★今週の重賞ピックアップ★
12月18日 阪神11R 朝日杯FS(芝1600m)
朝日杯FSは阪神芝1600mでの施行。向正面直線半ばからのスタートで、初角となる3コーナーまでは444mと十分に距離があるので、先行争いにおいて内外の不利はありません。
登録馬19頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは8頭。先行して実績を積み重ねてきた馬が多く、定石通り、差し経験のある馬が有利でしょう。ましてや、今年は前哨戦の重賞勝ち馬が先行してきており、その傾向に拍車をかけそうです。
1番人気濃厚なのがダノンタッチダウン。デビュー戦はしっかり脚をためる競馬で勝ち上がり。2戦目のデイリー杯2歳Sではわずかに差し届かなかったものの、上がり33.1秒と次位に0.9秒差をつける出色の脚を使いました。間違いなく能力は高く、上位人気が想定されるなかで、唯一といってもいい差し経験馬。最有力候補といって差し支えないでしょう。問題は2倍台前半とも目されているオッズに見合うかどうかです。
オオバンブルマイは4番手から抜け出して京王杯2歳Sを勝利。脚をためる競馬をしているのは大きなアドバンテージで、ルメール騎手への乗り替わりも魅力的です。地味なプロフィール、コミカルな名前から過小評価されやすいタイプで、回収率は取りやすそうですね。
新馬戦で9-11としっかり脚をためて、上がり33.1秒で差し切ったレイベリング。同じく新馬勝ちからのステップとなるエンファサイズは、10-6と自力で動いて勝ち切る能力上位を思わせる勝ちっぷり。ともにキャリア1戦で未知の部分は多いですが、通用する下地は十分にあります。見えていない部分が多過ぎて、本命候補たり得るかは微妙なところですが、オッズや並び次第では狙う価値はあるはずです。
デイリー杯2歳Sで、ダノンタッチダウンを負かしているのがオールパルフェです。デビューから3戦続けて逃げの手に出ており、展開自体は向いているわけではありませんが、先週のコラムでも触れた通り、この時期に自分の戦法が確立できているのは大きなアドバンテージ。しかも、その戦法でG2を勝っている事実は評価に値します。
ドルチェモアは新馬戦が逃げ切りで、サウジアラビアRCは2番手からの抜け出し。上がり最速で突き抜けた内容からも、非常に強い馬であることは間違いありません。ただ、離れた2番手追走というスムーズな形だったのも事実です。
馬券妙味を追うなら、そのサウジアラビアRCでドルチェモアと0.2秒差に粘ったグラニットも侮れません。人気になりにくいタイプで、ここもおそらく超人気薄。再度の一発に賭ける手もあるでしょう。
難解なメンバー構成で、波乱ムードの楽しみな一戦。枠や並びが予想、そして結果に大きな影響を与えることになりそうです。
【当日注目馬】
2ドルチェモア
3オールパルフェ
5バグラダス
7オオバンブルマイ
8グラニット
10ウメムスビ
12ダノンタッチダウン
14レイベリング
かなりの混戦模様。ドルチェモア、オールパルフェが並びで入りペースはかなり上がりそう。内で脚を溜めて経済コース回れる馬を中心に予想を組み立てた。
なお、最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言59
『競馬とは少数派になることを競う競技である』
──前回は「期待値とは何か」について伺ったのですが、その最後に、ボソッと「結局、大事なのは、競馬は心理戦ということなんだよな」とおっしゃっていて。今回は「競馬は心理戦である」について、改めてお聞きしたいと思います。
みねた: 今まで、このコラムで触れてきたあらゆることが「競馬は心理戦である」に通じていると言っていいですよ。例えば、期待値が取れるパターンとしてお伝えしてきた「0.1秒差の6着」だって、6着は凡走だと感じる人が多いから、おいしくなるということですよね。
──金言32「勝ちたければ、4と6を意識しろ」ですね。掲示板確保の5着だと好走、掲示板を外す6着だと凡走に感じる意識の裏を突くという。
