いよいよ10月3日、今年は記念すべき100回目の開催となる凱旋門賞がフランス・パリロンシャン競馬場で行われます。日本からは、2004年の凱旋門賞馬・バゴを父に持ち宝塚記念&有馬記念のグランプリ3連覇を果たしたクロノジェネシスと、前哨戦のフォワ賞を見事に逃げ切ったディープボンドの2頭が参戦し、日本での勝馬投票券の発売も行われます。
非常に楽しみな第100回の凱旋門賞、今年もグリーンチャンネルのレース中継でスタジオの司会を担当させていただくことになりました。欧州の芝2400m路線における最高峰のレースを、どうぞ一緒に堪能しましょう。
さて、この凱旋門賞には1969年のスピードシンボリから、昨年のディアドラまで延べ27頭の「日本馬」が参戦(ナカヤマフェスタとオルフェーヴルは2回出走)しています。ご存知の通り、1999年のエルコンドルパサー、2010年のナカヤマフェスタ、2012年、2013年のオルフェーヴルのあわせて4度の2着が最高成績。凱旋門賞に挑む「日本馬」は今年のクロノジェネシスとディープボンドで、延べ29頭になります。
ところで、この「日本馬」という表現、決して間違いではないのですが、今年は特に「不十分な表現」になりました。というのも、日本のディープインパクトを父に持ち、日本のノーザンファームで産まれた日本生産馬・スノーフォールや、キーファーズの代表・松島正昭さんが共同所有し、日本の武豊騎手が騎乗するブルームの参戦もあるからです。「日本馬」という表現ですと、スノーフォールやブルームだって「日本馬」と言えなくもありません。
かのエルコンドルパサーが生まれたのはアメリカ合衆国ですし、今年のクロノジェネシスの鞍上はアイルランド人、ディープボンドの鞍上はイタリア人です。(※追記、9/30(金)時点でC・デムーロ騎手は急遽ラービアーに騎乗することになり、 ディープボンドの鞍上はミカエル・バルザローナ騎手になる模様)今年、日本から参戦する2頭や、過去の延べ27頭を「日本馬」と表現するのは、あくまでも「日本調教馬」という意味です。
言うまでもなく、凱旋門賞制覇は、日本のホースマンの悲願です。その悲願達成の日は、そう遠くないと信じたいですが、それが、「日本調教馬」なのか、「日本人所有馬」なのか、「日本生産馬」なのか、はたまた「日本人騎乗馬」なのかはわかりません。「日本人所有馬」という意味では、2011年の凱旋門賞馬・デインドリームは、直前に吉田照哉さんが権利の半分を取得していましたが、「日本調教馬」「日本生産馬」「日本人騎乗馬」の最高成績は2着です。
凱旋門賞が魅力的なレースであることは間違いありませんが、それ以上に、日本競馬界は凱旋門賞に憑りつかれたような状態であるとも言えます。もはや呪縛とも言うべき状態から解放するべく、100回目の凱旋門賞で、ぜひとも「日本関係馬」の優勝シーンを見たいものです。