今週は、大規模改修中の京都競馬場に替わり阪神での開催となる「仁川の菊花賞」を取り上げます。
今年で82回目を数える菊花賞は、かつて1979年、スタンド改築のために1度だけ阪神競馬場で行われたことがあります。このスタンド改築工事とは、築40年を過ぎ今まさに改築工事が行われている「グランドスワン」が完成した工事です。
歴史上、過去1回のみの阪神で行われた菊花賞はどんなレースだったのでしょうか。
同年のダービー馬・カツラノハイセイコは回避し、皐月賞馬・ビンゴガルー(小島太騎手)が1番人気でした。前日からの雨で重馬場。18頭立てのレースは、先団に付けたビンゴガルーが3コーナーで早めに仕掛けて先頭に立つ中、後方集団に付けていた5番人気のハシハーミットが外からのまくりで進出。早仕掛けが裏目に出て失速したビンゴガルーを直線半ばで捕らえ、3馬身差をつけて優勝しました。
勝ったハシハーミットは、栗東の内藤繁春厩舎(後にダイユウサクやエイシンワシントンなども管理)の管理馬。春は毎日杯(福永洋一騎手の落馬事故があったレース)で重賞初制覇しましたが、皐月賞は11着に終わり、ダービー出走は断念。秋に復帰して叩き3戦目、京都大賞典で古馬相手に奮闘し、天皇賞馬・テンメイのアタマ差2着に入っていました。菊花賞ではハシクランツが2着に入り、同厩・同馬主のワン・ツーフィニッシュ。デビュー6年目、当時24歳だったハシハーミットの鞍上・河内洋騎手は、この年、アグネスレディーでオークスを制したのに続くクラシック優勝でした。
今年の舞台、阪神の芝3000m内回りと言えば、阪神大賞典でお馴染みのコース。やはり見どころは、最後の急坂でしょうか。「淀の3000m」との大きな違いは、やはり3コーナーの急な下り坂の有無、ホームストレッチの急坂の有無でしょうか。
なお、阪神競馬場の芝3000m内回りコースのフルゲートは従来「16頭」でしたが、菊花賞が行われるのに合わせ、今年から「淀の3000m」と同じく「18頭」に変更になりました。42年ぶりに「仁川の3000m」で行われる菊花賞。皐月賞馬やダービー馬が不在なのは、本家・セントレジャーも昔から同じ。それでも権威や格式は少しも下がりません。ただ、今年は皐月賞もダービーもフルゲート割れだっただけに、是非ともフルゲートで、最後の1冠を巡る熱いレースを見たいものです。