プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は「G1で内枠が有利になりやすい理由」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください！
★今週の重賞ピックアップ★
11月5日京都11R・みやこS(ダート1800m)
みやこSは京都ダート1800mで施行。初角まで300mを切っているので、先行争いにおいては内枠が有利。ただ、ダート自体、外枠に砂を被らない優位性があるので、「砂被りを苦にしないタイプが内枠ならプラス」「外枠の逃げ馬はハナを取り切れるか微妙で、取れたとしても脚を使ってしまうためマイナス」といったところでしょうか。
登録18頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは8頭。1200mからの距離延長となる馬もいるここは、道中で脚をためられるタイプに展開は向くでしょう。
3勝クラスを制して勢いのある馬が参戦してきて、今後のダート界を占う上でも重要な一戦になりそうですが、その筆頭候補が4戦4勝のセラフィックコールでしょうか。新馬戦での1.3秒差の圧勝を皮切りに快進撃を続けています。前走の14-14-10-4からの0.6秒差圧勝も非常に強い内容。ただ、今回はいきなりの重賞挑戦で斤量1キロ増とクリアすべきハードルが高いのも事実です。
長期休養明けから3連勝中のアスクドゥラメンテも全く底をみせていません。5-3-5-4と加減速を繰り返しながら勝利した前走の内容は、能力の高さを証明するもの。なお、こちらは前走から斤量が1キロ軽くなります。
ホウオウルーレットも11番手からの差し切りで3勝クラスを卒業。重馬場だったとはいえ、走破時計はセラフィックコールを上回っています。想定通りの10番人気前後にとどまるようなら、オッズ差でこちらを上位評価する手も。
上位人気馬で最も展開的に向くのはハピでしょう。G1でも3-3-4-4から3着と脚をためる競馬ができており、前走も道中8番手から差してきました。逃げ馬がすぐ外という並びにでもならない限り、かなりの有力候補とみます。
ウィリアムバローズは前走でOPを逃げ切り。展開的に向くとはいえませんが、実績は上位で、斤量2キロ減も魅力的。想定通り6倍前後のオッズなら、展開面には目を瞑り、能力に賭けるのも面白そう。
同様に、ワールドタキオンも展開面は微妙ですが、G3で2着の臨戦ながら10倍前後のオッズならば、期待値重視で狙ってみてもいいかもしれません。
差し馬勢で穴を狙うならエナハツホ、マリオロードあたり。特に後者は、6着、7着、4着と期待値を積みそうな臨戦過程です。
【枠順確定後注目馬】
2 アルーブルト
3 タイセイドレフォン
7 メイクアリープ
12 ペプチドナイル
14 ウィリアムバローズ
15 セラフィックコール
並びと脚質、基礎能力、オッズすべてが揃うような馬がおらず選択が難解な並びになった。連勝馬と実績馬の構図だがオッズからは連勝馬が優勢。馬券的には実績馬から行くのが面白そうなレース。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言104
『G1で内枠が有利になりやすい理由』
★ピックアップレース★
10月1日中山11R・スプリンターズS(芝1200m良)
◎10マッドクール
○1ナムラクレア
▲9アグリ
△6ママコチャ
☆2テイエムスパーダ
注8メイケイエール
注13ジャスパークローネ
[参考買い目]
単勝 10
ワイド 10-1.9.6.2
馬連 10-1.9.6.2.8.13
3連複 10-1.9.6-1.9.6.2.8.13
──今週は◎10マッドクール(6番人気2着)で、馬連、ワイド、3連複的中だったスプリンターズSを振り返ります。こちらも予想文を読んでいただきたいのですが、みねたさんが未来人かと思いました(笑)。
【見解】
スタートから最初のコーナーまでの距離約275m。先手争いでは内枠が有利なコースレイアウト。前走道中3番手以内の通過歴のある馬が16頭中4頭。本命は前に行ける馬から選びたい。2テイエムスパーダ、10マッドクール、13ジャスパークローネ、16モズメイメイの4頭だが7,8枠に入った13ジャスパークローネと16モズメイメイは枠が厳しい。オッズも付いているので狙っても良いがこのコースで外から逃げるのはかなり脚を使わされる。