みねた: 6着だから走りやすいということではなくて、走った時に穴になりやすいということですね。その馬の持っている好走確率は決まっていて、それを周りが過大評価するのか、過小評価するか。人間社会でもありますよね、一生懸命やって結果も出しているのになぜか評価されない人もいれば、適当にやって結果も出ていないのに、やけに評価が高い人もいたり。
──いますね。要領が良くて、デキる雰囲気を出すのがうまい奴が(笑)。
みねた: 大切なのは雰囲気に流されず、結果を出している馬を適正に評価する事。競馬もムードとかトレンドでオッズが形成される側面があります。例えば、先週の阪神JFにしても、4頭いた重賞勝ち馬を差し置いて前走OP勝ちのモリアーナが2番人気に推されたのは、何かしらのトレンドに基づいて買われたからでしょう。札幌2歳S勝ち馬のドゥーラが6番人気、同2着のドゥアイズが10番人気なんて、ひと昔前の感覚ではあり得なかったですから。
──ムードというフレーズで思い出したのが、天皇賞・秋のパンサラッサです。あの時、「パンサラッサとジャックドールは勝負付けが終わった」「パンサラッサは出脚が鈍いので内枠は不安」といった言説が流れて、7番人気と予想外の人気薄になりました。
みねた: 本来、東京芝2000mは内枠有利で、パンサラッサ自身も内枠の時に好走歴が多いのにもかかわらず、ですね。
──パンサラッサを消したい人たちが消せる理由を探して、その結果「ムード」が作り出されたように思えました。
みねた: その罠にハマらないためには、「的中率×オッズ」を意識するのが最良の方法です。「こういう(パターンの)馬は回収率が高い」と闇雲に買うのではなく、「こういう(パターンの)馬が何倍ついている」と考えるということですね。
パターン化すると馬券は買いやすくなるのですが、オッズの作られ方を正しく理解していないとパターン化したことに引っ張られて、「想定よりオッズが付いていないにも関わらず」そのパターンの馬を買う為に、「SNSなどでこんな良いことが書いてあったからオッズはついてないけど購入しよう」等、普段使わないファクターなどから「買う理由を探してしまう」という事が起こり得る。そうなると回収率的には非常に危険です。
──パンサラッサで消す理由を探すのとは逆パターンですね。
みねた: 折角見つけた「過小評価になりやすいパターン」を見送るのは勇気がいる事ですが、買うか買わないかは、「0.1秒差の6着」の馬が「3倍だから消そう」「10倍だから買おう」というように、オッズを最終的な判断材料にするべきなのです。
──ちなみに、みねたさんは何人かで食事に行ったら、自分の食べたいジャンルを主張できるタイプですか? 私はつい周りに合わせてしまって「自分がない」と言われてしまうのですが。
みねた: 私も周りに合わせますよ(笑)。それは多分、食に対するこだわりがないからです。ですが、競馬の予想に対しては誰よりもこだわっているので、周りの意見に流されることはありません。多くのファンが競馬新聞の印や評論家の意見に流されてしまうのも、そこまで予想自体にこだわりがないということかもしれませんね。
──確かにそう言われると、自分で予想を組み立てるよりも、予想家の見解やSNSなどを眺めて、説得力があると思った意見に乗っているという側面はありそうです。
みねた: そういう方は、一度、印を見ないで、出馬表から読み取れる情報だけで予想してみるといいかもしれません。いずれにせよ、競馬はいかに少数派になるかを競う競技。「競馬は心理戦である」を肝に銘じて、多数派に流されないように意識してください。
【第59回】朝日杯FS展望&競馬とは少数派になることを競う競技である/馬券師・みねたの金言
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みねた
全てのファクターは展開に帰結すると考え、枠、脚質、能力、不利、ハイレベル、様々なファクターから「展開」を予想し、回収率が高くなるであろう馬を選び出す。軸が決まれば馬券の構築にも力を入れ、「展開」により両立しにくい馬券等を省く。サイト『競馬放送局』にて週末の勝負予想を公開中。