小説『不夜城』や『少年と犬』などで知られる作家・馳星周さんによる競馬エッセイ『黄金旅程な週末』。ステイゴールドとその一族の熱烈なファンである著者の奮闘振りをお楽しみください。
▼直木賞「少年と犬」映画化のお知らせ
第163回直木賞を受賞した馳星周さんの名作小説『少年と犬』(文春文庫)が映画化されることになりました。詳細は下記をご参照ください。
※映画.com
高橋文哉&西野七瀬、直木賞「少年と犬」映画化に主演! 監督は「ラーゲリより愛を込めて」瀬々敬久
先週、急に激しい悪寒に襲われ、翌日からは発熱、咳、鼻水、痰のオンパレード。ただの風邪かと思っていたら一向によくなる気配が見られず、病院に行ったら、速攻で新型コロナの診断。
全国的に大流行していて、浦河のような小さな町でも毎日のように感染者が出ているとのこと。
咳に伴う喉と気管支の痛みが半端なく、息をするのも水を飲むのも拷問。おまけに絶え間なく痰が出てきて、喉の痛みで飲み込むことも、切ることもできず、自分の痰で溺死するかもと思ったこと数えきれず。
土日が症状のピークでとても競馬どころではなかった。
これをただの風邪というなら人生最悪の風邪と言っていい。みなさん、お気をつけて。新型コロナ、とんでもないですよ。
火曜には症状も峠を越え、金曜にはなんとか函館に向けて旅立つことができた。その夜はお気に入りのイタ飯屋で十日以上ぶりの酒を飲み、美味しい料理に舌鼓を売った。そして、土曜は函館競馬場に参戦。
まずは1R、一族の出走はないけれど、せっかく本場にいるのだからと早速参戦。2番人気イガッチが強い。5番人気のリュウゼツランと2頭軸3連複で1番人気と4番人気の馬に流す。と、ここで人気馬のブルータスが除外に。オッズ暴落。イガッチ、プレシャスデイ、リュウゼツランで決まって馬券は当たったものの、配当安い、安い。少し大目に買ったのでプラスにはなった。
続いて2R、オルフェっ仔ゼットメルベーユの単複を少々。メルベーユ8着。
3R、ここもオルフェっ仔のピーエムドレミ。待望の距離短縮、芝1200メートル。ここで狙わずいつ狙うのか。相手はマサノカナリアが強い。2頭の馬連、ワイドで勝負。
ドレミ、スタート決めて好位から。マサノは中団。あれ? 想定より位置が後ろ過ぎるぞ、だいじょうぶかマサノ?
直線、ドレミが抜け出すところ、大外に持ち出したマサノが直線一気で1着、ドレミ2着。馬連51倍のワイド14倍。
会心の当たりでこの日の勝ち確。相手が強すぎたけど、ドレミ、よく頑張った。
4R、レインボーライン産駒のエルキーオとオルフェっ仔のトゥラムプラッツ。まずは2頭のワイド。エルキーオとウインメラナイトの2頭軸3連複で3頭に流す。が、トゥラム、スタート直前に馬体検査からの出走取り消し。結構期待してたのに……。
レースもエルキーオが痛恨のそれ4。
5R、母父ステイのマイネルバーテクス。ここは勝ち負けでしょう。バーテクスからミッキースピネル、シャーリーゴールド、ウインキャロラインへ馬単馬連。
バーテクス、まずは好位からの競馬。近くにシャーリーがいるし、キャロラインもスピネルもまずまずの位置を確保。こりゃ、間違いなく馬券当たりだな。
直線、スピネルが一気に先頭に。2番手シャーリー。3番手バーテクス。
交わせ、交わせ、差せ、差せ、差せ~!!
