小説『不夜城』や『少年と犬』などで知られる作家・馳星周さんによる競馬エッセイ『黄金旅程な週末』。ステイゴールドとその一族の熱烈なファンである著者の奮闘振りをお楽しみください。
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馳星周さんの新刊『フェスタ』が絶賛発売中です。ナカヤマフェスタ産駒で凱旋門賞制覇を目指す生産者、馬主、陣営を描いた群像劇です。
金曜日。ザ石によりメイショウタバル、ダービー出走取り消しの報。
マジかよ~。
テンション一気にダダ下がり。
去年はドゥラエレーデがスタート直後に落馬して競走中止。今年はタバルの取り消し。
一族推しにとって、ダービーは呪われている(涙)。
それでも、おれたちにはステイゴールド記念こと目黒記念があると気を取り直して競馬に臨む。
んが、グリーンチャンネルの放送中、何度も「メイショウタバルは出走取り消し」のアナウンスが流れる。死者に鞭打つようなことはやめてくれ~(苦笑)。
土曜最初の馬券購入は東京3Rから。母父オルフェのルージュラフェリアとオルフェ産駒のピーエムドレミ。2頭のワイド。
ラフェリア3着も、ドレミは11着といいところなし。もうちょっと走れる馬だと思うんだけどなあ。
東京4R障害戦には一族が3頭。少頭数で馬券妙味が薄いため、一族の3連複だけ買って応援。とにかく、ここはイクスプロージョンに勝って欲しい。平地力は抜けてるんだけど、飛越が下手っぴで取りこぼしが続いている。
道中、母父ステイのプレシャスソウルが2番手、イクスプロージョンが3番手。これでエンライトメントが来てくれれば最高なのだが後ろ過ぎて無理か。馬券は早々と諦めて、プレシャスかイクスプロージョンのどっちか勝てと声援を送る。
直線、イクスプロージョンが抜け出して見事1着! プレシャスは3着。2着も人気馬で固い決着。まあ、そうなるよね。とにかく、勝ってくれたからよし。
ひとつ気になったのは鞍上の小牧騎手がゴール前、追うのをやめて2着馬に迫られたこと。勝ったからいいようなものの、あれで差されてたら油断騎乗で制裁食らうぞ。そう思ってたら、案の定騎乗停止を食らっていた。ゴールするまで気を緩めちゃいけません。
東京5Rは母父オルフェのパーセルペーパーが3番人気。鞍上違ってたらとっくに勝ち上がってるのになあ。今回もまた柴田大知かよ、頼むよ~。
それでも、今年度最後の未勝利戦。なんとしても勝って欲しい。8倍ほどのオッズだったが、単勝を握りしめる。
パーセル、道中は中団。ちょっと後ろ過ぎるんじゃないのかと心配したが、直線、鮮やかに抜け出して1着!! 人気馬2頭が2着同着。どうせ人気薄絡めた馬券買って外してただろうから単勝でよかった。
パーセル、未勝利脱出おめでとう! 鞍上があれでも勝ったんだからおまえは強いぞ。
東京6Rはゴルシっ仔のメイショウリリー。あれれ? 1番人気タイ? ああ、モレイラが乗ってるからか。でも、過剰人気だぞ、これ。
1着は怪しいと見て、人気薄の2頭に流したワイドを。
不安的中。差し脚自慢の馬なのに、モレイラ押していって好位につける。が、脚溜まらず、見せ場もないまま敗退。陣営、なにしてんだよ。
東京7R、母父ステイのアイファーバトル、9番人気は舐められすぎだろうと参戦。3番人気カイトグートとのワイド。
アイファー、最後方から上がり最速の脚を使うも届かずの8着。人気は適正評価でした。
京都8Rはオルフェっ仔のカンティプール。5番人気は美味しいが、少頭数で妙味のある馬券がない。1番人気のアリスヴェリテは強いもんな。というわけで、カンティからアリスへの馬単、押さえに馬連も。
レースはアリスが逃げて、カンティは好位。直線、猛然と追いかけるもアリスを捉えきれず首差の2着。うーん、馬連は830円。まあよし。
