競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは、2025年の「ロンジンワールドベストレースホースランキング」について。
20日、2025年の「ロンジンワールドベストレースホースランキング」最終結果となる年間ランキングがIFHA(国際競馬統括機関連盟)から発表され、ロンドンの高級ホテル「ザ・サヴォイ」で授賞式が行われました。
2025年の年間トップの座に就いたのはカランダガン(仏国/FH・グラファール)。レーティングは「130」(芝/距離区分I)でした。カランダガンはオンブズマンに2馬身1/4差をつけ勝利した10月の英チャンピオンSを評価され、前回11月発表のランキングでも「130」のトップでしたが、11月のジャパンカップのパフォーマンスの評価は「129」となり、それを上回ることはありませんでした。
2025年のカランダガンは、6月のサンクルー大賞でG1での4連続2着に終止符を打って勝利すると、そこからジャパンカップまで今度はG1を4連勝。セン馬ということもあり、5歳になった今年も競走馬生活はまだまだ続き、初戦は去年と同様にドバイシーマクラシックと見られています。
また、順調なら秋は再びジャパンカップに来日ということになると考えられ、そうなれば、連覇を阻止すべく今度は迎え撃つ日本馬の健闘も期待したいところです。
▲ジャパンカップ出走時のカランダガンの勝負服、ヘルメット、鞭
これに続く「128」の2位には5頭が並びました。まずはフォーエバーヤング(日本/矢作芳人)。ロマンチックウォリアーとの激闘を制したサウジカップでのレーティング「127」で9月発表のランキングまではトップに立っていた日本の年度代表馬は、BCクラシックで日本調教馬初の快挙を達成し「128」(ダート/M)と評価されました。競走馬としての集大成となる5歳の今年。まずは中東での2戦から目が離せません。
2頭目はカーインライジング(香港/D・ヘイズ)。2025年は初の海外に遠征で芝レース世界最高賞金のジ・エベレストも勝利するなど8戦全勝でした。11月の発表では「126」だったレーティングは、楽勝した12月の香港スプリントの評価が「128」(芝/S)となり、短距離部門ではダントツのトップとなっています。
6歳になったセン馬はG1での6連勝を含む目下16連勝中。あと1勝で香港の連勝記録に並びますが、今年は国内路線と見られていて、その記録を更新する可能性はかなり高そうです。
3頭目はマスカレードボール(日本/手塚貴久)です。勝利した秋の天皇賞は「121」でしたが、カランダガンのアタマ差2着だったジャパンカップは「128」(芝/L)と大幅に評価を上げ、3歳馬の芝部門では世界一となりました。
日本の3歳馬でこれまで最もレーティングが高かったのは2022年のイクイノックスが3歳時に有馬記念のパフォーマンスを評価された「126」で、マスカレードボールの「128」はそれを上回り歴代最高の数字です。
4歳となったドゥラメンテ産駒は、次走の候補となっているドバイシーマクラシックでカランダガンとの再戦が実現する可能性があるほか、「キングジョージが大目標」との報道もあり、動向が注目されます。
レーティング「128」の2位タイ、4頭目はオンブズマン(英国/J&T・ゴスデン)です。カランダガンの2着だった英チャンピオンSの評価が据え置きとなりました(芝/I)。2025年はプリンスオブウェールズSと英インターナショナルSのG1を2勝し、秋以降は無理せず休養にあてたゴドルフィンの牡馬。明け5歳となった今年はどんな走りを見せてくれるのでしょうか。
「128」の5頭目はソヴリンティ(米/W・モット)。ケンタッキーダービーとベルモントSのクラシック2冠とトラヴァーズSを制したゴドルフィン所有の米国調教馬は、前回発表の「127」から上方修正されました。
BCクラシックを熱発で回避したソヴリンティは、4歳となった今年も現役を続けることが発表されていますが、中東での2戦には出走しない見込みです。ダート部門でトップタイとなったフォーエバーヤングとの初対決はいつ実現するのか楽しみです。
これらに続く「127」の7位タイは、凱旋門賞馬ダリズ(仏国/FH・グラファール)、香港Cで4連覇を果たしたロマンチックウォリアー(香港/D・シャム)、BCクラシック2着のシエラレオーネ(米国/C・ブラウン)の3頭。
「125」の10位タイに、ドバイシーマクラシックでカランダガンに勝利したダノンデサイル(日本/安田翔伍)、エクリプスSと愛チャンピオンSを勝ったドラクロワ(愛国/A・オブライエン)、愛2000ギニーとセントジェームズパレスSの勝ち馬フィールドオブゴールド(英国/J&T・ゴスデン)、BCクラシック3着のフィアースネス(米国/T・プレッチャー)、コロネーションCでカランダガンに勝利したヤンブリューゲル(愛国/A・オブライエン)の5頭が並びました。
また、日本馬では、ジャパンカップ4着のクロワデュノールが「122」の18位タイ。フォワ賞勝ちのビザンチンドリーム、マイルCS勝ちのジャンタルマンタル、ジャパンカップ5着のジャスティンパレス、宝塚記念勝ちのメイショウタバル、有馬記念勝ちのミュージアムマイル、ドバイターフ勝ちのソウルラッシュが「121」の22位タイとなっています。
なお、1着カランダガンが「130」、2着マスカレードボールが「128」、3着ダノンデサイルが「125」、4着クロワデュノールが「122」となったジャパンカップは、上位4着馬までの平均値でランク付けされる「Top 100 G1 Races of 2025」で「126.25」をつけ、英チャンピオンSと並び1位になりました。ジャパンカップが「ワールドベストレース」に選ばれたのは、イクイノックスが勝利した2023年以来2年ぶり2回目です。
▲2023年ロンジンワールドベストレース受賞の記念品
5大陸を代表する競馬役員と、ハンディキャッパーが指定期間内の選ばれたレースの中から、各馬を対戦相手の質や各馬の実績を評価してランキングにまとめる「ロンジンワールドベストレースホースランキング」。これらレーティングは国際競走の格付けにおいて重要な要素となっていて、すなわちスタッドブック(血統書)の評価にもつながっています。
3歳馬やダートホースを含めて多数の日本調教馬がトップランカーとなった2025年のランキング。ジャパンカップが再び「世界1位」に選ばれたことも喜ばしいところですが、その優勝馬は外国馬だったことも事実。2年前のイクイノックスがつけた「135」という数字の偉大さを改めて実感するとともに、2026年も、ますます日本調教馬が国際舞台で活躍してくれることを期待したいところです。
