競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは「新潟競馬場60周年の新潟記念」について。今年から施行条件も変わっており、要チェックです。
31日、夏開催の最終日を迎える新潟競馬場では、第61回新潟記念(GIII)が行われます。
新潟記念は今から60年前、現3歳以上によるハンデ重賞として創設されました。初代の勝ち馬に名を刻んだはウメノチカラで、1964年のダービーと菊花賞で同じヒンドスタン産駒シンザンの2着に入り、“三冠馬の好敵手”と呼ばれた馬でした。
第1回のレースが行われた1965年は新潟競馬場が現在地に移転・開設され、22年ぶりに新潟での中央競馬が再開された年でした。新潟競馬場最古の重賞競走は、それらを記念してスタートしたのです。
新潟には、明治時代から新潟市の関屋地区に旧新潟競馬場(関屋競馬場)がありました。しかし、新潟港の土砂対策と信濃川の治水対策を目的とした関屋分水路事業に伴う代替地となるために廃止。現在の新潟市北区に競馬場を移転・開設し、同時に長く行われていなかった中央競馬の開催も復活したのでした。
「関屋記念」のレース名になっている旧新潟競馬場(関屋競馬場)については、1年前の当コラムで取り上げましたので、読んでいない方はぜひご覧ください。(24.8.8公開「関屋競馬場と関屋分水路」参照)
JRA所有の競馬場の中では最も新しい新潟競馬場は、今年で60周年を迎えました。
現在の新潟競馬場の歴史が大きく変わったのは2001年。改修により、周回コースは右回りから左回りに変更され、日本唯一の直線1000mの芝コースが新設されたのです。一方、公営競馬の「新潟県競馬」は、この2001年度を最後に廃止・撤退となったのでした。
さてご存知の通り、新潟記念は60年間、負担重量が「ハンデキャップ」で行われてきましたが、今年から「グレード別定」に変更となりました。逆に「別定」→「ハンデ」になった関屋記念と入れ替わる形となったのです。
具体的には、「3歳54kg、4歳以上57kg、牝馬2kg減」を基準として、去年8/24以降の牝馬限定を除くGI競走1着馬は3kg増、牝馬限定GIまたはGII・1着馬は2kg増、牝馬限定GIIまたはGIII・1着馬は1kg増、去年8/23以前の牝馬限定を除くGI競走1着馬は2kg増、2歳時を除く牝馬限定GIまたは牝馬限定を除くGII競走1着馬は1kg増となっています。
今年の出走馬では、GII・青葉賞勝ちの3歳牡馬エネルジコが「54+2」で56㎏、今年のGII・金鯱賞を勝った4歳牝馬クイーンズウォークが「55+2」で57㎏、一昨年のエリザベス女王杯勝ち馬である5歳牝馬のブレイディヴェーグは「55+1」で56㎏などとなっています。
新潟競馬場60周年の年に行われる新潟記念。かつてない好メンバーが集い、レースの歴史に新たなページがめくられそうです。