プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は『シンプルに「オッズと戦績」に注目すべき条件』です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
10月29日東京11R・天皇賞秋(芝2000m)
天皇賞(秋)は東京芝2000mで施行。初角まで120mほどしかない「コースパターンA」(コースパターンの詳細は単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』をご覧ください)の中でも、特に初角までの距離が短いコースで、先行争いにおいては内枠が有利です。
注目はなんといっても世界ナンバーワンレーティングを保持しているイクイノックス。秋はここから始動になります。能力の高さはもちろんのこと、登録13頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは6頭(先行馬占有率46%)というメンバー構成も、差しタイプのこの馬にとっては追い風でしょう。鞍上も菊花賞で“神騎乗”をみせたルメール騎手となると、大きく崩れるシーンは考えにくいものがあります。
とはいえ、昨年の天皇賞(秋)は0.1秒差、宝塚記念は0.0秒差と圧倒的な差をつけているわけではなく、国内のここ2走は上がりタイムもメンバー2位止まりですから、1倍台の支持を集めるようなら、逆転候補を狙う余地は残されています。
その筆頭はやはりドウデュースでしょうか。差し脚質で、距離短縮ローテも好都合。ダービー以来の再戦となりますが、再度、ドウデュースに凱歌があがる可能性はあります。想定オッズの8倍台は「本当に!?」という印象で、実際のオッズが気になるところです。
想定2番人気のプログノーシスは、前走の札幌記念が捲って0.7秒差をつける非常に強い内容でした。G1に格が上がっても通用する勝ち方ともいえます。対イクイノックスという観点でいえば、先に加速してリードを奪ってしまう作戦が良さそうで、それができそうなタイプ。こちらも逆転の可能性はあります。
ダノンベルーガは昨年の同レースでイクイノックスと0.2秒差。前走の札幌記念は期待値の取れそうな負け方で、なんといっても鞍上は雷神・モレイラ騎手です。十分に上位争いの資質がある馬で、あとはオッズ次第でしょう。
馬券妙味という点で面白そうなのがジャックドール。昨年の天皇賞(秋)は、同型馬パンサラッサがいる難しい展開の中で、勝ち馬のイクイノックスから0.3秒差に踏ん張りました。ここ2戦は1600mであったり、捲り決着であったりと敗因は確かで、適距離に戻る今回、17倍のオッズなら期待値はありそうです。
特殊なコース形態ゆえに、とにかく枠順がポイント。イクイノックスが外枠をひくようだと、より馬券的に考え甲斐のあるレースになりますね。
【枠順確定後注目馬】
1 ノースブリッジ
3 ドウデュース
5 ガイアフォース
6 ジャスティンパレス
7 イクイノックス
10 ジャックドール
7イクイノックスが競馬の中心で間違いは無いがオッズが辛く馬券の中心と考えると伏兵のポジションに居る馬たちにもチャンスはある。天皇賞春の勝ち馬ジャスティンパレスが29倍などかなり評判馬にかなり票が流されているので高配当も狙っていきたい。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言103
『シンプルに「オッズと戦績」に注目すべき条件』
★ピックアップレース★
9月17日阪神11R・ローズS(芝1800m良)
◎12マスクトディーヴァ
○17セーヌドゥレーヴ
▲8ユリーシャ
△7ラヴェル
☆14コンクシェル
注10マラキナイア
注5ブレイディヴェーグ
[参考買い目]
単勝 12
複勝 12
ワイド 12-17.8.7
馬連 12-17.8.7.14.10.5
3連複 12-17.8.7-17.8.7.14.10.5
──8月のエルムS、レパードSから始まった重賞の的中ラッシュが止まらず、こちらでの解説が追いつかない状況です。今回は、その的中ラッシュの中から、7番人気1着のマスクトディーヴァに◎だったローズSについて伺いましょう。このレースは見解文が長くて、力が入っているのが伝わってきました。
みねた: ははは。自信があるレースほど見解文が長い、それはあるかもしれませんね。それほど自信がない時はシンプルになりやすい、という言い方もできるかもしれませんが(笑)。
──ということで、ここに見解文の全文を載せるので、それをもとに解説をお願いします。
「スタートから3コーナーまでの距離約644mと長く先手争いでは内外の有利不利は少ないコースレイアウト。メンバー構成からは前に行ける馬か自分から仕掛けられる馬が有利。ローテーションが多様な組み合わせで未知な部分が多く、人気薄の馬から攻める。
本命は12マスクトディーヴァ。まだ3戦しかしておらず新馬戦から中団少し後ろからの競馬を貫いていて馬込みを経験させているのは良い。前走は10番手から早めに動いての勝利で今回のメンバー構成には向く筈。朝4時点で9人気31.4倍と大穴になっていてこのオッズなら期待値はあるはず。
相手の大穴17セーヌドゥレーヴも前走で機動力を見せており57倍なら狙ってみても良い。▲8ユリーシャはブービー人気85倍だが前走は3勝クラスで古馬に混ざって0.6差なら一発に賭けるのもあり。波乱の決着に期待。」
──「波乱の決着に期待」で締められている通り、◎12マスクトディーヴァが最終オッズ23.2倍の7番人気、○17セーヌドゥレーヴが同88.3倍の12番人気、▲8ユリーシャが同122.0倍の16番人気と、むちゃくちゃ振り回しています(笑)。
みねた: 「荒れるだろう」「馬券的に面白そう」という私の考えは、ここからも伝わったのではないでしょうか。
──荒れるだろうという根拠は、どこにあったのでしょうか?
