競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは「オンブズマン、ドラクロワ、カランダガンが激突する英チャンピオンS」です。
18日、イギリス・アスコット競馬場では、5つのG1競走が同日に組まれるブリティッシュ・チャンピオンズデーの開催が行われます。
何と言っても、注目は芝2000m(9F212y)で行われる英チャンピオンステークスです。最新の「ロンジンワールドベストレースホースランキング」でレーティング128の単独トップに立っているオンブズマン、同6位タイ(Rtg126)のドラクロワ、同じく9位タイ(Rtg125)のカランダガンの3頭が激突。世界の注目が集まっています。
10/15現在、ウィリアムヒルの前売り1番人気はオンブズマン(牡4/J&T・ゴスデン)で3.0倍です。ゴドルフィンが所有するナイトオブサンダー産駒は、前走8/20のG1英インターナショナルS(ヨーク芝2050m)で、ゴドルフィン陣営が用意したラビットの力も借りて圧巻の勝利。2走前のエクリプスSで苦杯をなめた相手ドラクロワに3馬身半差をつけました。
愛チャンピオンSは回避して、英チャンピオンSに照準を絞ったオンブズマン。その愛チャンピオンSを勝利したドラクロワとの3度目の決着戦が実現しました。
そのドラクロワ(牡3/A・オブライエン)は3.75倍の2番人気タイ。前走9/13のG1愛チャンピオンSをC・スミヨン騎手とのコンビで快勝しました。父がドバウィ、母は2015年のBCマイルや2016年のクイーンアンSなどG1を6勝した名牝テピンという良血馬で、その血統的価値から、そのまま種牡馬入りの可能性もありましたが、オーナーのクールモアの意向で英チャンピオンSをラストランとすることになりました。
ここまで1勝1敗のオンブズマンと最後となる対決。4歳馬オンブズマンと3歳馬ドラクロワの斤量差は、4.5㎏(エクリプスS)→3.5㎏(インターナショナルS)→2.5㎏(英チャンピオンS)と小さくなりますが、果たしてどうなるでしょうか?
このライバル対決に加えて、もう1頭、大物の参戦があります。3.75倍と、ドラクロワと並んだ2番人気タイとなっているカランダガン(騙4/F・グラファール)です。
アガ・カーン・スタッドの自家生産馬で、グレンイーグルス産駒のカランダガンは、去年のこのレースを含め、G1レースで2着が4戦続きましたが、2走前のG1サンクルー大賞(サンクルー芝2400m)で惜敗にピリオドを打ち初のGIタイトルを手にすると、続く前走7/26GIキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(アスコット芝2390m)も連勝。今回は去年の英チャンピオンS以来1年ぶりの10f戦です。
この後はベストの距離である2400m戦のジャパンカップ出走が視野に入っており、その点でも注目です。なお、陣営は緩い馬場より硬い馬場の方が好ましいとしていて、重馬場になることが多い英チャンピオンSの当日の馬場はカギになりそうです。
ところで、去年の英チャンピオンSでカランダガンを半馬身差差し切って勝利したアンマート(騙7/O・バローズ)も、前走の愛チャンピオンSまでG1レースで3連続2着と好走。連覇を目指していましたが、調教中の故障で、このまま引退となる見込みです。
その他、15.0倍で、前走9/7のG2フォワ賞でビザンチンドリーム、ソジーに次ぐ3着で、道悪を希望していた凱旋門賞は直前で登録を取り消したアルマカム(牡4/E・ウォーカー)と、去年の英チャンピオンSでまさかの6着に終わった後、故障による長期離脱から1年ぶりに復帰する去年の愛チャンピオンSの優勝馬エコノミクス(牡4/W・ハガス)が4番人気タイで並んでいます。
また、前売りは17.0倍の6番人気タイには、スタディオブマン(父ディープインパクト)産駒で、前走のリステッドまで3連勝中のアルメリック(牡3/A・ボールディング)の名前もあります。
一方、同じ日の英チャンピオンズデーで行われる芝8FのG1クイーンエリザベス2世Sには、前走のG1サセックスSでまさかの4着に敗れた後、故障が判明し休養していた今年の愛2000ギニーとセントジェームズパレスSの勝ち馬フィールドオブゴールド(牡3/J&T・ゴスデン)が復帰。ウィリアムヒルのオッズは2.75倍の1番人気に支持しています。
4.5倍の2番人気には、去年の愛2000ギニーとセントジェームズパレスSの勝ち馬で、前走9/7のG1ムーランドロンシャン賞は2着だったロザリオン(牡4/R・ハノン)が続いていて、こちらもハイレベルの戦いが期待できそうです。
ブリティッシュ・チャンピオンズデーの模様は、グリーンチャンネルの「ALL IN LINE」でも放送されるということですので、ぜひ注目してみてください。