プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“能力比較を飲み込むほど“展開”の比重は大きい”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
6月8日 東京11R 安田記念 芝1600m
安田記念は東京芝1600mで施行。初角となる3コーナーまで500m以上と距離がたっぷりあるため、先行争いにおける内外の有利不利はそれほどありません。
登録19頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは2頭。先行馬が少なく、ペースは落ち着きそう。G1レースなので内がベターではあるものの、団子状態になって内がごちゃつくリスクも。外枠でも瞬発力勝負になれば間に合う可能性があり、現段階で内外の有利不利を予見するのは難しそうです。ただ、強い先行馬の外が恵まれやすいということだけは確実です。
1番人気想定はシックスペンス。数少ない前走先行馬の1頭です。目標にされる心配はありますが、距離短縮なので、ちょうど好位辺りに落ち着きそうではあります。ここはG1にしてはメンバーが手薄な印象があり3歳にして毎日王冠を制したこの馬の実力は上位。強い4歳世代でもあり、想定4.8倍なら悪くありません。
2番人気想定はソウルラッシュ。昨年のマイルCS勝ち馬で前走のドバイターフでロマンチックウォリアーを撃破。実績は抜けた最上位といえるでしょう。中山記念は取りこぼしましたが、レコード決着で、1800mのスペシャリストの後塵を拝した形。ベストのマイルで想定5.0倍はかなり甘く映ります。
3番人気想定はジャンタルマンタル。昨年のNHKマイルCではアスコリピチェーノを降して勝利しています。先行馬占有率の低いレースなので、前に行けるのも有利。目標にされる分、2～3着止まりの可能性も高そうですが、能力的に好勝負は必至でしょう。
4番人気想定はトロヴァトーレ。連勝でダービー卿CTを勝ちましたが、実績的には前出3頭には劣ります。9-6-8から差し切った内容自体は優秀なので、9倍という非常に微妙なライン。
5番人気想定はウォーターリヒト。こちらは前走で東京新聞杯を差し切り勝ち。トロヴァトーレ同様、実績的には一枚劣りますが、東京適性の高さは強みでしょう。G1レベルの相手にどうかという懸念はありますが、11倍もらえるなら一考といったところ。
実績馬が近走の敗退で人気を落とした後に巻き返すというのは穴馬券の基本パターン。ブレイディヴェーグは昨年のマイルCS、東京新聞杯ともに1番人気に推されながら4着止まりでした。海外での敗戦も挟んだこともあり、11.2倍まで人気を落とすようなら面白い存在です。
ウインマーベルは昨年のマイルCS3着馬。この走りを見る限り、良績は短い距離に集中していますが、距離延長が悪いとは思えません。9番人気・21.4倍なら期待値がありそうです。
想定段階ではかなりオッズが割れており、馬券力が試されそうな一戦。並びが大きなポイントになりそうです。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言184
能力比較を飲み込むほど“展開”の比重は大きい
★ピックアップレース★
5月18日東京10R 青梅特別 ダート1600m重
◎1ウィズザドリーム
○12ショウナンカブト
▲7オウギノカナメ
△3プルナチャンドラ
☆4オソルノ
注5マンダリンボレロ
―今回は5月18日東京10Rの青梅特別を取り上げます。▲→◎→注の決着で3連複19700円、3連単82490円の高配当となりました。2番人気→5番人気→6番人気と上位人気同士の組み合わせだったのですが、1番人気のショウナンカブトが沈んだこと、それ以外の馬が混戦だったこともあり大きな配当になりましたね。
みねた)前走2勝クラスで馬券に絡んでいるのがショウナンカブトだけというメンバー構成ですから、消去法で考えるとこの馬になるでしょうね。逆に、◎ウィズザドリームは直近3走が1.9秒差→1.7秒差→1.1秒差の大敗続きですから、戦績的にこの馬をピンポイントで◎にするのも不可能でしょう。
―ではなぜ、正解に辿り着くことができたのか？ その思考を順序立てて教えてください。
みねた)予想の出発点としては2つあって、「1番人気はどういう馬か？」「コースパターンはどうか？」でした。期待値を追求する以上、1番人気(を含む上位人気馬)に期待値を吸っている馬がいるかどうかが重要なので、1番人気の精査は欠かせません。このレースでいえば単勝2.4倍と抜けた支持を受けたショウナンカブトについて考えます。前述した通り、前走2勝クラスで馬券に絡んでいたのはこの馬だけで、中央の2勝クラスで掲示板に載っていたのもプルナチャンドラだけというメンバー構成を考えると、ショウナンカブトが有力であることは間違いないでしょう。問題は脚質です。
―前走は14-14から追い込んで0.4秒差の2着。
みねた)このレースで前走の通過順位に3番手以内があったのは内からウィズザドリーム、オソルノ、ジャスパージェットの3頭だけ。そのうちウィズザドリーム、オソルノは距離短縮ローテでジャスパージェットは船橋競馬場でのもの。先行争いは激しくならず、明らかに遅い流れが予測できました。そうなった時、「14番手から差せるのか？」となりますよね。
―恥ずかしながら、それでも馬券内には差してくるだろうと短絡的に軸にしてしまいました。
みねた)直近4走が3着→5着→4着→2着と安定しているので「馬券内は堅い」と考える気持ちはわかりますよ。私も対抗評価ですから。ところがレースは典型的な前残り決着になりショウナンカブトは5着止まりでした。読者の方は出馬表を見返して欲しいのですが、これぐらい戦績が抜けているように映る馬でさえ、馬券外に沈んでしまうほど、“展開”という要素の重要度は高いのです。
―ショウナンカブトもスローペースを見越してか、5番手といつもよりも早めの競馬を試みられたのですが、結局、前をいく馬を捉えられませんでした。
みねた)前走は14番手と脚をためたからこそ、鋭い脚を使えたという側面もあるかもしれませんね。実際に3走前は5番手から5着という流れ込みでした。それも含めて、直近4走を3着→5着→4着→2着と勝ち切れていないのは事実。コンスタントに自分の力を80％以上出して好走するため人気にはなるものの、120％の力を発揮した馬に負けてしまうのです。したがって、少なくともショウナンカブトの単勝期待値は1を超えないので、馬券的には、今回120％の力を発揮する可能性のある馬を探すことになります。
―それが◎を打ったウィズザドリームだったわけですね。ただ、東京ダート1600mはコースパターンF(初角まで長いコース・詳細は単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』を参照)で、芝スタートでもあるので外枠が有利ですよね？
みねた)そうですね。だから予想の出発点としては、外枠から精査しています。ただ、このレースはあまりにも外枠の馬が頼りなさ過ぎました。
―最も有利な大外16番のグリーンライズは2戦連続二桁着順で単勝186.3倍の最低人気。15番枠のビターゼノビアも2勝クラスで8戦して馬券内無し…。
みねた)精査したところ、12番のショウナンカブトより外に魅力的な馬がいなかったので、枠とは別の要素で期待値のある馬を探したところウィズザドリームが浮上しました。
(次回に続く)
