競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは「2015年のスプリングステークス」です。
今週は皐月賞への登竜門スプリングステークスです。かつて、このレースを制して皐月賞も制した馬は枚挙にいとまがありませんでした。
ハイセイコー、ミホシンザン、ミホノブルボン、ナリタブライアン、ネオユニヴァース、メイショウサムソン、アンライバルド、オルフェーヴル・・・。なかには二冠馬や三冠馬になる馬もいましたが、近年はローテーションの多様化で、共同通信杯組に後れをとっています。
過去10年の勝ち馬の顔ぶれを見ると、2017年の優勝馬ウインブライトは香港GIを2勝、2018年の優勝馬ステルヴィオはマイルチャンピオンシップ優勝、3年前の優勝馬べラジオオペラが大阪杯連覇、一昨年のシックスペンスが毎日王冠や中山記念も勝利する活躍を見せ、出世レースであることには変わりません。
しかし、同じ10年間の出走馬でクラシックを制した馬は、2018年ステルヴィオの2着から皐月賞馬になったエポカドーロが唯一。スプリングステークス勝ちから皐月賞も連勝したというのは、2013年のロゴタイプが最後となっています。
そんな中、勝ち馬が後にクラシックホースとなった最後のスプリングステークスが2015年の第64回スプリングステークスです。
1番人気はリアルスティール(福永祐一騎手)。前走は共同通信杯でドゥラメンテを2着に下し、デビュー2連勝を飾っていました。2番人気は、デビュー戦2着の後、4連勝で朝日杯フューチュリティステークスを制し、2歳チャンピオンとなったダノンプラチナ。3番人気は、4戦3勝2着1回の戦績で前走は京成杯を制していたベルーフ。他にも新潟2歳S勝ちのミュゼスルタンら好メンバーが揃いました。
レースを制したのは、5番人気のキタサンブラック(北村宏司騎手)でした。1番ゲートから好スタートを切り、逃げたタケデンタイガーの2番手につけたキタサンブラックは、4コーナーで早めに抜け出して後続との差を広げ、中団付近から末脚を伸ばしたリアルスティールやダノンプラチナらを振り切って勝利したのでした。
新馬、500万条件に続いて、無傷の3連勝で重賞初勝利。2004年にスプリングステークスを制した父ブラックタイドとの父仔制覇でもありました。
その後、キタサンブラックは、皐月賞3着、ダービー14着の後、秋は菊花賞を制してクラシックホースとなると、古馬になってからは天皇賞を春秋合わせて3勝した他、ジャパンカップ、大阪杯、有馬記念と古馬GIを6勝して顕彰馬にも選ばれたのは周知の通りです。
一方、スプリングステークスでは上がり最速タイの33.6秒の末脚で追い込んだものの、キタサンブラックにクビ差及ばなかったリアルスティール。皐月賞2着、ダービー4着、菊花賞2着と、あと一歩クラシックには手が届かなかったものの、4歳になってからドバイターフを勝利しました。
菊花賞でも、クビ差の1、2着となったキタサンブラックとリアルスティール。この2頭といえば、何と言っても種牡馬としての功績です。イクイノックスの父となったキタサンブラックと、フォーエバーヤングの父となったリアルスティール。「ドゥラメンテ世代」と称される世代の2頭は、早逝したドゥラメンテの分も、種牡馬としての輝きを放ってくれています。
2015年のスプリングステークスは、後に、世界一の息子を出した父親2頭がしのぎを削った「伝説のスプリングステークス」でした。
