亀谷敬正 オフィシャル競馬サロン
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黄金旅程な週末
2024/03/14 (木)

#08 妻もテンション上げ上げ。この日4勝目だ。本格的な祭だ。/黄金旅程な週末

小説『不夜城』や『少年と犬』などで知られる作家・馳星周さんによる競馬エッセイ『黄金旅程な週末』。ステイゴールドとその一族の熱烈なファンである著者の奮闘振りをお楽しみください。

▼新刊発売のお知らせ
馳星周さんの新刊『フェスタ』が3月5日に発売されました。ナカヤマフェスタ産駒で凱旋門賞制覇を目指す生産者、馬主、陣営を描いた群像劇です。

フェスタ



 土曜日の出馬表を見て頭を抱えたくなった。ダントツの1番人気になりそうな一族が4頭もいるではないか。

 ダントツ1番人気の一族ほど恐ろしいものはない。平気で飛んで、平気で期待を裏切る。そういう血なのだ。

 おまけに、ダントツ1番人気だと馬券の買い方のハードルが滅茶苦茶上がる。我が家には、点数は絞る。配当10倍以上の馬券のみを狙う(馬券購入時点で10倍を超えていればよし)というローカルルールが存在するのだ。単勝1倍台の人気では馬単を買ってもそのルールを遵守できなくなる。

 とりあえず、馬券参戦は中京3Rから。一族が4頭も出走する。初出走のオルフェ産駒カラヲヤブレが4番人気に推されていたが、おわかりのようにこれは危険な人気馬。6番人気の母父ステイ、ルクスマーベリックを狙うことに。エピファネイアの距離延長、おまけに先行力はあるから粘り込みが期待できる。他の2頭はちょっと力が足りないということで、3番人気ライフセービングとのワイド。

 期待通り、マーベリックは先行して粘って3着。が、ライフセービングが5着に沈む。

 中山3R、ダントツ1番人気4銃士の先陣を飾るのがオルフェ産駒のアルシミスト。鞍上はルメール。怖いなあ。相手はトモジャシャトー1頭に思えるが、こちらは2番人気。馬連や馬単では10倍超えないので(馬単の裏は絶対に買わない、それもルールのひとつ)、妻推しの7番人気リベルテを入れた3連複で勝負。

 レースは最後の直線、アルシミストが手応え十分に抜け出し、そのまま後続を突き放して圧勝するかと思ったら、気を抜いたのか坂が苦しかったのか後ろの馬に追いつかれての大接戦。ハナ差でなんとかしのいでくれた。リベルテが3着に来たものの、トモジャはどこにもいなかった。横山は横山でも兄貴の方だったか~。

 まあでも、アルシミストが勝ったので満足。まずはこの日1勝目。

 続いては中京4R、ゴルシ産駒のクリノフィガロ。まさか、ゴルシの子供がダートでダントツ1番人気に推される日が来るとはなあ。

 2、3番人気の馬を切り、4、5番人気の2頭に流した馬単2点。フィガロは圧勝したが、2着に3番人気が来て馬券は外れ。

 でもでも、フィガロも勝ったぞ、今日は祭か? この日2勝目。

 いつにも増して馬券検討に時間が取られるので、他の一族出走レースはケンして応援に徹しようと思っていたのだが、中京7R、オルフェ産駒のバンフィエルドの鞍上が長岡騎手。ここ最近は乗れている。一発やってくれと、富田騎手騎乗のノートルプロメスとのワイドを1点購入。

 レースは好位につけたバンフィエルドが直線抜け出して快勝。しまった、単勝だったか。でも、ノートルが3着に飛び込んできてワイドは17倍。やっぱりこういう馬券が一族には合う。

 しかもこの日3勝目。長岡君、グッジョブ! 祭だ。一族祭だ。

 中山7Rは父ルーラーシップ、母父ステイの良血、ヘデントール。母のコルコバードは厩舎が違ったら重賞を勝っていたはずだと、一族ファンは木村厩舎に対して根強い不信感を抱いている。

 もう一頭、ゴルシ産駒のキャントウェイト。能力は高いはずだが、鞍上が柴田騎手。勘弁してよ、もう。それでも、馬の力を信じようと妻と手を取り、2頭軸三連複でダノンピレネーとアスクナイスショーに流す。

 ヘデントール、スタートはよかったのにズブくてズブくて道中最後方。前走もそうだったんだよなあ。しかし、これまた前走同様向正面で捲り上げ、4コーナーで外に膨れるという無茶苦茶な走りながら2着に3馬身差の圧勝。キャントウェイトは直線伸びあぐねて馬群に沈んだ(なんとかしてください、ラフィアン様、萱野調教師様)が、一族ファンはSNSで「ヘデントール、凱旋門賞行けるぞ」と大盛り上がり。

 気が早すぎるよね。でも、ゆるしてください。ナカヤマフェスタにオルフェーヴル、凱旋門賞制覇は一族ファンにとっても悲願だ。日本馬が優勝するならステイゴールドの血が流れている馬で。だから、ほんのわずかでも可能性を感じると小躍りしてしまう。