みねた: レースの条件ですね。基本的に、OP以上のレースはステップレースが多様になります。例えば2勝クラスであれば、基本的に出ている馬は1勝クラスを勝ち上がったばかりの馬か、2勝クラスで負けている馬のどちらか。また、G1レースになると、特定のステップレースから出走馬が埋まっていき、イレギュラーなステップの馬は数頭だけのことがほとんどです。どちらにしても、出走メンバー間の比較がしやすいので、オッズが歪みにくい。
──ここは、秋華賞へのステップとなるG2戦。以前に「ステップレースが多様になる」というお話を伺ったレパードSも、世代限定の重賞戦でした。
みねた: こういった世代限定の重賞戦などは、すでにOPや重賞で実績を残している馬、1勝クラスを勝ったばかりの馬、2勝クラスを勝ったばかりの馬、2勝クラスで負けている馬、3勝クラスを勝ったばかりの馬、3勝クラスで負けている馬などが入り乱れます。▲8ユリーシャは、レパードSで◎ライオットガールを狙った時と同じ、「3勝クラスで僅差負け」という狙い目のパターンですね。
──3勝クラスということは、2勝クラス勝ちの馬よりも格上の条件を走っているにもかかわらず、そこでの敗退で人気を落としやすいというやつですね。
みねた: 出走馬のステップが多様になると、比較が難しいので、ファンの方は新聞の印通りに買ってしまいます。
例えば、このレースで単勝2.1倍という圧倒的な1番人気に推されていた5ブレイディヴェーグは1勝クラス勝ちというローテーションでした。もちろん、ラップタイムや同日の他のレースと比較して優秀なパフォーマンスだったことは間違いないのですが、多くの方は、新聞やネット上でなされているそういった分析を鵜呑みにしていて「きっと強いのだろう」と、この馬を買っている可能性が高いのです。
──その感覚はわかります。私も、特にレース映像や数字を見返すわけでもなく、「こんなに印が入っているのだから強いのだろう」と。その結果、「人気が人気を呼ぶ」みたいな現象が起こるのか。
みねた: そうならないように、シンプルに「オッズと戦績」に注目することをオススメします。前走の比較でいえば、12マスクトディーヴァも同じ1勝クラス勝ち。2着につけた着差も5ブレイディヴェーグが0.5秒で、マスクトディーヴァは0.4秒ですから、ほとんど差はありません。それでいて、単勝オッズは前者が2.1倍、後者が23.2倍です。単勝1万円賭けたら、利益は1万1000円と22万2000円で20倍違いますが、「果たして、両者の力差は20倍もあるのか?」と考えるわけです。
──「オッズと期待値」に行き着くわけですね。
みねた: そういうことです。だから、こういったステップが多様なレースは、オッズを見てからでないと予想するのは難しいですね。5ブレイディヴェーグのオッズが6~7倍ついていたら◎という選択肢も十分にあり得るわけですから。
どうしても断然人気になるような馬に対しては、予想すればするほど負けるイメージが湧かなくなりますが、実際にはそんなことはありません。地方競馬の場合、「ここはさすがに8割方勝つでしょ」という馬がいるのですが、トップレベルで競い合う中央競馬の場合、1戦や2戦のパフォーマンスで、本当の能力差を推し量るのは難しいのです。ましてや、それだけのパフォーマンスをみせた馬であれば、その後に反動もあるでしょうしね。
──確かに、つい先日のサウジアラビアRCも、予想すればするほど断然人気のボンドガールが負けるイメージが湧かなかったのですが完敗の2着。考えてみたら、どの馬も新馬勝ちしているわけですから、シンプルに「オッズと戦績」で考えたら1.4倍は見合ってなかったのかな、と思います。今だから言えることですが(笑)。
最後に買い方について教えてください。このレースは、普段はほとんど使わない「複勝」も推奨されていましたが?
みねた: 本命馬が人気薄でそれなりに自信があったので、複勝も取りこぼしたくないという意図ですね。複勝5倍なら回収率500%。このクラスの穴馬を◎にすることは、それほど多いわけではありません。期待値が取れる馬券は基本的に全て買うべきなので、参考買い目に複勝が含まれていない場合でも、直前オッズで3倍前後あれば、複勝を押さえて損はありませんよ。