『僕が乗っていた馬に例えられているってきいたよ。でも、他の馬に例えなくていいくらい、あの子自身がスターになってきたよね』
パンサラッサについて、担当の池田厩務員が中舘調教師にかけられた言葉。
僕が乗っていた馬──とはツインターボのことです。中山記念で見せた圧巻の逃げから、歴史に残る逃げ馬たちに例えられることが多くなったというパンサラッサ。池田厩務員はそれはそれで嬉しかったそうですが、冒頭の中舘調教師の言葉には『ちょっと感動してしまった』と言います。
でも、そうですよね。なんて言ったって、パンサラッサはもうれっきとしたGI馬なのですから…。
こう言うと『国内のGIは勝っていないじゃないか』と揶揄されたりすると聞きましたが、海外遠征というのは陣営も相当なリスクを払って挑戦するもの。まず検疫に相当な時間がかかりますし、航空輸送、普段と違った施設での調教と、馬のメンタルや状態の持っていき方も、国内競馬とはまた違ったプレッシャーがあるはずです。
矢作厩舎にそのノウハウがあるのは、今まで果敢に挑戦を続けてきたからこそ。あの日、ゴドルフィンマイルのバスラットレオンに始まり、ゴールドカップのステイフーリッシュ、ドバイターフのパンサラッサと1日に3勝を挙げる快挙で、“日本競馬の誇り”をファンに与えてくれた矢作厩舎勢。想像を絶するプレッシャーの中、当日の大トリを飾ってくれたパンサラッサのGI勝ちは、どんな状況でも力を出し切れる「真に強い馬」でなければできないものだったと思います。
▲矢作厩舎のパンサラッサ
昨年の関門橋S後から脚元がモヤモヤし、マイラーズCは跛行で除外。その後、思い切って半年休ませたことが功を奏し、馬が本格化したと池田厩務員は言います。
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赤城真理子
鹿児島県出身、大阪府在住。全く別の業種でライター業をしていたが、2018年11月「競馬知識ゼロ」のまま大阪スポーツの競馬記者に転身。毎週栗東に泊まり込んで取材をするうち、馬の魅力にどっぷりはまり現在に至る。東スポ紙面にてG1コラム【転生したらトレセン記者だった件】、Web限定で不定期コラム【赤城真理子の「だから、競馬が好きなんです!!!】を連載中。