 コーナーの不器用さを見ると、中山より大箱の競馬場の方がよさそう。ダービーで勝てるとまでは言わないが、菊を勝って来年、マジで凱旋門賞行かないかなあ。

 馬券は外れたが、妻もテンション上げ上げ。この日4勝目だ。本格的な祭だ。

 さてさて、この日のメインイベントは阪神スプリングジャンプ。新たな王者、マイネルグロンが登場する。

 中山大障害の勝ちっぷりを見る限り敵はいない。だが、レース前に石神騎手が「アクシデントがない限り、普通に回れば普通に勝つ。負けたら乗り役のせいです」なんてコメントしたものだから、一族ファンは心穏やかではない。褒められることや強気のコメントに慣れていないのだ(苦笑)。

 馬券は同じくゴルシ産駒のワンダークローバーとのワイド。そして、1着グロン、2着エコロデュエルで3着にジェミニキングとマッスルビーチの3連単2点。ニシノデイジーは阪神は合わないだろうし、ロックユーは西谷騎手のやる気次第。飛んでくれ!

 グロン圧勝。2着にエコロデュエルまではよかったが、3着にロックユー(号泣)。ジェミニキングは体勢が整ってなかったかな。マッスルビーチは天に還ってしまった。合掌。

 それにしても、一族は障害に強い。以前、二ノ宮厩舎のスタッフでナカヤマフェスタの調教にも関わっていた方が、「ステゴ一族の特徴は比類なき根性。逆境になればなるほど力を発揮する」とおっしゃっていた。だから、海外や障害で強いんだよな。

 中山GJは現地で応援する予定。オジュウを継ぐ絶対王者として凱歌を上げてくれ。

 余談だけれど、石神騎手がレース後のコメントでグロンのことを「スターホースになってもらいたい」と言っていた。石神君、もう、スターホースですよ。

 この日5勝目。最高の祭です。

 中京メイン、中京スポーツ杯はドリジャの孫に当たるスマートアンバーから。善臣先生騎乗のイグザルトへの馬単、人気薄フィーカへのワイド。アンバー、好位から抜けだしをはかるも伏兵のアルムブラーヴに差されて2着。イグザルト、案外だったなあ。

 土曜のラストは中山牝馬S。クリノプレミアムからコスタボニータ、ラヴェルへのワイド。プレミアム、位置取れず、終始窮屈な競馬のまま終了。相手も来ず。

 いやしかし、やっぱ、ダントツ1番人気の馬から馬券組むのは難しい。みんなよく1番人気の馬の馬券なんか買えるよなあ。結局、一族は5勝もしたが、馬券が当たったのは伏兵バンフィエルドが勝ったレースのみ。

 このままでは終われないと、妻が果敢に中山12Rに参戦。閃いたというピンクセイラーとスムースベルベットのワイド。2頭が2、3着に来て12倍の配当なり。いやほんと、女子の閃きは恐ろしい。おかげでこの日はプラスで終了した。

 翌日曜、前日の祭でテンション上げすぎてわたしも妻もお疲れモード。勝ち負けしてくれそうな一族もあまり見当たらないということで、昼間は競馬はおやすみして、フィリーズレビューに全力投球することに。

 しかししかし、妻が中山5R、母父ステイのハイラントとゴルシっ仔のウインドラート買いたいと言い出して2頭のワイド。ハイラント激走して2着もドラートが痛恨のそれ4。くそぅ。

 フィリーズR、応援するのも馬券を買うのも、もちろん、コラソンビートとバウンシーステップ。ところが、バウンシーがまさかの2番人気。マジかー。

 とりあえず、2頭の馬単返し。コラソンが1着だと10倍いかないが致し方なし。ついで、2頭軸の3連複でロゼフレアとドナベティに流す。過去のデータを見ると、11番人気、12番人気の馬がよく絡んでいると妻が言い出し、鞍上を見て12番人気セシリエプラージュとコラソンのワイドを追加。1月に鎖骨の治療をしてから、ミルコも好調だしね。

 不安なのは、「競馬予想TV!」で井内さんがコラソンの調教が滅茶苦茶だと言っていたこと。一族の牝馬だからなあ。気性をなだめながらの調教だったのかなあ。

 それにしても、女子の閃きはまっこと恐ろしい。勝ったのが11番人気のエトヴプレ、3着がセシリエ。バウンシーが4着に終わってしまったが、コラソンとセシリエとのワイドは19倍。妻よ、お見それしました。

 コラソンの2着はやはり体調面の問題のよう。桜花賞は多分、距離が長い。スローならまだしも、そうはならんよねえ。もちろん、応援するし、馬券も買うけどね。ここで勝っておきたかったし、悔しいなあ。

 というわけで、一族祭を思いきり楽しんだし、馬券もプラスで終われた。言うことなしの週末でした。

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馳星周 近影

馳星周

1965年北海道浦河町生まれ。1996年『不夜城』で小説家デビュー。2020年『少年と犬』で直木賞受賞。

馬産地で生まれ育ったがゆえに馬を嫌い、長らく競馬とは無縁で過ごしてきたが、七年ほど前から夫婦で競馬にはまり、ステイゴールド一族を応援する日々を送る。好きが高じて競馬小説も書きはじめ『黄金旅程』、『ロスト・イン・ザ・ターフ』などを上梓。2024年春、凱旋門賞を目指すホースマンたちを描いた『フェスタ』を刊行予定

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