仏国 N・コーラリー/父・アノダン)が34.0倍。ゴートゥファーストは67.0倍となっています。
ジャックルマロワ賞の追加登録と出馬投票は本稿が公開される14日に締め切られるため、入稿時点で出走馬が不確定であることをご了承ください。発走は日曜日の22時50分(日本時間)の予定です。
◇インターナショナルステークス(8/20 ヨーク競馬場 芝2050m)
一方、2年連続の海外馬券発売となった真夏の欧州中距離チャンピオン決定戦インターナショナルステークス。日本からは去年のダービー馬で、前走のドバイシーマクラシックでカランダガンやレベルスロマンスといった世界の強豪を相手に勝利したダノンデサイル(牡4/戸崎圭太/栗東・安田翔伍)が出走します。
サンクルー大賞に続き、キングジョージも制してG1を連勝し、インターナショナルSでダノンデサイルと再戦する可能性もあったカランダガンは、秋のジャパンカップを見据えて一息入れるために回避。
また、愛2000ギニーとセントジェームズパレスSを圧勝し、最新のロンジンワールドベストレースホースランキングでフォーエバーヤングらと並んでトップタイとなっているフィールドオブゴールドも、インターナショナルSのレーススポンサー「ジャドモント」の所有馬だけに注目されていましたが、4着だった前走サセックスS後に左後肢ハ行が判明し出走を見送ることになりました。
そんな中、「ウィリアムヒル」の前売りオッズは、2頭がダノンデサイルを上回っています。1番人気はドラクロワ(牡3/A・オブライエン/父・ドバウィ)で2.625倍です。
母は2015年のBCマイルや2016年のクイーンアンSなどG1を6勝した名牝テピンという良血馬。1番人気に支持された英ダービーでは9着に終わりましたが、前走のエクリプスSで、1番人気のオンブズマンを鮮やかに差し切り、待望のG1タイトルを手にしました。
2番人気がオンブズマン(牡4/J&T・ゴスデン/父・ナイトオブサンダー)。オッズは3.25倍です。
エクリプスSではドラクロワのクビ差2着でしたが、2走前のプリンスオブウェールズSでは不利をものともせずに快勝。最新のロンジンワールドベストレースホースランキングではフォーエバーヤング、フィールドオブゴールドと並んでレーティング「127」のトップタイとなっています。なお、エクリプスSでは4.5キロあった3歳馬ドラクロワとの斤量差は、インターナショナルSでは3.5キロに縮まります。
3番人気はダノンデサイルで5.0倍。9.0倍の4番人気は、プリンスオブウェールズS、ナッソーSと、G1で3着が続いているシーザファイア(牝4/A・ボールディング/父・シーザスターズ)となっています。
インターナショナルSは、20日(水曜)23時35分(日本時間)の発走予定です。
ジャックルマロワ賞とインターナショナルステークス。レースの模様はグリーンチャンネルで、ジャックルマロワ賞が17日(日)の22時から、インターナショナルSは20日(水)の23時から中継でお伝えします。どちらも私が進行を担当します。ぜひ、ご覧ください。
▼8/17(日)22:00~
2025ジャックルマロワ賞中継
▼8/20(水)23:00~
2025インターナショナルS中継