★今週の重賞ピックアップ★
12月11日阪神11R 阪神JF(芝1600m)
阪神JFは阪神芝1600mでの施行。向正面直線半ばからのスタートで、初角となる3コーナーまでは444mと十分に距離があるので、先行争いにおいて内外の不利はありません。ただし、京都改修に伴う連続開催の影響で、馬場の内側が荒れて外が有利になる可能性は頭に入れておきましょう。
登録馬29頭、抽選対象馬は14分の3とメンバー構成が流動的。したがって、現段階で先行有利、差し有利を予測することはできません。ただ、一般論としてキャリアの浅い馬同士の戦いにおいては、差し経験のある馬が有利です。その観点からは、アルテミスSで1、2着し、ここでも人気を分け合いそうなラヴェルとリバティアイランドはともに有力でしょう。
ラヴェルはアルテミスSで上がり33.0秒の脚を使って差し切り勝ち。新馬戦では9-8-6-6と道中で動いていく機動力もみせており、格下相手にも取りこぼさず走れるタイプでしょう。
一方のリバティアイランドは2戦続けてしっかり脚をためる競馬。アルテミスSは包まれる場面もあり2着止まりでしたが、GIのタフな流れでより良さがでそうなのはこちら。ただ、それはオッズにも反映され、どうやら1番人気に支持されそうです。フルゲートで2倍台のオッズは見合わない可能性が高く、他の馬の逆転を探ってみたいところ。
逃げ先行馬が多くなれば、タフな流れになって距離短縮組が有利。札幌2歳Sを制したドゥーラ、コスモス賞勝ちのモリアーナは有力候補です。
逃げ先行馬があまり出てこないようであれば、上位人気馬が差しタイプなだけに、前残りを狙う手もあります。その場合の候補はリバーラ。ファンタジーSの勝ち馬でありながら、想定ではかなりの人気薄になりそうで、前が有利なメンバー構成なら面白い存在です。
ウンブライルは前走差しですが、距離延長で前にいける可能性も。能力も高そうです。ただ、オッズ差を考えると、妙味あるのはリバーラのほうかも。
アリスヴェリテは前走でラヴェルと0.1秒差。想定通り60倍前後のオッズなら回収率は出そう。2走前に2000mをこなしているのは強みです。また、2走続けて逃げを選択しており、金言57でお話ししたように、この時期に戦法が定まっているのは大きなアドバンテージです。
【枠順確定後注目馬】
1サンティーテソーロ
5モリアーナ
6ミスヨコハマ
9リバティアイランド
12リバーラ
13ドゥアイズ
16ドゥーラ
重賞好走馬が過小評価されているレースで配当妙味がありそうな馬が多い。その中でも距離短縮で粘りが増しそうな馬を中心に馬券は組み立てた。
なお、最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言58
『期待値とは何かを改めて考える』
──先週も土曜中京11Rの◎サトノアイが単勝10.5倍、日曜阪神11Rの◎デンコウリジエールが単勝12.7倍でそれぞれ1着。◎の単勝回収率は290%、4週連続プラスを記録しました。本来なら、それぞれの思考をお聞きするところなのですが、みねたさんの期待値論や資金管理論が大変好評だったので、そのシリーズの延長として、今回は「期待値」についてお聞かせください。
みねた: わかりました。
──これまでも本稿で「期待値を追う」「回収率が取れる」といった表現を使ってきましたが、そもそも期待値とはなんでしょう? 辞書的には「確率変数のすべての値に確率の重みをつけた加重平均」だとか「ある試行を行った時に、その結果として得られる数値の平均値」といった説明が出てくるのですが。
みねた: それはわかりづらいですよね。競馬においては、「的中率×オッズ」と考えてもらえればよいと思います。的中率30%でオッズが2倍なら30×2で60%、的中率10%でオッズが10倍なら100%というふうに。期待値というよりも、「期待回収率」とか「予想回収率」という表現の方がわかりやすくて正確かもしれません。
──一般的には「期待値が1以上」という表現もよく聞きますが、要するに回収率100%ということですよね。では「期待値を追う」点において、競馬とパチスロの違いはどこにありますか?
