小説『不夜城』や『少年と犬』などで知られる作家・馳星周さんによる競馬エッセイ『黄金旅程な週末』。ステイゴールドとその一族の熱烈なファンである著者の奮闘振りをお楽しみください。
▼新刊発売のお知らせ
馳星周さんの新刊『フェスタ』が絶賛発売中です。ナカヤマフェスタ産駒で凱旋門賞制覇を目指す生産者、馬主、陣営を描いた群像劇です。
GWがはじまり、大掃除をする予定ではあるのだが、天皇賞春がある週はさすがに本格的な掃除は無理だからと、土曜の午前中は冬の間フル稼働していて加湿器2台の掃除。
競馬参戦は午後から。
まずは新潟5R。芝の2000mに一族が4頭。圧倒的人気のマイネルオーシャンは勝ち負けだが、他の3頭が微妙。オーシャンが人気すぎて他の人気馬と馬単を買っても妙味がないため、8番人気ホーハイトとの馬単、ワイドで行ってみる。
オーシャン、逃げて圧勝もホーハイト6着まで。でも、勝ったからよし。おまけに丹内騎手、節目の500勝達成。マイネルのゴルシっ仔で決めるところが偉い。日本一ゴールドシップ産駒のことを知っているジョッキーだもんね。
京都6Rは母父ステイのウインリュクス。人気はないが一発あるぞと思って密かに狙っていたのだが、馬体重大幅減。なんだよ~。それでも、当初の予定どおり、1、2番人気との3連複で勝負。
リュクス、覇気のない競馬で7着。
京都9R、ジョセフィーナとウインデイジー。ジョセフィーナは体重増を希望していたのだがプラマイ0。泣く泣く馬券からは切る。デイジーとチルカーノ、アクアヴァーナルの3連複1点勝負。チルカーナとヴァーナルはワンツー決めるが、デイジーそれ4。くぅ~。
東京9Rはボーンジーニアスとルクスフロンティア。ジーニアスは足りないし、ルクスは人気しすぎ。上位人気で固そう。モレイラ騎乗の馬と馬単を買おうか迷った挙げ句にケン。ルクス3着まで。ケンで正解も悔しい。
新潟10R胎内川特別。オメガオリーブとマイネルメモリー。メモリーは勝ち負け。オリーブとのワイド。それから、これはあるなと目をつけたゲンパチムサシとの馬連ワイド。
メモリーわずかに出負けしてインに包まれ、進路まったくないまま終戦。マジか。ムサシが1着で読みは当たっていただけに悔しすぎる。
東京10R、マイネルモーントも勝ち負け必至。人気薄のウインスノーライトとトーセンリョウが気になる。どちらも8枠なので6-8の枠連と、モーントとスノーライトのワイドで勝負。
直線、緑帽のマイネルの馬が大外から飛んでくる。てっきりモーントだと思って叫びまくったが、なんと、マイネルはマイネルでもケレリウス。うそーん。後でパトロールビデオみたら、マイネル2頭に蓋されてモーント動けず。同じマイネルなのになにしてくれるねん。
叫びまくって損した気分(苦笑)。
青葉賞はヘデントールとコスモブッドレア。ブットレアはこの条件合わない。権利確保して皐月賞に出て欲しかったんだけどなあ。それでも、ヘデントールとのワイドは買う。
ここはなんとしてでもヘデントールに勝ってもらいたいので、モレイラ騎乗のデュアルウィルダーと鮫島騎手騎乗のショウナンラプンタ相手にした馬単2点。鞍上のオシェア騎手が不安だが、そこは目をつぶる。
ヘデントール、出遅れ。いやあ、今の府中で最後方からは厳しいよ、なんとか向こう正面でポジションあげてくれ。オシェアの腕動きまくりも、ヘデントール全然動かず。ブットレアも頑張ったが7、8着で終戦。
ルメさんが乗ってくれてたらなあ……普段はルメさん嫌うくせに、こんなときだけ嘆いてしまうのはいけない癖だ。
というわけで、土曜日はボウズ。
日曜は新潟2Rから。アクイローネとラッキードラゴンの2頭。ドラゴンは足りないが、アクイローネは一発あると、2番人気、レッドエヴァンスとの馬連ワイド。
アクイローネ、後方待機で見せ場もないままブービー。まさか、ドラゴンの方が先着するとは。
新潟5Rは一族5頭が出走。相変わらず被るよなあ。母父ステイのハイラントは勝ち負け。ゴルシ産駒2頭へのワイド。パンジャはここのところダートを使われているが、絶対に芝馬。マイネルコモドーアも舐められた人気だ。
ハイラント、道中中団から3コーナ手前で動きはじめ、前にいた馬たちを一蹴して危なげない勝利。
パンジャが外から猛然と突っ込んでくる。妻と一緒に叫びまくったが、届かずのそれ4。先週から4着地獄が続いている。
新潟9R五泉特別。オセアフラッグとルーパステソーロ。オセアがなぜだか2番人気(最終的には6番人気)。こんな人気じゃとてもじゃないが買えないとケン。オセアは4着と健闘も、ルーパスは殿負け。
東京9R陣馬特別には一族が3頭。オウケンボルトは勝ち負けだろう。マイネルカンパーナは中山の芝1800mで未勝利を勝ったことがある。中山芝1800はゴルシ産駒には苦手な条件で、ここを勝つ馬はのちのち出世する。カンパーナも中山より府中が得意なはずだ。
ということで、オウケンボルトとカンパーナの馬連1点で勝負!!
