障がい者スポーツの祭典・パラリンピックが開催中です。競馬ファンにとっては、森秀行厩舎の元調教助手・宮路満英選手や、森一馬騎手や横山和生騎手らと同期の元JRAジョッキー・高嶋活士選手が出場した馬術競技に注目された方も多かったのではないでしょうか。
私は、NHK・Eテレの中継内でナレーションのような仕事をさせてもらっています。オリンピックにつづいての仕事ではあるのですが、オリンピックとは全く違う難しさに日々直面しています。また、競馬中継を含めた私の仕事についても、大いに考えさせられています。
パラリンピックの開会式は、はるな愛さんの笑顔で始まりました。競泳会場・東京アクアティクスセンターのNHKの特設スタジオでは、三上大進さんがキャスターを務めています。その競泳の実況を30日に担当したのは、澤田彩香アナウンサーでした。
さて、皆さんは上段で取り上げた3つの事柄を読んで何を感じたでしょうか。これら事実は、これで完結していて、これ以上でもこれ以下でもありません。でも、放送業界に籍を置いてきた経験上、これまでの放送業界では、これだけでは「不十分」でした(です)。
セクシャルマイノリティで性転換をしたはるな愛さん。生まれつき左手の指が2本しかなく、セクシャルマイノリティでもある三上大進さん。女性唯一の実況アナウンサー・澤田彩香さん。こんな説明が必要とされてきました(されています)。
Eテレの中継の中で、ある車いすテニスの選手を一言で紹介するという機会がありました。皆さんなら何を紹介するでしょうか?
①障がいの状態 ②障がいを持ったきっかけ ③パラリンピックでの実績 ④プレースタイル、ストロングポイント・・・etc
時間の都合で、どれか一つを選ぶしかありません。私は悩みました。そして「世界トップクラスの力強いショットが武器で、強烈なフォアハンドが得意」と紹介しました。④ですね。でも、今までなら他を選択した気がします。今回のパラリンピックをきっかけに、私の中で変化が起きているのを感じています。
中央競馬中継の中で、いつも若干の戸惑いを持ちながら取り上げる事があります。藤田菜七子騎手をはじめとする「女性騎手として初の○○」という記録の紹介です。「女性だから」という記録は果たして必要なのか。これについては、負担重量の恩恵の問題、競走馬のセックスアローワンスの問題にも関わってくる気がしています。
共生社会、ジェンダーレス、LGBT、セクシャルマイノリティ・・・。昔は無かった(知らなかった)言葉と、その意味・意義について、パラリンピックをきっかけに、日々考えさせられています。