みねた: 本質的には同じです。異なるのは、パチスロは店を相手にするのに対し、競馬は周りの人を相手にするということです。
パチスロの場合、店の設定状況を把握したら、あとはいかにして設定6の台に座るかの勝負です。設定6の台は、回収率に相当する「機械割」が100%を超えるので、座れたらあとはひたすら打ち続けるだけ。例えば機械割120%の台なら、理論上、1Gあたり60円の20%となる12円がプラスになっていきます。1分間に15回レバーを叩くとすれば、12×15=180円。時給換算すると10,800円です。トイレに10分行くと1800円ロスすることになるので、設定6だと確信できたら、トイレの時間を惜しんで回し続けるのが正解です。
──パチスロの例えになると熱が入りますね(笑)。一方で競馬は?
みねた: 競馬はパチスロ台のようにスペックが公表されているわけではないので、予測勝率を突き詰めることが重要です。金言57でもお話しした通り、そのための予想手段は何を使っても構わないので、ご自身の「予想力」を使って、なるべく正確な予測勝率を出す。その先は、周りとの戦いになります。
──戦う相手はJRAではないぞ、と。
みねた: 競馬は控除率が25%前後ありますが、それはあくまで参加費であり、運営費を支払っているだけで、言うなれば、スポッチャ等スポーツ施設に利用料を払ってスポーツを楽しむのと同じです。人件費や運営費がかかるのは当たり前なので。
問題は、割り出した予測勝率に対してオッズが見合っているかどうか。いくら自分の予測勝率の精度が高くても、周りも優秀で、オッズがついていなければ勝てません。他の人が、予想が下手であればあるほど勝ちやすいのが競馬というギャンブルです。
──そういう意味では、麻雀に近いイメージですね。自分より弱い人とやれば勝ちやすいので。
みねた: そうですね。自分が強過ぎて、打ってくれる相手がいなくなったらどうにもなりませんから、下手なフリをするというのは大事です(笑)。
少し話が逸れるかもしれませんが、予想家に対して、「当たらない」「下手くそ!」みたいな書きこみがあるじゃないですか。本当にその人が当たらないのであれば、その予想を信じて買っている人が多いほど、きちんと回収率の出る予想をしている人は勝ちやすくなります。だから、批判を書きこむのは、かえって自分の勝ちを遠ざけることになるんですよ。
──確かに、パリミュチュエル方式の本質を考えると、その通りですね。先ほど、控除率の話が出ましたが、競馬の控除率は25%前後、一方でパチンコ・パチスロは数%程度と言われています。この差も大きいのではないですか?
みねた: 大きいですね。だからどちらが勝ちやすいかと言われれば、パチスロの方が勝ちやすいと思います。競馬の攻略難易度は、プラスにするという観点ではトップクラスの難しさです。
──25%控除されると、平均より1.34倍上手じゃないとダメですよね。
みねた: たいして考えずに買っても75~80%ぐらいの回収率を出せる人が多いと思います。誰しもがそれなりに考えて買うので、回収率50%の人なんて、そうそういない。平均から-5%となる回収率70%の人が6人いて、ようやく回収率を30%上乗せできる計算ですから、そう考えると難易度はかなり高いですよ。
──競馬が、いかに難解なギャンブルかを思い知らされました。
みねた: 難解だからこそやりがいがありますし、攻略してプラスに転じれば、自分でレートをコントロールできるというメリットもあります。攻略の過程の一端を、このコラムで示していければいいですね。
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みねた
全てのファクターは展開に帰結すると考え、枠、脚質、能力、不利、ハイレベル、様々なファクターから「展開」を予想し、回収率が高くなるであろう馬を選び出す。軸が決まれば馬券の構築にも力を入れ、「展開」により両立しにくい馬券等を省く。サイト『競馬放送局』にて週末の勝負予想を公開中。