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競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ
2025/12/11 (木)

2025香港国際競走の有力馬/競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ

競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。

今回のテーマは今週末14日(日)に行われる「香港国際競走の有力馬」について。



香港国際競走が14日、香港・シャティン競馬場で開催されます。日本での海外馬券発売も実施される4つのG1レースの有力馬を、今年も大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」の前売りオッズを参考に紹介します。(情報は12/10現在)

◇日本時間15:10発走
「香港ヴァーズ」(芝2400m)

日本からアーバンシック(牡4/美浦・武井亮)が出走します。

1番人気は2頭がオッズ4.0倍で並んでいます。1頭目はフランスのソジー(牡4/A・ファーブル)。G1・3勝の実績馬が初の欧州以外への遠征になります。

前走の凱旋門賞は去年より1つ着順を上げて3着でした。A・ファーブル調教師は過去、G2時代を含めて香港ヴァーズを3勝。ヴェルテメール兄弟の所有馬では一昨年にジュンコが優勝しています。

もう1頭は英国のジアヴェロット(牡6/M・ボッティ)。去年の優勝馬です。前走の凱旋門賞では不得意な道悪だったにもかかわらず4着と、日本馬最先着のビザンチンドリームにも先着しました。自身2つ目のG1タイトルを連覇で手にするべく、ここを大目標に調整してきました。

去年の菊花賞馬アーバンシックは5.0倍の3人気です。平坦馬場を求めての香港遠征。C・ルメール騎手とのコンビで、スタートを決めたいところです。

4人気はアルリファー(牡6/愛国J・オブライエン)で5.5倍です。以前、キーファーズが共同所有し、武豊騎手とのコンビで去年の凱旋門賞(11着)や今年のネオムターフC(3着)を走ったアルリファー。今年9月にオーナーが変更になると、芝2800mの愛セントレジャーを制して3つ目のG1タイトルを獲得。

有力馬と目された前走・メルボルンCは7着に敗れましたが、12F戦の実績、8か国目という遠征実績から侮れません。

その他、5人気がフランスのゴリアット(セン5/F・グラファール)で15.0倍。2走前のバーデン大賞で去年のキングジョージ6世&QES以来のG1勝利を飾りましたが、前走のBCターフは11着。今年はジャパンカップには来日せず、初めて香港に遠征することになりました。

また、ゴリアット同様にジャパンカップ出走の可能性もあったロスアンゼルス(牡4/愛国A・オブライエン)が17.0倍の6人気。欧州以外には初遠征となります。前走の凱旋門賞は17着最下位に終わりましたが、来年からは障害競走用の種牡馬になることが決まっているG1・3勝の実績馬が、23戦ぶりとなるR・ムーア騎手とのコンビで有終の美を目指します。


◇日本時間15:50発走
「香港スプリント」(芝1200m)

日本からは、ウインカーネリアン(牡8/美浦・鹿戸雄一)とサトノレーヴ(牡6/美浦・堀宣行)の2頭が出走します。

ここは何と言っても地元の最強馬カーインライジング(セン5/D・ヘイズ)。ウィリアムヒルの前売りオッズは1.08倍です。去年のこのレース含め目下15連勝中。あと2連勝で香港記録に並びます。

2走前には初の海外遠征となったジ・エベレストに勝利して世界3番目の高額賞金レースも制すると、前哨戦のジョッキークラブスプリントでも唯一58㎏を背負いながら完勝。死角が見当たらないというより、スプリント部門ダントツトップの国際レーティング126ポンドがどこまで伸びるのかに注目が集まっています。

去年のこのレースは3着、今春のチェアマンズスプリントプライズが2着だったサトノレーヴは11.0倍の2番人気です。今年の高松宮記念の優勝馬。今回はロイヤルアスコット開催のクイーンエリザベス2世ジュビリーSで2着と好走した際の1週前追い切りに跨っていたというR・ムーア騎手との新コンビで絶対王者に挑みます。

これに続くのが、前哨戦ジョッキークラブスプリントの2着馬ファストネットワークと、同3着馬ヘリオスエクスプレスで21.0倍。

一方、スプリンターズSで鞍上とともに悲願のG1勝利を果たしたウインカーネリアン(牡8/鹿戸雄一)は26.0倍の5番人気です。ドバイ、アメリカと海外経験も豊富。アルクオーツスプリントでは2着と好走しました。鞍上はもちろん三浦皇成騎手です。

その他では、前哨戦ジョッキークラブスプリント4着馬でスプリンターズSにも出走した(11着)一昨年の優勝馬ラッキースワイネスが34.0倍などとなっています。


◇日本時間17:00発走
「香港マイル」(芝1600m)

