日本競馬の格付け表記と読み方についてのハナシ、後編です。
2007年、日本の競馬が「パート1」国に分類され、国際グレードではない「GI」は国際セリ名簿基準委員会によって表記の変更を求められたのに伴い、日本グレード格付け管理委員会は、国際格付けが与えられていない重賞の表記を「Jpn」としました。その時、JRAから私たち競馬メディアに通達が出されました。
“「JpnI」の読み方は「ジェーピーエヌ・ワン」ではなく「ジーワン」と読むように。また「GI」も「グレードワン」と読んではならず、同じく「ジーワン」と読むように”
当時は、つい癖で「グレードワン」と言ってしまうこともありましたが、いちいち指摘される徹底ぶりでした。しかし、「グレード」の「G」なのに、なぜ「グレード」と言えないのか。そもそも「Jpn」がなぜ「ジー」と読めるのか。その理由はハッキリしています。
例えば、東京優駿(日本ダービー)が外国馬に開放され国際格付けを得たのは2010年。「パート1」になってから国際格付けがされるまでの2007年から2009年までの3年間は「JpnI」でした(JRAのHPでウオッカが勝った2007年のダービーを検索してみてください)。
最高峰のダービーが「GI」ではない。ファンにそう思われるのは都合が悪いが、「グレードワン」ではない。ならば、国際格付けを持つ「GI」も、すべて「ジーワン」と読ませ、表記の違いを誤魔化したわけです。
今ではJRAの競走は全て国際基準に沿って格付けが行われており、「Jpn」表記が見られるのは地方競馬だけになりました(東京大賞典は地方競馬唯一の「GI」)が、2018年、JBC・3競走がJRA京都競馬場で行われ、久しぶりにJRAの競走に「Jpn」表記がお目見えしました。
私は、『あれ(2007年)から10年以上経ちましたが、今でも“ジーワン”と読ませますか?』とJRAに確認しました。すると『ジーワンともジェーピーエヌワンとも読まず、格付けに触れるな』という予想の上をいく答えが返ってきました。
ところがJRAは、2018年のルメール騎手のGI勝利にJBCスプリントも含めて、秋の連続週GI勝利は「4」、年間GI勝利数は「8」と紹介しました。確かに2007年以前の記録の扱いなど難しい面はあります。メディアも「GI(ジーワン)級」という苦しい表現で記録を伝えています。
しかし、そろそろ「ジーワン」と「ジェーピーエヌワン」を分けてもいいのではないでしょうか。国際化を進めている以上、その違いを明確にするべきと私は思っています。事実をぼやかすようなやり方は、かえってファンを混乱させ不誠実なのではないでしょうか。
皆さんはどう思いますか?