京都9R鳳雛Sはブルーサン。前走は逃げられずに大敗したが、ここは間違いなくハナを切れるし、そうなりゃ強い。ブルーサンから人気どころに流した馬連3点を購入。
ブルーサン、ハナを切るも1番人気、カシマエスパーダがぴたりとマーク。こりゃきつい展開だなと思っていたら、エスパーダに直線突き放されて2着まで。馬連10倍当たったけど、勝ちたかったなあ。でも、エスパーダ強いわ。
京都10R桃山Sにマイネルクロンヌ。近走の成績はよくないが、そろそろ前進があっていい。1番人気ミスティックロアは強いので、馬連ワイド。
クロンヌ、前進ありませんでした(涙)。
京都11R葵Sは母父オルフェのナナオ。1400メートル以下の距離のレースでは馬券を外したことがない。1番人気エトヴプレとの馬連。3番人気、ナムラアトムを入れた3連複。
8枠のピューロマジックがハナを切り、ナナオは3番手。直線もそのままで行った行ったのワンツースリー。ピューロは眼中になかったけど、ペアポルックスは気になってたんだよなあ。この馬とのワイドだったか。
東京11R欅Sは母父ドリジャのフルム。一発やってくれ! フルムは5番人気。6番人気ハチメンロッピとのワイド1点勝負。
コスタノヴァとエンペラーワケアが強かったです。すみません。ハチメンロッピは4着までで、フルムは直線伸びず、9着。
東京12R、ルーパステソーロの鞍上は永野猛蔵。府中最終ダートの猛蔵なら買うしかあるまい。複勝で勝負。
ルーパス、直線、じりじりと伸びてなんとか掲示板確保。馬券にはならなかったけど、よく走った。14番人気で5着だからね。
というわけで、この日は安い馬券しか当てられず、微マイで終了。
日曜も朝から「メイショウタバルは出走を取り消しました」。何回聞かされたかのう。
まずは東京4R、リヤンドファミユ産駒のアドマーニ。力はまだまだ足りないのだが、本当に数少ない産駒。なんとかならんかと一縷の望みを託して複勝を。
アドマーニ14着。溜息が漏れる。
京都4R。エイカイステラ、そろそろ勝たんと。小牧君も騎乗停止食らったんだから、ここで勝って少しでも銭稼いでおかないとね。母父ステイのレインメーカーが初出走。力足りんかもと思いつつ、他に妙味のある馬券もないのでステラと2番人気シゲルタヌキ、それにレインメーカーを加えた3連複。
ステラは危なげなく勝ち、シゲルも3着に来てくれたがレインメーカーは最後着。
東京6R、マイネルフォルツァ勝ち負けだろうと思いつつ、少頭数なのでケン。フォルツァ、最後方からただ流れ込むだけの競馬で6着。ケンしてよかった。
東京7R、母父ステイのスナイチゴールドは前走、ここからスパートというところで前をカットされるという不利があった。ここは巻き返し必至。ゴルシっ仔のホワイトターフも、前走オシェア騎手になって走りっぷりが変わった。継続騎乗のここは狙い所と、2頭のワイド。それからスナイチと7番人気ビップソリオのワイドも追加。
結果、4、5、6着。ぬーん。
京都7R、フェノーメノ産駒のアレンテージョが1番人気。堅実だけど勝ち味に遅いんだよ。なんか、アウフヘーベン辺りにやられてまた2着な気がするなあ。とってもするなあ。他の上位人気も強そうだ。ケン。
やっぱり、アウフヘーベンにやられて2着。3着も人気馬でケンして正解。
マメちん子も数が少ないから頑張って欲しいんだけど。
東京8R青嵐賞は、週中から狙いをつけていたオウケンボルトにダンツエスプリ。エスプリは足りないけど、ボルトは前走、逃げて2着。勝ったのが一族のマイネルカンパーナで、この2着は価値がある。マイペースで逃げて、後ろの人気どころが牽制し合ってくれれば勝ちまであってもおかしくない。
ということでまずは単勝。それから1番人気、ルメさん騎乗のコスタレイとの馬連、4番人気アームブランシュとのワイドで3点。
ボルト、予定どおりハナを切るも、鞍上の横山和生騎手、どスロー逃げ敢行。
いやあ、いくらなんでも遅すぎるぞ和生!!