絶叫むなしく、バーテクスはシャーリー交わせず3着まで。くそぉ。
6Rはゴルシっ仔のゴルトヴェーレ。足りないとは思いつつ、3番人気ウインアルドーレとのワイドを。アルドーレ2着もヴェーレ6着まで。
7Rには一族が3頭。パンジャは前走の勝ち方が見事だった。昇級戦でも勝ち負け必至。距離延長も問題なし。パンジャから同じくゴルシっ仔のペリプルス、母父ステイのクリフハンガーへの馬連ワイド。
パンジャは好位、クリフは中団、ペルプリスは後方からの競馬。向こう正面でゴージョニーゴーが捲っていき、そのまま1着でゴール。パンジャ2着。3着は接戦でクリフが来たかと思ったのだが、実況のアナウンサーが「3着はタイセイアーサー」と絶叫。マジ? クリフ4着? と肩を落としたものの、ゴール前のスロー再生を見ると、クリフ、アタマ差しのいで3着に残していた。
焦らせるんじゃねえよ、ばーろ。
とりあえず、ワイド11倍。よしとしよう。
8Rにはヨドノゴールド。堅実だが勝ちきれない馬。なんとか勝ってくれないかなあと、まずは単勝。それから、4番人気サザンレイクとの2頭軸でスコーピオンとステラシティに流した3連複。1番人気のオアシスドールは切った。どうか、飛んでください。
ヨドノ、やっぱりの3着(涙)。でも、1着スコーピオン、2着サザンレイクで3連複17倍をゲット。
9Rは母父オルフェのレーヴドレフォン。昇級2戦目の前走で2着。ここも前進あるのみ! 4番人気って舐めてるんじゃねえぞ。単勝と、上位人気馬3頭へ流した馬連。
レーヴ、好位追走から直線抜けだしをはかるも、セクシーブーケに直線突き抜けられて2着まで。馬連15倍。
うーん、馬券は絶好調だけど、1着が欲しいよう。
10R、ゴルシっ仔のエリダヌスと母父ステイのマンクスホップ。1番人気ワンブランチから2頭に流した馬連ワイド。
マンクスホップは中団、エリダヌスは後方から。エリダヌス、3~4角で位置を押し上げていって直線、じわじわと伸びて3着確保。マンクスは伸びなかったが、1着はワンブランチ。ワイド14倍~。
1着が欲しいぞと、ここで福島10Rにも参戦。ゴルシっ仔のウインマイルートとネイチャーシップ。ネイチャーは久々の芝だけど、一発あってもおかしくない。2頭のワイド。それから、1番人気プレリュードシチーから2頭へ流した馬連ワイド。
プレリュードがハナを切って、マイルート、絶好のイン3。
来い、来い、来い~。プレリュード交わして勝ってみろ!!
が、プレリュードがそのまま押し切ってマイルート2着まで。馬連14倍も、1着が遠い、遠すぎる。
さあ、今週の我が家のメイン、函館2歳S。エメラヴィとシュードタキライトが顔を揃えた。
まずは2頭のワイド。エメラヴィからリリーフィールド、ニシノラヴァンダ、ヴーレヴーへの馬連ワイド。
頼むよ、武史。エメラヴィを勝たせておくれ。
祈りながらスタートを待つ。
エメラヴィ、絶好のスタートを切るも、その後、なぜか位置を下げていく。おいおいおいおいおい、芝の1200だよ、高速馬場だよ、前にいなきゃ勝負にならないよ。
後でジョッキーのコメントを読んだら、右にもたれ、ハミも取らなかったとのこと。ここでオルフェの血が騒いでしまったか(涙)。
エメラヴィもシュードもいいところなくレースは終了。
病み上がりで朝から競馬に集中したせいか、ぐったり疲れてしまったので、この日はここで撤退。
馬券収支的には久々の大勝だったけれど、1着がなかったのが寂しすぎる。人気薄の一族がめっちゃ激走してくれはしたんだけどね。
夜は相沢厩舎のスタッフ、三尾さんと会食。三尾さん担当の一族馬の話を聞きながら、美味い海鮮に舌鼓を売った。三尾さんとは、ゴルシ産駒最初の重賞勝ち馬であるブラックホールが繋いでくれた縁。ブラックホールが怪我で引退することになったときに、人づてに調教ゼッケンをプレゼントしてくれて、そこから年に一、二度、酒を飲むようになった。
三尾さん、函館出身だし、毎年、函館に長期滞在してるし、美味しい店、たくさん知っているのだ。
翌日曜は競馬はお休みで仕事。馬券を買う余裕もなく、午後3時過ぎに函館を離れた。
楽しかったけど、めっちゃ疲れた。コロナはこりごりだ。