オウケンボルトがハナを切る。こりゃ、楽勝かもと思ったら、同じ一族のタイラーテソーロが捲り上げてきてペースが上がる。なにしてんだよ、猛蔵!
それでもオウケンボルトはハナを譲らず、直線でファベルを突き放しにかかる。そこへ外からカンパーナが飛んできて1着でゴール!! 一族ワンツー!! 馬連は11倍の配当だったけど、最高に気分がいい。ありがとう、カンパーナ、ボルト!
中山芝1800を勝ったゴルシ産駒はウインキートス、ウインマイティー、ウインピクシス、そしてコガネノソラと牝馬ばかり。やっと、中山でも勝ち、府中でさらにパフォーマンスを上げる牡馬が出てきた。
出世しろよ、カンパーナ。
東京10RブリリアントSにも一族2頭。どちらも力が足りないかなということでケン。
さてさて、まずは東京メインのスイートピーS。中山の1800を勝って駒を進めてきたコガネノソラ。先週のフローラSに出ていたらバロネッサではなくこの子を本命にするつもりだった。
コスモブットレアでやらかしてくれた石川騎手騎乗ということで一抹の不安は拭えないが、それでもここは勝ち負け、いや、勝ってオークスに向かってもらわないと困る。
なになに? 6番人気? 舐めてんじゃねえぞ。
というわけで、わたしが目をつけたニシノティアモと妻推しのベストミーエヴァーに流した馬単2点。馬連はいらない。1着あるのみ。
運命のスタート。コガネは中団につける。
よし、それでいい。道中はじっとして脚を溜めて、直線で弾けるだけだ。
直線、前めにつけた馬たちがおのおの抜けだしをはかる中、コガネは外に持ち出してスパート。
叫んだ。叫びました、はい。GWがはじまって近隣の別荘に人が来ているけどお構いなし。
コガネノソラ、1頭だけ違う脚色で大外を駆け上がってくる。
前で粘るニシノティアモを首差交わして1着でゴール。
やった! 勝ったぞ!! 行くぞ、オークス!!!
馬単は30倍超え。妻推しのベストミーエヴァーも3着に入って、3連複も勝っておくべきだったかと思ったが、まあいい、まあいい。勝ったし、馬単も当たった。これ以上を望むとバチが当たる。
興奮冷めやらぬ中、天皇賞の発走が迫る。
一族は3頭。プリュムドールとメイショウブレゲはGIは敷居が高いかと思うが、複勝を。
一族の大将はシルヴァーソニック。前走大敗だし8歳だけど、ステイゴールド一族だよ? そんなの関係ない。
ドゥレッツァとの馬連ワイド、ディープボンドとの爺さんワイドで勝負。テーオーロイヤルは、菱田君の初GI制覇を見てみたいとも思ったが、やっぱ使いすぎ? 調教もあんまりよくないし、ということでばっさり切った。
一族3頭は中団から後方で競馬を進める。今の馬場でこの位置からじゃ厳しいなあ。どこかでポジションを上げてくれ。そう祈りながらレースを見守る。
向こう正面の下り坂からレースが動きはじめる。行け、シルヴァー、下り坂で加速して得意のコーナーで相手を捕まえにかかれ!
あれ? シルヴァーソニック、加速しないどころか、ゴールのだいぶ手前でミルコが追うのをやめて、まさかの殿。
故障? それだけはやめて~。
ミルコのコメントによると、歩様がおかしくなったとのこと。大きな怪我じゃなくてよかった。
ブレゲが7着、プリュムが10着。順当な結果かな。
残念だったけど、菱田君が勝ったからいいや。おめでとう、菱田君。
香港のレースは今年は一族が1頭もいないのでレースを見ただけ。
とりあえず予想はしてみたけど、GEII杯のノースブリッジが3着来てくれただけで完敗だったから馬券買わなくてよかった。
カンパーナ、オウケンボルト、そしてコガネノソラのおかげで土曜の負けを取り返してプラスで終われたしね。