案の定。痺れを切らしたルメさんが捲ってきてボルトを躱す。後続の馬も続いてボルトは4番手。そのまま切れ味勝負になって、切れのないボルトは4着。
和生君、頼むよ~。4角先頭じゃなきゃダメな馬なんだからさ。
京都9Rはウインメイフラワー。近走は煮え切らない成績だが、大外枠で変わり身はないか? ということで、4番人気クールブロンとのワイド。
メイフラワー、ハナを切ってまさかの逃げ。いいぞいいぞ、思い切った手に出なきゃ、現状は変えられない。行け、メイフラワー、頑張れ、コーセイ・ミウラ!!
メイフラワー4角まで踏ん張るもツウカイリアルに交わされ後退。それでも踏ん張って掲示板確保。
ようやった。
さて、ダービー。タバルの取り消しでお気楽な我ら夫婦。ここはお遊び馬券でも買おうか。お祭りだし。
一昨年のダービーは、キーファーズの馬で武豊が勝つのが1番盛り上がるよな。イクイノックスはやっぱり強いよな。前めで恵まれるのはアスクビクターモアだよなと、予想もせずに1点だけ買った3連単が当たった。配当、15000円ぐらいついたんだっけ?
まあそんなわけで、一族の出ない大レースはお遊びで買って当たることも多々ある。
まずは、アスクビクターモアのように前めで恵まれるならジューンテイクっぽい。それから妻推しのゴンバデカーブース。この2頭にジャスティンミラノをつけたワイド。
戸崎君はきっと二度あることは三度あるで勝ちはないよ。せいぜい2着、いや3着だってあるかもよ。ならば、GIはルメさん、それにお世話になってる矢作先生んところのシンエンペラーで行こうの馬連を購入。
この時点ですでに気持ちは目黒記念に向いているのであった。
スタート。大外枠のエコロヴァルツがハナを切り、押していったシュガークンが内に切れ込んで他の馬たちの進路を潰す。ぽっかり空いたスペースにダノンデサイルが内ラチに収まって隊列決定。おやおや、ユタカさんにノリさん、岩田父のおっさん勢がレースを支配しているじゃないの。ジャスティンミラノもきっちり先団にいる。戸崎、気合い入ってんなあ。
前めで恵まれるはずのジューンテイクはシュガークンの動きもあって想定よりずっと後ろ。この時点でワイド1点はさようなら~。
レースはスロー。前にいなきゃ勝負にならない様相になってきた。
だったら勝つのはジャスティンか。つまらんなあと思っていたら、内ラチ沿いからダノンデサイルがするすると抜け出して後続との差を広げていく。
うそーん、ノリさん?
ノリさんでした。すげえ。久々になんだかすがすがしいダービーだったぞ。ノリさん、陣営のみなさん、そして馬主のダノックスさん、おめでとうございます。
それにしてもおじさんジョッキーたち、してやったりだったろうな。
さあ、この日のメイン(苦笑)、ステイゴールド記念こと目黒記念。ステイゴールドがやっとシルバーコレクターの汚名を返上した記念すべき重賞。出走する一族はメイショウブレゲだけと少し寂しい。
ブレゲは後方から直線一気しかできないので、正直苦しいレースにはなると思う。わかっていても、ルメさん騎乗、クロミナンスとのワイド。
ブレゲに目があるとしたら、ケイアイサンデラが速いペースの逃げを打ってくれたとき。ケイアイサンデラはマイペースで逃げたらそうは崩れない。というわけで、サンデラとクロミナンスのワイドも追加。
レースは予想どおりケイアイサンデラの逃げではじまる。サンデラ、そのまま後続を突き放しての大逃げ。いいぞ、いいぞ、藤懸君、その調子で逃げてくれ。
喜んだのも束の間、藤懸君、ペースを落として後続を引きつける作戦に出た。
だめだよ、それじゃ。マイペースで飛ばしてこその馬だろう。なに考えてんだよ!!
案の定、3、4コーナーで馬群凝縮して直線は切れ味勝負に。
だからダメだって言ったのに(号泣)。
サンデラは沈み、ブレゲは最後方から上がり二位の脚で突っ込んで来るもまったく届かず。
ダービーデイの馬券は散々な結果に終わった。
今年のダービーウィークの教訓。騎手は大事だ。