大阪スポーツ・赤城真理子記者による栗東トレセンからのレポート。週末のレースを中心に、トレセンから旬な情報を届けていただきます。
今回はアイビスSDに出走する関西馬から、ピューロマジックの陣営レポートです。
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スピード能力に関してはおそらく現役屈指。あの馬にはスピードでは勝てない、現役馬でいちばん速い、という声はジョッキーさんからもお聞きします。ただ、「簡単な馬ではない」ということも、彼女に乗ったことがある方なら口を揃えて言います。
競走馬というのは、まず基本的に繊細な生き物ですが、その中でも本当に気持ちが繊細。「競馬」において全能力を出し切るというのは、ゴールを通過する瞬間にエンジンを使い切るということですが、歯車が0.0001ミリずれただけでそれができなくなってしまう馬もいるのです。
本来なら、未勝利で抹消になってしまっていた危険性すらある。他厩舎の方からそこまで言われるくらいの危うさを持つ女の子を、側から見ているだけでは分からないくらいの緻密な調整を重ねながら、育ててきた厩舎があります。
それは…、アイビスサマーダッシュに出走するピューロマジック。安田翔伍厩舎の管理馬です。
デビュー時は美浦・宮田厩舎の管理馬でしたが、そこから翔伍調教師のお父さんである安田隆行厩舎に転厩。そして隆行調教師の定年に伴い、翔伍厩舎に引き継がれました。
翔伍厩舎に引き継がれてから、普段の運動はとても大人しく、落ち着いてできるようになっていたピューロマジック。担当の仲本厩務員が厩舎周りを引き運動されていた際、おそらく元・安田隆厩舎の方から「え、その馬もしかしてピューロマジックですか?」と聞かれていたのを見たことがあります。
「はい、そうですよ!」と笑顔で返事しておられた仲本厩務員。するとお相手の方は目を丸くして、「まじですか!? 信じられへん、別の馬みたいや…」と驚かれていたのです。
それくらい、以前は普段から相当危ない馬だったそう。安田翔伍調教師は、以前に「そういう馬だから仲本さんにやってもらったんです。仲本さんはすごく優しくて馬へとあたりも柔らかいから、ピューロマジックみたいな子にはピッタリだと思って。優しいけど、構いすぎたりもしないから、馬が人間を嫌にならない。そうしたら僕も乗りやすいんです」とおっしゃっていました。
それでも競馬に行くとスイッチが入り、テンションが上がってしまって、暴走気味に走ってしまうことも多かったピューロマジック。
馬へのあたりが目立って、繊細な安田翔伍調教師を持ってしても調教には相当、苦労されていたと思います。前に馬を置き、それを追いかけ過ぎないよう、ムキになり過ぎないよう必死で教え込んでいた日々。しかし、競馬ではそれができたり、できなかったりと、やはり「本番」のある種異様な空気感の中ではやってみないとわからないところが常にありました。
ですから、3走前のオーシャンSでピューロマジックが思い切り逃げた時、驚いたファンの方は多かったと思うんです。記者もその一人。あれだけ馬の後ろで我慢させる競馬を教え込んでいたのになぜ?