それなら10マッドクールが面白い。前走は1番気で9着と大敗を喫したがジャスパークローネとの斤量差が3.5k縮まる事を考えると一変が有っても良い。
ジャスパークローネは7枠でもスタート速く、テイエムスパーダと並走するか先手取り切るまで出して行く事が予想され、逃げ争いの2頭を見ながら3.4番手のポジションを取れるここは道中良い位置で走れる。
逃げ争いを演じる2頭のどちらかは潰れると考え3連系は3列目に2頭を置いて2頭共という馬券が入らないようにする。2列目に能力高く並びも良い1ナムラクレア、逃げ争い激しくなれば差してこれる9アグリ、6ママコチャを入れて勝負。
みねた： 外から13ジャスパークローネがハナを奪い切って、先行馬4頭が1～4番手。10マッドクールが好位の内に収まるという、完璧に見立て通りの展開になりましたね。
──今回もこの見解文に沿ってお話を進めたいのですが、まずは「先行馬の並び」について。初角までの距離が短いコースで、先行馬も4頭。内に入った先行馬にまずは目が行きます。
みねた： 「先行馬の数が少ない」上に、「最も強いと思われる逃げ馬(13ジャスパークローネ)が外枠」という個人的に、好きな並びになりました。◎候補は、有利な内枠に入った2テイエムスパーダと逃げ馬2頭を行かせて3～4番手の好位を取れそうな10マッドクールでかなり悩んだのですが、「再現性」に着目して10マッドクールを◎としました。
──「再現性」について、詳しく解説してください。
みねた： CBC賞、北九州記念と2走続けて、テイエムスパーダは外のジャスパークローネに被せられて、ハナを奪われています。重賞クラスになると展開の再現性が高くなるので、ここもテイエムスパーダが引かざるを得ないと考えました。
そして外からジャスパークローネが行き切る形になった時、マッドクールとジャスパークローネとは枠も離れているので、切り込まれて引っ張る形になる可能性は低く、マッドクールが絶好位に収まる確率は高いだろうという見立てです。
──それが「ジャスパークローネは7枠でもスタート速く、テイエムスパーダと並走するか先手取り切るまで出して行く事が予想され、逃げ争いの2頭を見ながら3.4番手のポジションを取れるここは道中良い位置で走れる」ということですね。
その前の「オッズも付いているので狙っても良いがこのコースで外から逃げるのはかなり脚を使わされる」についても教えていただけますか？
みねた： これまでにも何度か話した通り、タイムトライアルになればなるほど、物理的にロスが少ない内枠が有利になります。それに加えて、G1は頂上決戦。出走馬は基本的に1着を狙うため、スタート直後から出していくことが多くなります。
これが条件戦やトライアル戦であれば、内の各馬が様子を窺っているところを外から一気にハナを奪い切るということもありますが、普段よりも出していっている馬たちを制してハナに立つということは、その時点で少なからず消耗していますよね。ましてや、G1に出てくるような馬は馬ごみを苦にしないので、内枠の恩恵をフルに受けられます。こういった複合的な要素が絡み合い、G1＝内枠有利という図式が成立しているのです。
重賞連勝中にもかかわらず単勝オッズは10倍超え。展開的にもハナを奪えると見込んでいる以上、期待値重視でジャスパークローネを狙う選択もありましたが、今、お話しした通り、G1レベルで外枠から先行するロスを考慮して評価を下げました。仮にテイエムスパーダとジャスパークローネの馬番が逆だったら、ジャスパークローネを◎にしていた可能性が高いでしょうね。
──そして見解文は「それなら10マッドクールが面白い」へと繋がっていきます。
みねた： これは典型的な「期待値を取りやすいパターン」である「前走大敗」でした。1番人気の馬が大敗するケースは能力以外の要素で負けていることが多く、実際、この馬もシルクロードSでナムラクレアと0.1秒差の接戦を演じています。
大敗している馬は戦績が目立たないのでオッズが積み上がりやすい上に、力を出し切っていないので状態面の回復も早くなるという二重に“おいしい”状況。ましてやマッドクールの場合、対ジャスパークローネで考えた時、58.5キロvs55キロと3.5キロも斤量を背負っていたのが、今回は58キロの同斤量。私は普段から、1秒程度の差はちょっとしたことで埋められるとお話ししていますが、3.5キロ斤量差が縮まり、展開面でも恵まれるとなれば、マッドクールがジャスパークローネに先着するというのは、極めて自然な結論だったのです。