日本からエンブロイダリー(牝3/美浦・森一誠)とソウルラッシュ(牡7/栗東・池江泰寿)の2頭が出走します。

フルゲート14頭が揃い、馬券の予想が最も難解と目されている一戦は、地元の2頭が4.5倍の1番人気で並びました。

1頭目は香港クラシック三冠の香港クラシックマイルの勝ち馬マイウィッシュ(セン5)。G1初挑戦だった今春のチャンピオンズマイルは4着でしたが、今季は重賞連勝。断然の人気に推された前哨戦のジョッキークラブマイルは一度は先頭に立つも4着でした。

もう1頭は去年の優勝馬ヴォイッジバブル(セン7)。今年上半期のシーズンでは3歳以上のトリプルクラウンシリーズをすべて制し、31年ぶり史上2頭目の香港三冠を達成しました。マイル戦から12f戦まで手にしたG1タイトルは5つ。前走のジョッキークラブカップはロマンチックウォリアーと1馬身半差の2着でした。

3番人気は、ジョッキークラブマイルでラチ沿いを伸びて快勝したギャラクシーパッチ(セン6)で5.5倍。去年の香港マイルは7着、春のチャンピオンズマイルは2年連続5着です。

一方、今年、桜花賞・秋華賞の牝馬二冠を制したエンブロイダリーは6.0倍の4番人気。過去、3歳で香港マイルを制したのは2019年エンブロイダリーの父アドマイヤマーズただ1頭。牝馬の優勝も2000年ニュージーランドの女傑サンラインただ1頭。C・ルメール騎手とのコンビで歴史的快挙に挑みます。

これがラストランのソウルラッシュは7.0倍の5番人気です。香港マイルは一昨年4着、去年は2着。ドバイターフでロマンチックウォリアー相手に勝利した時の鞍上C・デムーロ騎手とのコンビで三度目の正直となるでしょうか。

その他、前哨戦ジョッキークラブマイルの2着馬で、チャンピオンズマイル3着馬のサンライトパワー(セン6)やジョッキークラブマイル3着馬ハッピートゥギャザー(セン6)の地元2頭が15.0倍。

近走、ムーランドロンシャン賞3着、クイーンエリザベス2世S2着、BCマイル3着と力を示し、今回はR・ムーア騎手が4戦ぶりに騎乗するザライオンインウィンター(牡3/愛国A・オブライエン)が17.0倍。

マイルCSは9着だったクイーンアンSの勝ち馬ドックランズ(牡5/英国H・ユースタス)は51.0倍、春のチャンピオンズマイルを逃げ切って波乱を演出した地元のレッドライオン(セン6)と、去年の香港マイルでヴォイッジバブル、ソウルラッシュに次ぐ3着に入って穴をあけたビューティージョイ(セン9)の2頭が67.0倍など、伏兵候補も多彩です。


◇日本時間17:40発走
「香港カップ」(芝2000m)

日本からべラジオオペラ(牡5/栗東・上村洋行)、ローシャムパーク(牡6/美浦・田中博康)の2頭が出走します(ロードデルレイは出走取消)。

オッズ1.2倍の1番人気は地元の英雄ロマンチックウォリアー(セン7/ダニー・シャム)。G1・10勝馬は今年前半を中東で過ごし、サウジカップがフォーエバーヤングの2着、ドバイターフがソウルラッシュの2着と、いずれも日本馬相手に苦杯をなめました。骨折からの復帰戦となったジョッキークラブカップを快勝。4連覇の大偉業がかかる地元での一戦は負けられません。

初の海外遠征となるべラジオオペラが6.0倍の2番人気。大阪杯連覇、宝塚記念は2着でした。夏の暑さに弱いため、じっくりと調整してここが半年ぶりのレースとなります。鞍上は横山和生騎手です。

その他、先行力が武器のガレン(セン4/愛国J・オブライエン)が21.0倍、G1ジャンロマネ賞の勝ち馬で、凱旋門賞9着の後、英チャンピオンズフィリーズ&メアズSで3着と好走したフランスのキジサナ(牝5/F・グラファール)と、去年の香港ダービー馬マッシヴソヴリン(セン5)が26.0倍となっています。

一方、一昨年8着以来の香港カップ出走となるローシャムパークは34.0倍の評価。重賞2勝で、去年は大阪杯2着、BCターフ2着の実績がありながら、近走は不振がつづいていましたが、ノドの手術から復活の気配も漂います。鞍上はC・ルメール騎手です。

2025年の国際競走を締めくくる香港国際競走。どうか全馬無事に走り抜け、熱戦を見せて欲しいと思います。

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大澤幹朗 近影

大澤幹朗

1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。

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